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2009年7月 6日 (月)

ザ・ローリング・ストーンズ 「シャイン・ア・ライト コレクターズBOX (完全限定生産) [DVD]」

Photo_2それにしてもストーンズ、なんて優雅なバンドになったんだろう…。
優雅ってのは、ゆるいとかゆとりとかってことじゃ勿論ない。今のローリング・ストーンズは、豪華で、じっくりと煮込んであって、手がこんでいて、迫力があって、何よりも美しい。それもR&Rの粗野なビートを失わずにだ…。これはもう、ほとんど奇跡に近い事なんじゃないだろうか?

俺、この映画の一番の主役は、やっぱりミック・ジャガーだと思った。
自分も、若い頃はキース・リチャードの粗野な生き方に惹かれ、ルックス的にも海賊の親玉みたいなキースが一番カッコよく映ったもんだ。だけど、今のミックのカッコよさはそれ以上。鍛えられた腹筋をさらし、ビートに乗って肉体を躍動させ、観客をひとり残らず自分の掌の上で躍らせてしまうその強烈な存在感は、ビルとヒラリーのクリントン夫妻を前にしてもまったく霞んでいなかった。
いや恐れ入ったよ…。ロンドンの片隅で生まれたやせっぽちの猿みたいな男が、R&Rとブルースのビートだけでここまででかくなったんだからなあ…。

演奏的にはつっこみどころ満載(苦笑)。っつうか、キースの演奏はってことだけど(苦笑)。チャーリーはやっぱり巧い。ロン・ウッドに関してもいろいろ悪い噂はあったけど、まだまだ大丈夫だと思って安心した。でも、キースはどうなんだ、これ(苦笑)。映画館では全然気になんなかったんだけど、冷静に見るとなかなかスゴイものがある(苦笑)。いや、この人もやろうと思えばやれると思うんですよ。やらないんだもん、あえて(苦笑)。っていうか、何も考えてないんだろうなあ、きっと(笑)。まあ、これだけセレブな客を集めて一世一代の重要なライブをやってるってのに、あれだけグダグダなソロを弾いちゃうってのは逆に凄いことなのかも。だって、間違いなくキース以外誰にもできないだろ?こんなこと。もう怖いものなしだ(苦笑)。キース・リチャーズ。間違いなく、世界一一音あたりの単価が高いギタリスト(笑)。

視覚的にはもう100点満点。ロックの美意識ここにありだ。
俺は70年代の若くてデカダンなストーンズも、80年代のいきなりスポーティーになったストーンズも好きだけど、今のからからに乾いたストーンズの風貌もものすごくカッコいいと思う。
やっぱ見かけって重要だ、ロックには。ストーンズは計算し尽くしてるんだよな。ミックの何気にラメの入ったTシャツのサイズも、キースの不思議なレザージャケットも、ロニーの黒いTシャツの微妙な丈の長さも、袖口の赤い縁取りにも、隅々まで行き届いた優雅さがある。ヨーロッパ的な美意識っつうかね。
でも、何よりも酸いも甘いも知り抜いたような男としての表情。これに勝る服飾はないだろう。
マーティン・スコセッシはやっぱり偉大な監督だった。何も凝った演出をせず、最高の機材でひたすら彼らの表情を追えば、それだけで十分ゴージャスな映画のなることを知っていたんだからね。

自分が初めてリアルタイムで買ったローリング・ストーンズのアルバムは「刺青の男」だった。高校1年の春のことだ。
以来20年あまり、ほとんどのブツをリリースと同時に手に入れてきた。受験を控えてくさくさしてた時も、就職が決まらずにイライラしてた時も、女と別れて落ち込んでた時にも、ストーンズの新作にはいつも元気をもらった。
今回もそうなのだ。このところ悲しいニュースや怒り爆発みたいな日々が続いているから、そんな気分をぶっ飛ばしちまおうと思って、オレはいつも以上にこの新作を楽しみにしていた。
そして、期待以上の満足感を今感じている。またやられちまったよ。嬉しくてしょうがない。ざまあみろだ。つい笑みがこぼれてしまう。ジン・トニックを片手に、すごく幸せな2時間を過ごした。

