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2009年8月28日 (金)

個展 忌野清志郎の世界

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素晴らしい展覧会だった。もちろんメインは清志郎の絵であることに間違いはないのだけれど、そのほかにも舞台衣装やツアーパンフ、ポスター、それにおおくぼさんや操上さん、有賀さんなどの撮ったRCサクセションや忌野清志郎のカッコいい写真がたくさん展示されており、正にタイトルどおりの丸ごと“忌野清志郎の世界”。なんというか圧倒されてしまった。改めて忌野清志郎は日本唯一のロックスターなんだなあ、と思った。
そして、清志郎自身の確かな目線の感じられる素晴らしい絵画の数々…。雑誌やファンクラブの会報で見たことのある絵もたくさんあったけど、やはり実物を目の前にした感動は大きい。これは“清志郎が描いたものだから”という冠抜きでもやっぱり素晴らしいと思う。清志郎画伯初の個展、行ってよかった。本当に行ってよかったと思う。

僕が行ったのは、今日8月28日(金)。開場とほぼ同時刻に会場入りした。平日の昼間だからそんなに混んでないかと思ったら全然そんなことはなく、当日券売り場にはちょっとした列が出来ていたし、場内には老若男女けっこうな数のお客さんがいた。

入り口には有賀さんの撮ったモノクロのカッコいい清志郎のステージ写真がいきなりバーン!ここでオレは一気に清志郎の世界にぶっ飛んだね。
「個展 忌野清志郎の世界」と描かれた字は、筆跡から考えると清志郎本人の書いたものっぽい。今年の初めから企画を練っていたというから、その企画書かなんかに書かれた文字をトレースしたんだろうか…。早くもそこで身体が固まってしまう。

懐かしい写真、見たこともなかったようなポスターに圧倒されながら先を進むと、見覚えのあるステージ衣装の数々が…。スーツのタグには「KING BROTHERS」の文字が躍る。しっかし、間近で見ると本当に派手(笑)。こんな衣装を着こなしてしまえる日本人は、後にも先にも清志郎だけだろう。
「夢助」レコーディング後、メンフィスでライブをやった時のスーツなんかも展示してあった。これは映像ではわからなかったけど、実物はリネンみたいな薄い生地で、柄も歴代の衣装よりは落ち着いた感じでカッコよかった。これはオレ、着てみたいです。なんとか着こなせそうだし(ほんとか?(苦笑))。でも、一般人がこんなの着て街歩いたらヤクザと間違われちゃうだろうなあ(苦笑)。
そうそう、衣装の中には清志郎に良く似た人物、タイマーズのゼリーが被っていたヘルメットも展示されていたっけ。こんなのが間近で見られるとは…。

そしていよいよ清志郎画伯の作品の数々が待つフロアへ…。
まずは自画像と共に、清志郎が使っていた絵を描く道具の数々や、愛車オレンジ号などが置かれてあるエリアへ。パレットには絵の具が生々しく残っているし、オレンジ号のサドルの下には安全祈願のお守りが付いたまま。これはキタなあ…。背中を丸めてキャンパスにむかう清志郎の姿が浮かんでくるようだった。オレ、ここはどうしてもなかなか離れることができなかったなあ…。

絵に関しては、これから見る人もいるだろうから詳細は省く。でも、間違いなく見応えのあるものであることは保障する。中には額に入っていないものもあるから、絵の具の隆起なんかも間近に感じることができ、なんとも生々しい。
ブーアの森の原画、自画像、バンドのメンバーを描いた油絵、瀕死の双六問屋に掲載されていたイラストの原画、ファンには有名な「週間 鳩」の実物…。どれもこれも激しく胸を揺さぶられたが、オレが一番心に残ったのは、清志郎が自分の子供たち、モモちゃんとタッペイくんを描いた作品の数々だ。
オレは、5月2日以降、こういう家庭人としての清志郎に接すると、どうしても涙ぐんでしまうのを抑えきれない。ダメなんだよ、こういうの見ると…。音楽家としてもまだまだやりたいことはあっただろうけど、それ以上に父親としてはもっと無念だっただろうなあと思うと…。
オレが特に好きになったのは「兄弟」と名付けられた作品。モモちゃんとタッペイくんと思しき兄弟が熱心に絵を描いている。2人の真剣なまなざし。そしてその向こうには、その2人をじっと見つめる父親の目線が感じられ、同じ子を持つ身として胸が詰まった。

そして噂のスペシャル映像。これは未公開映像やPVなどを30分の映像にまとめたもので、7バージョンを曜日ごとに変えて流しているらしい。
オレが見たのは、RCのSUMMER TOURの頃のプライベート映像などが含まれていた。この頃の清志郎はガリガリに痩せていて、なんだか南国の派手なカマキリみたい(笑)。「NEW SONG」のリハ映像なんかかなり貴重なんじゃないだろうか。それから「スカイ・パイロット」のPVや、ブロッグヘッズがRCのライブに飛び入りした時の映像なんかもあった。これ、清志郎がメンバーを呼び込むところだけなんだけど、それでもすごくカッコいいんだよね。それから2・3’Sの頃の日野高校凱旋公演(途中で床が抜けちゃうやつ)とか、最近のものだと「愛を歌おう」のPVを撮った時の未公開シーンや、WANTED TOURや完全復活祭の打ち上げシーンなんかもあった。清志郎ったら、レンズに向かって「どうせ使わねえんだろ?こんなとこ」とか言ってんだよ(苦笑)。今見るとなんかもう…。

