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2009年7月18日 (土)

I shall be released

今朝、中央線の電車に揺られて仕事に向かう途中、ipodでボブ・ディラン&ザ・バンドの「偉大なる復活」を聴いていたら、ある曲で激しく気持ちが揺さぶられ、突然涙が止まらなくなってしまった。音楽を聴いていて涙ぐんでしまうことはよくあるんだけど、人前でここまで感情が抑制できなくなってしまったのは久々だ。自分で自分に驚いてしまった(苦笑)。

流れていた曲は「I Shall be Released」。
何千回も聴いている曲なのになんで今朝に限ってこんなに感動したのか、今だによくわからない。リチャード・マニュエルの哀感漂う声に打たれたのか、ガース・ハドソンの歌に寄り添うようなキーボードに反応したのか、はたまた夕べつまらない言い争いをしてしまった妻への懺悔なのか…(苦笑)。
ただ、一つ確信を持っていえることは、この曲には間違いなく自分の心の奥にある何かを激しく揺さぶるMAGICがあるということ。これはもう理屈じゃないんだ。優れた音楽には、目の前に広がるありふれた通勤の風景さえ飛び超えてしまう力があるということなのだろう。

大好きな曲だし、とてもシンプルな歌詞だからオレはこの曲を空で歌える。
でも、この詞、シンプルながらもすごく深いんだよね。やっぱりボブ・ディラン、一筋縄ではいかないというか…。「I Shall be Released」は、一般的には自由への願望が歌われていると解釈されることが多い。

サビでは、

Anyday now, anyday now,
I shall be released

と歌われ、これは日本語訳だと

いつの日か いつの日か
僕は自由になれる

みたいな訳になっていることが多い。

でもねえ、オレの感じるニュアンスはちょっと違うんですよ。
この詞のキモは「Anyday」という言葉だと思うんだ。ディランは「Someday」ではなくて、あえて「Anyday」と歌っている。ここが大事なところだ。具体的に言うと、ここは「いつの日か」じゃなくて「いつだって」というニュアンスだと思う。それから、「自由」にあたる言葉も「free」ではなくて「Released」になっている。これも、“あえて”ディランはこの言葉を使っているんだと思うんだ。

だから、自分なりに出だしのパート、

They say ev'rything can be replaced,
Yet ev'ry distance is not near.
So I remember ev'ry face
Of ev'ry man who put me here.
I see my light come shining
From the west unto the east.
Anyday now, anyday now,
I shall be released.

を訳すと、こんな感じになる。

全ての(辛く悲しい)物事も、やがては変わりゆくだろう
でも、それはすぐには起こらない
だから、私は通り過ぎていった人たちの顔を忘れないでいようと思う
(彼らがいたからこそ)私は今ここにいるのだから…
もうすぐ光が射してくるだろう
西から東へ
いつだって いつだって
(そう願えば)私は解き放たれるんだ。

どうだろう。
僕らは「いつか自由になる」んじゃなくて、本当の自由は自分で見つけるものなんだってことをボブ・ディランは歌ってたんじゃないかと思うんだ。そんなことに気が付いたのは、40過ぎてからなんだけどね(苦笑)。

そうか!やっとわかった。今朝はじっくりと歌詞を聴きながら聴いてたからなあ…。
あの涙は、天国からリチャード・マニュエルが降りてきていたからに違いない。

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コメント

Anyday now, anyday now,
I shall be released.

同感です。
しかもNOWがANYDAYを強調していると思います。

◆30代男さん
こういう詞を読むと、やっぱりディランは天才だと思います。僕は英語の微妙なニュアンスはわからないけど、アメリカ人はもっと深く歌詞の裏側を感じ取ってるんだろうな、って思いますね。

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