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2010年1月 1日 (金)

麗蘭2009「YOU - I」磔磔 vol.17 / 2009年12月29日(火)・30日(水) 京都・磔磔

麗蘭2009「YOU - I」磔磔 vol.17
2009年麗蘭are... 仲井戸麗市・土屋公平・早川岳晴(B)・JAH-RAH(Dr)
12月29日(火) open 17:45 / start 18:30
12月30日(水) open 16:45 / start 17:30
チケット料金:前売り6,500円(税込)STANDING

今年で17年目になるCHABOの年末の京都・磔磔ライブ。一口で17年と言うが、それは大変なことだと思う。CHABOも蘭丸も早川さんも、口にこそ出さないけれど、体調がすぐれない時や個人的にへヴィな時期だってあったに違いない。僕自身、家庭を持ってからは、年末に東京を離れてライブに行くのはなかなか難しくなってしまった。最近は、年末に京都に来るのは2年に一回のペース。それも、考えてみたら2年前は“麗と蘭”で、CHABOと蘭丸2人だけのライブだったから、バンドとして磔磔で見るのは、なんと4年ぶりなのだ。
ところが、今年は前の週までに家族全員が新型インフルエンザに感染し、僕もインフルの陽性反応こそ出なかったものの、直前に風邪をこじらせて高熱を出すというタイミングの悪さ。一時は、これでは京都行はダメかと覚悟したんだけど、大事をとって28日に別のライブをキャンセルして身体を休め、このライブにかける事にした。だって、今年は一生忘れられないヘヴィなことがたて続きに起きた年。こんな年こそ、せめてその締め括りにCHABOと同じ時間を一緒に過ごしたい…。そんな想いをとりわけ強く持ったのだ。

今、東京に帰ってきてしみじみ感じている。やっぱり無理してでも行って良かった。CHABOと、CHABOを愛するファン達と同じ時間を過ごせて本当に良かった。
高熱が続いたすぐ後に長時間立ちっぱなしでいたせいか、いまだに身体の節々が痛かったりするんだけど、それでも29日・30日の2日間、麗蘭の音のシャワーを浴びて、身も心もすごく浄化されたように感じる。

何より嬉しかったのは、磔磔ならではの、磔磔でしか聴けない独特の温かい音が十分に堪能できたことだ。しみじみ思った。AXやO-EASTで聴く麗蘭ももちろん素晴らしいんだけど、あの“磔磔サウンド”とでも言いたくなる丸く温かい音は、やっぱりここでしか聴く事ができないんだと…。その音は4年前と全く変わらなかった。磔磔が磔磔である要、“磔磔サウンド”を頑なに守り続けていることが、僕にはたまらなく嬉しかった。
この磔磔独特の音響は、フロアのやや後方にいるとより明瞭に伝わってくる。30日なんか、僕は蘭丸側のはるか後方のお立ち台で身体を揺すりながら、その“磔磔の音”に包まれている幸福感に、不意に涙ぐみそうになった。

もう一つ嬉しかったのは、今年の麗蘭からも、昨年から引き続いた“ロック・モード”が強く感じられたこと。これは昨年のO-EASTでのライブレポでも書いたことだけど、以前の麗蘭によく見られたスタイル、CHABOのアコギ+蘭丸のエレキに、パーカスのポリリズムっぽいビートを絡めるというタッチは、今は殆どない。現在の麗蘭は、17年前と比べると、よりオーソドックスな、4人ががっぷり組み合った骨太のロックバンドに変貌した。
そりゃあ、17年もやってりゃあ円熟味だって出てくるさ。でも、CHABOも蘭丸も、ちっとも丸くなってなんかいない。この日、CHABOがメインで使っていたのは黒のストラトとGODIN。松下工房製のSGをいくつも持ち替えて変化自在のファンクビートを叩き出す蘭丸と、“ちょっと大人気ないんじゃないの?”と思ってしまうぐらい(苦笑)、手数の多かったCHABOとの絡みは、17年前以上に激しく、鋭く、まだ麗蘭としてどこか遠くに行こうとする意思を強く感じさせた。

それと、JAH-RAHの加入はやっぱり大きいと思う。彼のドラムによって、特に麗蘭の持っていたファンク・テイストが、ますます強調されることになった。
ファンク色が最もわかり易い形で表れていたのが、定番中の定番、「ミッドナイト・ブギ」。時代時代で様々にアレンジを変えて演奏されるこのマスターピース、今年はへヴィ・ファンクなぶっといアレンジになっていた。それから、久々の感のある「ハイキング」は、2拍目のアクセントを強めたモダンなアレンジで、オリジナルの牧歌的なタッチは影を潜め、フロアの空気をかき混ぜるようなグルーヴ感を醸し出していた。
そうかと思うと、懐かしい「待ちわびるサンセット」が飛び出したりする。蘭丸はもちろん12弦!イントロに絡むCHABOのアコギも最高だった。…これは初期麗蘭の十八番というべき組み合わせなんだけどね。
そんな風に、サウンド的にはよりロックっぽくなり、蘭丸がボーカルをとった「光るゼブラのブギー」や、30日のみ演奏された「Blue Blue」などを除けば、ブルースっぽいタッチは例年より少なかった。なんて言うのか、CHABO自身がそんな気分じゃなかったんだと思うな。憂鬱でリアルすぎる現実なんかぶっ飛ばしちまう、コシの強いビート。今年の麗蘭が狙ったのは、CHABOが出したかったのは、そんなサウンドだったんだと思う。