全部見終わったのは入場して2時間ぐらい経ってからだろうか。
楽しかった。感動した。素晴らしかった。じーんときた。少しだけ涙をこぼしてしまった…。とにかく、いろんな気持ちが頭の中を渦巻いて、しばらくは元の世界に戻れなかったってのが正直なところだ。

あれから4ヶ月近い時間が経っている。他の人のブログなんか見てると、みんなけっこう立ち直ってるみたいだよね。オレももちろん、といいたいところなんだけど、ダメなんだよなあ、実は…。ブログでは強がっていても、いまだに夜になると独りでめそめそしたりしてるんだ…。この展覧会でも、まだまだ現実を受け入れられないでいる自分に嫌でも気付かされてしまった。どうしてもキヨシの不在を受け入れられない。そういう気配を少しでも感じさせるものに触れると、気持ちが激しく、激しく揺れてしまう…。
たとえば、絵のクレジットを見ていても、今年の1月製作、なんてのがあるともう…。そんな時期でも筆をとっていたのか、そこまで表現に対する強い気持ちがあったのか、と思うともう…。

オレ、こんな気持ちを一生引きずって行くんだろうか…。
でも、心のどこかでそれでもいいと覚悟してることも確か。それだけデカイ存在だったんだよ、忌野清志郎は…。

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コメント

Y.HAGAさんだけじゃなく、他の方のブログでもレポを読んで、「スゲーよさそうだなぁ」と思いつつ、実は、あの日以来、初めて、今度の日曜に上京して時間もあるのですが。
悩んでます、行くか行かないか。
俺は逃げてるんだと思います。
そんなの一人で観に行って悲しくなるのは嫌だと。
ずるいと思うけど、まだ、全然受けとめられないんです、きっと。

◆LA MOSCAさん
んー、今日は日曜だからこっちにいらしてるのかな?せっかくだったら行ってみたら?悲しなってもイイじゃないですか。そういう気持になるのも供養のカタチかも、って僕は思います。
LA MOSCAさんのおっしゃることは僕もよくわかるんだ。行かれた方のブログを読むと「楽しかった」と書かれている方もけっこういらっしゃって、皆さんそれぞれ克服されてるんだなあ、それに比べてオレは小さいなあ、情けねえなあーなんて自己嫌悪に陥ったりもしましたもん、実は…(苦笑)。
でもね、オレはもうコレでいいと思ってんだ。この悲しみをいつまで引き摺るのかっていったら、これからもずっとそうかもしれないです。でも、これと一生付き合うのもイイかなって…。やがてはいつか会えるしね…。

本当に素晴らしかった。
HAGAさん、小さくなんかないですよ。
現実を受け入れられたわけじゃないんです。
いないということはやはり受け入れられてなくて、まだ変わらずいるように感じていて・・。
こういう、清志郎を感じ、清志郎の空気に触れる機会は、すごく嬉しいんだけど、実際に対面すると、嬉しくて感動する気持ちと同時に、たまらなくなる気持ちが出てくる。
前みたいに、とにかく嬉しい!幸せ!な気持ちだけになれるのはいつの日か・・。
きっと何年かこんな感じなのかもしれないです。

◆nobuさん
語弊のある言い方かもしれないけど、僕はこの展覧会、清志郎の「お墓参り」をしているような気分になりました。たまらん坂とか、清志郎の縁の地とされるところはいくつかありますが、自分の場合、そういうところは今行ってもあんまり清志郎を感じることができないんです、なぜか。それだったら、「七つ森」で清志郎がよく座ってた席でカレー食ってる方がマシ、みたいなね(笑)。

でも、この展示会は本人の息遣いが息苦しいほど感じられて…。この感じって、ほんとお墓参りみたいだなあって…。会期中、本人もちょくちょく遊びに来てるんじゃないかな、あの場所に。

めぐりめぐってこちらに辿り着きました。
清志郎がいなくなっちゃったことを今だに受け入れられない人、ここにいます!13年も日本を離れて暮らしているせいでもあるかもしれません。いつか、帰省する時期と彼のライブの時期を重ねてもう一度聴きにいけたらと思っていた。もう一度会いに行こうと思っていた。でももう日本に帰っても彼はどこにもいない。。。日々の忙しさにすっかり悲しみが薄らいだと自分でも思っていた、でも昨夜You tubeで清志郎に浸りまくって結局あの5月のどん底の気持ちに戻ってしまった。政治に対する怒り、考え方、才能、生き方、あふれる愛情、私にとって彼は神。仕事と学校があり個展を見に今は日本に帰れない、とてもとても悔しいです。せめてグッズが欲しいよ〜。失礼しました。。。

◆Mioさん
そうですよね、Mioさんのように海外にいらっしゃる方や、いろんな事情で個展をどうしても見ることのできない方も大勢いらっしゃるんでしょうね。
思ったんだけど、そんな人たちのためにも、作品の一部でもいいからいつでも観られるよう、何処かに常設できるといいなあ…。それが記念館やモニュメントみたいなものだったらなおいいですね。

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