リトル・フィート LIVE / 2012年5月22日(火)ビルボードライブ東京 2ndステージ
いやあ~凄かった!初めて観るリトル・フィートは、期待をはるかに上回る大満足のライブだった。
僕はこのバンドが昔から大好きなのだ。同時代のアメリカン・バンドだと、日本ではザ・バンドの人気が高いが、これは日本人ミュージシャンで彼らをリスペクトする人が多いことがかなり関係していると思う。僕は個人的にはザ・バンドよりリトル・フィートの方が思い入れが強いぐらい。ルーツに根ざしていながらも、後のフュージョンを先取りしたようなモダンなサウンドを聴かせ、何よりも同時代では最強のグルーヴを持つバンド。正統派アメリカンバンドの系譜を受け継ぎながら、そのファンキーなテイストはどのバンドよりも異端だった。
そんなフィートも、結成からはや40年。その間には2度の解散と再結成があり、メンバーもだいぶ入れ替わってしまった。マニアの中には70年代と今のバンドでは別モノと捉える人も多いと聞く。僕もはっきり言って期待半分・不安半分といった感じでライブ当日を迎えたのだ。
とーんでもなかった!!!2012年のリトル・フィートはいまだ現役バリバリだった。初っ端、音が一発出ただけで完全にノックアウト!もう、凄い、凄い!うねりまくるグルーヴ、ほろりとしてしまう抒情性、豊潤なルーツミュージックの香り…。21世紀のリトル・フィートは完璧なジャグ・バンドだった。もう、お腹一杯!これ以上何が欲しいっていうんだ?
そりゃあ、バンドを作った張本人、ローエル・ジョージはとっくにこの世にはいない。長年バンドのグルーヴを生み出してきたリッチー・ヘイワードも数年前に亡くなってしまった。それでもリトル・フィートはリトル・フィート。このグルーヴは間違いなく唯一無二だ。
今のリトル・フィートは6人編成。一時、女性ボーカルが入っていた時期もあったけど、個人的には今の男臭いバンド編成の方がずっと好きだ。
結成当初からのメンバーは、ビル・ペイン(キーボード・ボーカル)のみとなってしまったが、ギターのポール・バレアとベースのケン・グラッドニー、それにパーカッションのサム・クレイトンは72年加入組だから、73年の名盤「ディキシー・チキン」レコーディング時にもバンドに在籍していたことになる。ってことは、彼らはほとんどオリジナルメンバーだと僕は思ってるんだけどね…。そこに長年フィートとセッションしていた、職人フレッド・タケット(ギター)が加わり、亡くなったリッチーの代わりは、ゲイブ・フォードという少し若いドラマーが務めている。
はっきり言って、ゲイブのドラムはリッチーとは違う。そういう意味では、70年代のノリとは違った味わいになっていた場面もあるにはあった。でも、僕はこれはこれで全然OK。だって、ゲイブにはゲイブなりの良さがあるもん。バンドってのは、そうやって進化していくものなのだ。むしろ、キャリアが長いバンドでもこうやって進化していける、変われるってのは素晴らしいことなんじゃないだろうか。
メンバーはゲイブを除けば、もう60代後半を迎えている。サムなんて腰が曲がってて、装具を付けているのが服の上からでもわかるぐらい。にもかかわらず、パーカスの華麗さは若いころと全く変わっていなかったのだ。それに、なんといってもポールとフレッド、2台のギターの絡みがもうバッチリ!乾いたストラトの音色が最高に気持ちよく、縦に横に動くグルーヴに乗って自由自在にフレーズを刻んでいくのには、興奮せざるを得ない。ミディアムな曲では、フレッドがマンドリンを手にすることも多く、これもいい味わいが出てたなあ…。
バンドの核になっているのは、やっぱりバンドでのキャリアが一番長いビル・ペイン。この日のライブでは、近々出る予定だという新譜からの曲も演奏したのだが、まだ歌詞が覚えきれないらしく、ipadを操作して歌詞を確認していたのが面白かった(笑)。
セットリストで一番びっくりしたのは、名曲「Willin'」の中に挿入される形で、なんと「The Weight」を演ったこと!要するに、リトル・フィートがザ・バンドの曲をカバーしたわけだ。さらっと書いてるけど、これってとんでもないことですよ!もしかしたら、これは最近この世を去ったレヴォン・ヘルムへのオマージュだったのかも…。
おそらく、彼らは彼らなりに自分たちがアメリカン・ロックの最後の砦だっていうことを自覚しているんだろう。ザ・バンドの分も、グレイトフル・デッドの分も、俺たちがまとめて背負ってやるぜ~ってな…。まあ、いずれにしても、こんな曲が飛び出してくるとは夢にも思わなかっただけに、客席は大盛り上がり。僕なんかうるうるきてました(苦笑)。
最高だったのは、本編最後に演奏された「ファットマン・イン・ザ・バスタブ」!これが聴けたのは、もう一生もんの自慢だ。「ファットマン…」、ナマで聴いちゃったよ~。嬉しいったらありゃしない(笑)。ポール・バレアがスライドであのイントロを奏でると、テーブル席のお客さんがあっという間に立ち上がった。もう、フロア全体で大いに盛り上がり、まるでここがビルボードなんつうスカしたハコじゃないみたい(笑)。途中でカバーを挿入したりなんかして、かなり長尺でジャギ―な演奏だったなあ。
残念だったのは、「ディキシー・チキン」を演ってくれなかったこと。これはかなりガッカリした。フィートのライブで、「ディキシー・チキン」無しってのはちょっと考えられない。絶対演ると思ってたのにー!!そういえば「オー・アトランタ」も「オール・ザット・ユー・ドリーム」も演らなかったぞ!それでもお腹いっぱいになったんだから、いかに彼らの演奏が充実していたかがわかるというものだ。
で、家に帰ってバンドの公式サイトを見て唖然としてしまいましたよ、ワタシは。ビルボード東京は1日2ステージやるんだけど、フィートは今回用にセットを用意したわけじゃなくて、なんと単純に一回のコンサートを二つに分けてやってるだけだったのだ(苦笑)。一部・2部で重なってる曲は「Willin'」のみ!うーん、このラフさもアメリカン…(苦笑)。でも、個人的にはEarly Showの方が好きな曲多かったぞ…。わかってたら両方観たのに。とほほ…。
まあ、いいや。オレはこれで最後だとは全然思ってないから!きっとフィートはまたいつか東京に来てくれるだろう。
で、その時はビルボード東京なんつうスカした店じゃなく、渋公とか日比谷野音とかで2時間半ぐらいがっつりやってください!本来、リトル・フィートは日差しがギラギラした野外なんかが似合いそう。野音でビールでも飲みながらディキシー・チキンが聴けたら最高だろうなあ…。そんな日が来るまで、僕は「ファットマン・イン・ザ・バスタブ」をナマで聴いたことを自慢に生きていきますわ(苦笑)。
【セットリスト】公式サイトからコピペ
Location: Billboard Live - Tokyo, Japan
Setlist:
Early Show 7pm
All That You Dream, Oh Atlanta, Skin It Back, Red Streamliner, Willin', A Church Falling Down, Cajun Girl, Dixie Chicken, E: Feats Don't Fail Me Now
Late Show 9:30pm
Rocket In My Pocket, Honest Man, The Blues Keep Coming, Salome, Truck Stop Girl, Willin' > Don't Bogart That Joint > The Weight, Fat Man In The Bathtub > Abba Zabb > Fat Man In The Bathtub, E: Down On The Farm
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