« 小林克哉のRADIO BAKA | トップページ | 【映画】 20世紀少年 最終章 »

2009年9月14日 (月)

究極の中華麺の話

支那そば 佐川

住所:福島市森合屋敷下1-8
TEL:024-534-4669
営業時間:10:30~18:00
定休日:毎週木曜日
交通機関:福島交通飯坂線曽根田駅より徒歩5分

Dscn1750

田舎のラーメン屋に、白湯と昆布だしのダブルスープだの、じっくり煮込んだ究極チャーシューだのといった小洒落たワザを求めるのは野暮だと思う。そういうのは都会の有名店に任せておけばいいこと。地方には地方ならではの新鮮な食材と綺麗な水がある。それを使った昔から変わらぬ味の中華麺がある。それがまたびっくりするほど美味かったりするのだ。

都会に住んでる田舎者ならきっと憶えがあるだろう。名店と呼ばれている所は確かに美味い。だけど、遠い昔、ラーメンがまだご馳走だった頃に口に入れた、名も知れぬお店のあの味がどうしても忘れられない…。どんなに名店と呼ばれるラーメンを食べても、あの味にはかなわない…。そんな思いを抱いているラーメン好きは、実は多いのではないだろうか。
オレにとって、ここ「佐川」の「支那そば」は、そんな郷愁を100%満たしてくれる。シンプルな醤油系中華そばとして、これはオレにとって究極の一品だ。恐らく、一生かけてもこれ以上の中華麺には出会えないだろう。

実はこの店、かつては「佐川食堂」という名で、福島の町で30年以上も中華麺を出し続けてきた。
今でも憶えている。幼い日、父の後ろに付いて必死に自転車を漕ぎ、この店の暖簾をくぐると、お世辞にも綺麗とはいえない土間ブチの狭い店内に大勢の老若男女がひしめき合い、みな旨そうに支那そばを啜っていたあの光景を。銀の灰皿、三角のマッチ箱、手垢の付いた少年ジャンプ。ここはオレにとっては大衆食堂の原風景でもあるのだ。

今は店もずいぶんと綺麗になり、折からのラーメンブームにのって、わざわざ県外から食べに来るお客さんもいるらしい。だが、どんなに有名になろうとも、「佐川」の懐かしくも一本筋のとおった支那そばの味は少しも変わっていない。

Dscn1752

「佐川」のオヤジさんのこだわりその1。美味しいスープ。これは井戸水を使用し、なんと石釜で薪を焚いて作っているのだ。お店の外にはオヤジさん自らが斧をふるった薪木が並んでいる。
最新の厨房機器を使えば、こんな手間はかけなくて済むのかもしれない。だが、水道水を寸胴鍋で焚いたって、絶対にこの味にはならないだろう。鶏ガラベースの優しい甘みは臭みが出るぎりぎりのところで抑えてある。舌に優しく染み渡るこの味わいは、井戸水の新鮮さが効いているからに違いない。

そういえば、オレが初めて「東京風中華そば」を食べた時、なんとなくスープが苦いと感じたことを思い出す。それと、かん水と化学調味料の匂いが強く鼻を突いたことも…。それはそれで慣れてくると美味かったりもするのだけれど、「佐川」の純度の高いスープを口にすると、余計なものが入っていないシンプルなものこそ何より美味いという当たり前の事実に改めて気付かされる。

こだわりその2。ゆるく縮れて透き通った品のいい中華麺。この縮れ具合がスープとうまく絡んで絶妙の美味さを醸し出すのだ。
実は、この手の中華麺は昔よく市販されていた。「佐川」の麺は、昔、母親が買っていた「中華麺」という名の生麺の味にとても近い。懐かしくもこれが原点だということを改めて思い起こさせる説得力のある味だ。あの頃の中華麺、今ではとんと見かけなくなった。

こだわりその3。これだけこだわった中華麺を出していて、なんと値段はたったの400円!これでも値上げ後の価格で、少し前までは360円だったのだから呆れてしまう(笑)。
この値段だからこそ、ガキの頃のオレたちは、高校の帰り道にここに寄って腹ペコの胃袋を満たすことができた。都会では一杯800円もするようなラーメンも珍しくないが、そもそもラーメンとは、庶民が銭湯の帰りにポケットの小銭で気軽に口にできるぐらいのモノだったのである。

オレは、福島に帰ると必ず一度はここの「支那そば」を食べる。
「支那そば」と名付けられたメニューはあちこちで見かけるが、それは実はただの醤油ラーメンである場合がほとんど。「佐川」の「支那そば」は、そんなものとは一線を画す究極の一品なのだ。
でも、ほんとにここの「支那そば」が美味いのは、冬なんじゃないかなあ…。福島の冬は寒い。雪はあまり降らないが、吾妻連邦から吹き降ろしてくる風は、厚手のコートの襟からも容赦なく入ってきて身体を冷やしていく。
そんな時、「佐川」で食する「支那そば」は最高のご馳走なのだ。薪を焚いて作ったそのスープは熱く、外がいくら寒かろうとなかなか冷めない。優しい味わいの麺とともに、冷えた身体を芯から温めてくれるのだ。

ニュースが北国での初雪の話題を取上げるたびに、オレは「佐川」の懐かしい「支那そば」の味を思い出す。
今年の冬は故郷に帰れるだろうか…。

|

« 小林克哉のRADIO BAKA | トップページ | 【映画】 20世紀少年 最終章 »

日記」カテゴリの記事

コメント

こんばんわ
8/29のブログで紹介してもらった
ノーズウォーターズのボーカルです

文を読んですごく嬉しくなったので
おもわずコメントしました
本当にありがとうございます!

またライブに遊びに来てくださいね

投稿: 崎枝 | 2009年9月15日 (火) 01時00分

◆崎枝さん
うわっ!まさかまさか崎枝さんから直接コメントいただけるなんて!ブログやってて良かった(笑)。
一介のサラリーマンゆえ、なかなか行けるライブも限られちゃいますが、ノーズウォーターズのライブ、近いうちに是非行きたいと思ってます。これからも楽しくハッピーな歌を歌い続けてくださいね。

投稿: Y.HAGA | 2009年9月15日 (火) 14時57分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/111538/46210511

この記事へのトラックバック一覧です: 究極の中華麺の話:

» ケノーベルからリンクのご案内(2009/09/15 08:41) [ケノーベル エージェント]
福島市エージェント:貴殿の記事ダイジェストをGoogle Earth(TM)とGoogle Map(TM)のエージェントに掲載いたしました。訪問をお待ちしています。 [続きを読む]

受信: 2009年9月15日 (火) 08時42分

« 小林克哉のRADIO BAKA | トップページ | 【映画】 20世紀少年 最終章 »