正直言うと、最近まで自分の中でのストーンズは、「ブリッジス・トゥ・バビロン」で区切りが付いたと思っていた。ところが、「シャイン・ア・ライト」を劇場で観て以来、またまた熱くなってしまい、今こうしてディスプレイの中で躍動する彼らの姿を見て、大興奮して元気をもらっている。なんか、これじゃまるで高校1年のあの春と同じじゃないか…。

そう、同じなのだ。あの頃と何も変わっちゃいない。
つくづく思った。
俺はやっぱしストーンズが好きなんだ。そして、ストーンズが好きでいて本当によかったと…。

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ROLLING STONES」カテゴリの記事

コメント

ミック先生には脱帽です。ほんと映画館で観てよかったです。 20年前はキース=ストーンズ と多くの日本のロック小僧は思っていたのでしょうけどね。今では完全にミックの独壇場ですよね。

驚いたのは、HAGAさんがコレクターズボックスを購入した事とその中身の充実度合いが気になりますね。

おれは、キースは「計算している」と思うなぁ。いい意味で。
自分の立ち位置、実はしっかり分かっているんじゃないだろうか。
と、書きつつ、でも、酔っぱらったときのキースはなぁ、と、にやけてみたり、、、。

キースはいい。おれは、それだけですわ。
それをマネしているハリーも、マーシーも、いい。
あれだけ偉大なる日本のアーティストが、ほれ込んでいるんだもんなぁ、すげーーなーと(笑)。

そして、ミックさんも、すごい。たぶん15日間隔で、人間ドックいっているんじゃないだろうか。
そして、また、キースも。
あ、ロニーはわからん(笑)。

……、つまりは、ストーンズすごい。

キースは白のギブソン弾いてる時は、まったくノーマークで
勝手にゴールを決めようとするヘタなFW的存在ですね。

でもブルースやカントリー ルーツに近い演奏は素晴らしい
です。ミックの歌も。

今のゴージャスなバンド初めは馴染めなかったんですが、
こういうR&Bバンドがやりたかったのかな?
って、バンド初期の衝動に近いのかも?って感じます。

◆サッカー野郎KOBさん
>驚いたのは、HAGAさんがコレクターズボックスを購入した事とその中身の充実度合いが気になりますね。

そんなに驚くことかね?(笑)特典DVDとTシャツに惹かれまして。こういう特典なら大歓迎です(笑)。
それと意外に良かったのが、これはBOX以外ももちろん有りですが、歌詞の字幕です(これは映画にはなかったですよね)。僕ら世代だと山本安見さんの訳詞の印象が強いんですが、意外に誤訳が多いんですよね、あの人(苦笑)。今回の訳詞は山本さんとは全然違った印象。ストーンズのイメージにすごくあっていてカッコいいと思います。

◆dokemonoさん
そうか、計算してるか、あれは?そうかもね。そんな気もしてきた(笑)。
しかしカッコいいおっさんたちですよねー。俺はロン・ウッドのポジションも何気に好きです。ロニーがいるからストーンズ、ここまで持ってるってこともいえるしね。なんか、NICE MIDDLE+CHABO,コーチャンの時は、三宅伸ちゃんがロニーみたいなポジションですよね(笑)。

◆大内ONCHI真一さん
キースって、5弦弾いてる時はキマリまくりですが、レギュラーだといきなりグダグダだったりしますよね。あの落差が面白い(笑)。
今回はカントリーっぽい曲がいくつかセットに入ってるのがミソだと思います。ストーンズのカントリーは素晴らしいと僕も思いますよ。90年代ぐらいからオルタナ・カントリーなんていわれる人たちが出てきて、ストーンズのやるカントリーが、また再評価されてきたように思います。
LOVING CUPなんかもあんなにイイ曲だったんだなあ~と改めて感じました。ジャック・ホワイトはミックの隣りでかなり緊張してましたね…。

>今のゴージャスなバンド初めは馴染めなかったんですが、こういうR&Bバンドがやりたかったのかな?って、バンド初期の衝動に近いのかも?って感じます。

なるほど~。僕は「Steel Wheels」ツアー以降、ストーンズは別のバンドに再生したような感じでいましたが、そうではなく、最初期から夢見ていたR&Bマナーのフルバンドが今やっと実現できたってな見方のほうが、事実に近いのかもしれませんね。

