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2009年11月29日 (日)

「エグザイル・オン・メイン・ビーチ」 / ソウル・フラワー・ユニオン

61afxspnfzl_410月にリリースされたソウル・フラワー・ユニオン10年ぶりのライブアルバム。これは今、オレにとって最高のヘビロテ・アルバム。11月は憑かれたようにこればっか聴いてるなあ…。

実を言うと、ソウル・フラワー・ユニオンは、最近まで毎回ライブをチェックするようなバンドではなかったんだ。見たい事は観たいんだけど、ちょっと立て込んでる用事がある時は見送ってしまう、みたいな…。要するに、自分の中ではあって当たり前のバンドで、時々無性にライブを観たくなるような位置付けだったのだ。似たようなところだと、シーナ・アンド・ロケッツやクロマニヨンズみたいな感じかな…。
それが、このアルバムで一気に自分の中のソウル・フラワー熱がぶり返してしまった。もう、是が非でもライブに行きたくて行きたくて仕方がない。中川の作る新しい曲が聞きたくて聴きたくてしょうがない。こんな良いバンド、何で今まで軽くスルーしてきたんだ、オレのバカ!ってなレベルまで上がってしまったのである(笑)。

このアルバムは、久しぶりにライブ盤を出すってことを意識してか、収められてるのは代表曲ばかり。それも、「満月の夕」や「海行かば 山行かば 踊るかばね」みたいな定番曲と、「月光ファンファーレ」や「ラヴィエベル」みたいな最近の傑作とが絶妙のバランスで収められている。おそらく、もっと収録時間を増やし、間に中川敬のMCを入れれば、そのまま最近のソウル・フラワー・ユニオンのライブになるだろう。つまり、これは何の仕掛けもなく、ただストレートにバンドの化学反応を収めただけのアルバムなのだ。これが大成功している。バンドの持つ底抜けに楽しい音楽性が余すところなくパッケージされているんだから。

80分の凝縮されたライブ盤を聴いていてつくづく思ったのは、中川敬ってほんとに今も昔も志の高いイイ曲を書いてるなあ、ってことだ。
キャリアの長いミュージシャンだと、過去に書いたマスターピースをなかなか超えられないなんてことがよくある。ファンのほうも新しい曲を理解しようとはするんだけど、どうしてもかつての名曲と比べて物足りなく思ってしまっていたり。
ところが、中川敬の作る歌にはそういう年代のブレが全くないのだ。多くのミュージシャンにもカバーされた名曲「満月の夕」と、最近のアルバムに入ってる「月光ファンファーレ」は、どっちも全く差のない高いテンションが維持されている。これって、けっこう驚異的なことなんじゃないの?
それでいて、演奏は昔より確実に上手くなってるから、昔の曲に時々あった頭でっかちなタッチも、もっとこなれた印象で聴き手の耳に飛び込んでくるようになった。中川敬はそう言われることを喜ばないかもしれないけれど、人はこれを“円熟”というのではないでしょうか?(笑)。

オレ、今のソウル・フラワー、ほんとに素晴らしいと思うよ。お世辞抜きに日本を代表するロックバンドと言ってもいいぐらいだと思う。
転がり続け、変わり続けるのがロックバンドだとはよく言うけれど、それって実はけっこうお題目的なところがあって、過去の遺産を超えられずに四苦八苦しているバンドもたくさんあるじゃん。そんなことはソウル・フラワー・ユニオンに限っては全くない。バンドの充実ぶりが、このライブ盤を聴いてるとほんと良くわかって嬉しくなってしまうのだ。

一刻も早くライブを観たいと思っていたら、直近のソウル・フラワー・ユニオンのライブは12月12日(土)。なんと麗蘭の東京公演と重なってしまった。が、今回はオレ、迷わずソウル・フラワー・ユニオンの方に行くことにしたぞっ!このアルバムを聴いて、今月のソウル・フラワー・アコースティック・バルチザンのライブを観て、オレは確信してしまった。このバンドは今最高に熟成された状態にある。味わうなら絶対に今だと。

CHABO、ゴメン!麗蘭は、京都磔磔で2日間観ますから…(笑)。

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コメント

こんばんはー
「エグザイル・オン・メインビーチ」
なかなか聴きごたえのあるアルバムみたいですね!
実は私も買おうかどうか迷ってて、結局未だ購入には至っていなかったのです。
「ライブアルバム」って、中々「これは!」って思えるものに出会えなくて・・・。

HAGAさんの記事を読んで興味が湧きました。
さっそく「ウィッシュリスト」の上位にランクイン

私もこのバンドとの出会いの遅さに、ちょっと悔しい思いをしています。

でも「今出会えたことに意味がある!に違いない」と勝手に解釈して自分を慰めております

12日のライブ楽しみですね

◆naoさん
このアルバムはライブ盤であると同時に、ソウル・フラワーのベスト盤的な要素もあると思います。もし、まだSFUを聞いたことが無い人にどれか一枚、ってことになったら、今の僕なら迷わずこのアルバムを勧めるなあ…。そのぐらい気に入ってるんです。

>12日のライブ楽しみですね

はい!無茶苦茶楽しみです!
オレ、ガンガンに踊っちゃうかもしれませんけど、白い目で見ないでね(苦笑)。

投稿: | 2009年11月29日 (日) 22時34分

SFUの曲って、ライヴ音源とスタジオ音源で印象ががらっと変わったことはないのですが、このアルバムを聞いてやはりライヴバンドという印象が強まりました。
最近のシングルにも、シングル曲に合わせたライヴ音源がてんこ盛りですが、『エグザイル~』はそれらとあまりかぶってないのがまた嬉しいです。

何より、比較的最近の曲が多くて、より“今”を感じられるのがよかったです。
でも、個人的には「ブルー・マンデー・パレード」(二日酔いのすすめ)は是非入れて欲しかった!
あと、「サヴァイヴァーズ・バンケット」はグッときました。定番の一つですが、もしかしたら今年だからこそ選曲されたのかも、などと思ったりしました。

10年前の『ハイ・タイド・アンド・ムーンライト・バッシュ』のときも思いましたが、数年区切りで出されるベスト盤より、ライヴ盤の方がベスト盤っぽい感じがします。

今度のライヴ、メンバーチェンジ後はじめて見ますが、新たにどんな唄を紡ぎだすのか(新曲だけではなく古い曲についても)、すごく楽しみです。

◆フィル・カスルさん
そうですね、SFUはやっぱりライヴですよね!シングルにライヴ音源をいっぱい詰め込む手法も、本人たちにライヴバンドの自覚が強くあるからだと思います。
でも、彼らって映像作品は意外に少ないですよね。会場に足を運んで欲しいっていう願いがあるのかもしれないけど、映像でも決定盤的なヤツが欲しいなあ…。

そういえば映像作品はすくないですね。
もしライヴDVDを出すとしたら、今までのライヴCDやビデオ(DVD)とは違って“ベストテイク”を集めたものではなく、一つの公演を最初から最後まで撮ったものを出して欲しいです。
ベスト・テイクが集められていると、逆につまらなく感じるというか…
編集するにしても、せめて1ターム内(SFUだと3か月?)で。(できればMCなどもカットせず)

◆フィル・カスルさん
いいですね~!SFUの一公演まるごとパック(笑)。中川のMCや会場の様子なんかも頻繁に映し込んだ映像を期待したいところです。

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