しかし、ストーンズの話をあーだこーだするのは楽しいですねえ(笑)。メンバーのキャラが立っているから、バンドのあり方についてもいろんな想像をすることができちゃう。ファンならこれで一晩酒が呑めますよね(笑)。

俺、まだ観れてないんですよ・・・。
近々、購入した友人が何とかしてくれると思う。

最初、サントラ聴いたときは、音のみだったんで、結構、演奏(キースの演奏はってことだけど(苦笑))荒いなぁと気になって、映画館で絵つきでみてたら気にならなかったんですが、DVDで観ると、また別なんでしょうね。

>世界一一音あたりの単価が高いギタリスト(笑)。

ハハハ!
確かにそうかも!

>NICE MIDDLE+CHABO,コーチャンの時は、三宅伸ちゃんがロニーみたいなポジションですよね(笑)。

コレもスゲーわかる!

◆LA MOSCAさん
俺、何度も映像見てて、今度は逆に演奏のアラが気にならなくなってきた…(笑)。っていうかさ、こういうのを出してコアなファンからどう思われるか、当然彼らもわかってるわけですよ。にもかかわらず出しちゃう自信。これがスゴイと思うようになってきました。
ビーコン・シアターでのライブは確かに特別なものではあったんだけど、彼らの中では長いツアーの幾つかの夜の中の2つ、ぐらいの軽い認識でいるのかもしれませんね。

やっぱりスゴイよ、ストーンズは。「完全復活祭」クラスのライブを毎晩やってるようなもんだからねえ…(笑)。

SHINE A LIGHTで、ようやくストーンズに目覚めた超遅咲きの私。
でも最近は、本家より先にKeith Richardsのソロに手を出し(笑)、
ハマってしまいました。
ので、このDVDはいいかなぁ…と思ってたんですが。
あああ、読んでると映画観た時の感動がよみがえってきました。
やっぱり買おうかなぁ。。

◆ayakoさん
>でも最近は、本家より先にKeith Richardsのソロに手を出し(笑)、ハマってしまいました。

おー、ワイノーズですか?渋い!キースのソロワークはある意味、ストーンズよりもストーンズらしいですよね。僕は特にキース一枚目のソロアルバムをよく聴くんですが、ストーンズ以上に趣味に走ったところがたまらなく好きです。あれって変に作りこんでないところがいいと思うんですよね。シンプルなリフに不思議なメロディーを乗せた曲なんかを聴いてると、キースって延々続くようなビートが好きなのかなって思いますね。
ayakoちゃんは黒っぽいビートがお好きでしょ?スティーブ・ジョーダンのドラムはある意味チャーリー・ワッツよりも好みじゃない?僕はこのバンドのワディ・ワクテルっていうギタリストも大好きなんですよね。スティービー・ニックスのバックとかで活躍してた西海岸系のセッション・ミュージシャンです。キースとやるってのは意外と言えば意外なんですけど、相性はぴったりですね。骨太のレスポールの音色がたまりません。

そうなんです、Steve Jordanが好きって言ったら勧められたんです。
で、蓋を開けたらIvan NevilleにBootsy Collinsも参加。
ファンクな好物大集合~♪って感じでした(笑)
ギタリストは…うーん、ごめんなさいわかりません。
ギターって、実はあんまり耳に入ってこないんですよ(苦笑)
こんど気をつけて聴いてみます…

◆ayakoさん
え!ブッツィーも参加してたんだっけ?なんかクレジット、うろ覚えになっちゃってるなあ(苦笑)。もう一回ちゃんと見直さなければ…。
スティーブ・ジョーダンはいいよねえ。キレの深いビートっていうのかな、ミーターズに通じるような気持ち良さを感じます。この人は奥田民生とか郷ひろみとか(笑)、実は日本人とも多くやってますよね。
そうだ!ayakoちゃん、キースとスティーブに興味あるんだったら、チャック・ベリーの生誕60周年記念コンサートの記録映画、Hail! Hail! Rock 'n' Roll観るといいよ。チャックのダメ出しにふてくされるキースと、それを冷や冷やしながら見てるスティーブっていう貴重な(?)場面が出てきます(笑)。

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