そして、「今夜R&Bを…」。あんな事があった年だから、今年磔磔で聴く「今夜R&Bを…」は、たまらないものがあるだろうと思っていたが、いつも以上に引き締まった表情でイントロを爪弾く早川さんをはじめ、4人の魂のこもった演奏には本当に胸を打たれた。CHABOは、この曲の演奏前に、“今年も磔磔でこの曲を歌わせてくれ!”といったあと、“今年こそこの曲を歌わせてくれ”と確かに言った。そこにどんな意味がこめられていたのか、誰もが理解したことだろう。間奏には、なんと「スローバラード」まで挟み込み、何度も何度も天を指差して、遠くに行ってしまった親友をリスペクトする。
僕は、涙が出そうになるのを必死で堪えながらこんなことを思ったんだ。生きていくということは、大事なモノを否応なく喪っていくことなのかもしれない。そして「今夜R&Bを…」は、遠くへ行ってしまった人や古き良き音楽をリスペクトするだけではなく、生き残った僕らが朝日を感じるための歌だったんだと…。

CHABOの想いは磔磔に詰め掛けたファンに独り残らず伝わっていたと思う。カバーで取り上げられたビートルズの「I call your name」。新曲「Spirit」での“命以外、もう何にも失うものなどない…”という歌詞…。まったく、まったく、なんて歌詞なんだ…。
歳を重ねることで何より辛いのは、大事にしていたものが自分ではどうすることもできないまま遠くへ行ってしまうことなんだと、44年生きてきて、なんとなく僕にもわかるようになってきた。きっと、僕らはこれからもそんな経験を何度も経験しなければならないんだろう。だけど、それが人生であるのなら…。そう、俺たちはもう命以外、何にも失うものなどない…。

30日、すべてが終わった時、もしかしたらあれはオフマイクだったのかもしれないけど、CHABOははっきりと“ああ、終わった…”と言った。
CHABOは、決して2009年にあった辛い出来事を具体的に話したわけではない。そんなヘヴィなライブでは全くなく、むしろいつも以上に楽しいMCで、みんなを笑わせ、元気にしてくれた。でも、やっぱり間違いなく辛いライブでもあったんだと思う。この2日間は、ある意味壮絶なライブだったと僕は思った。

でもね、同時にすごく力を与えてくれた2日間でもあったんだよ。
根拠はないし、何に対してそう思ったのか自分でもよくわからないんだけど、僕らもCHABOも、もう“大丈夫”。なんだか強くそう感じた。

ありがとう、CHABO。
2009年は酷い年でしたね…。
2010年、いい年にしようぜ。俺も俺のフィールドで精いっぱい頑張ってみますよ…。

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仲井戸“CHABO”麗市」カテゴリの記事

コメント

HAGAさん、明けましておめでとうございます。
今年はいろいろあって、京都行きは断念したのだけど、無理してでも行けば良かったなと、ちょっと後悔。でも、HAGAさんのレポで行った気分になってます。
きっと今年はいい年になりますよ。
HAGAさんも忙しそうですが、お身体には気をつけてくださいね。
今年もよろしくお願いします。

投稿: りんりん | 2010年1月 3日 (日) 00時15分

いつもシチュエーションがくっきり浮かぶライヴ・レポありがとうございます。
麗蘭も磔磔もご無沙汰しているので噛みしめて読ませていただきました。

>磔磔サウンド
素敵な表現ですね。思い出します、あの身体に伝わる振動や空気、空間全て。

今年はチャボのライヴも頑張って行けるようにしたいと思ってます。
HAGAさんのいろいろなお話、今年も楽しみにしていますね。

投稿: Lavinia | 2010年1月 3日 (日) 03時59分

◆りんりんさん
明けましておめでとうございます。僕、今年こそはりんりんさんの地元でじっくり飲みたいと思ってます(笑)。
京都は僕もちょっと無理して行ったんですけど、やっぱり行って良かったなあ。CHABOに元気をもらって帰ってきました。うん、2010年はきっと素晴らしい年になりますよね!
今年もよろしくお願いします。

投稿: Y.HAGA | 2010年1月 3日 (日) 07時13分

◆Laviniaさん
僕も、昨年はLaviniaさんちのキンクス話や、Laviniaさんの計刑されたRCのライブレポを楽しませてもらってました。Laviniaさんは過去のライブの記録など、とても詳細に記録されているのでいつも驚かされます。今年も時々そちらにお邪魔させていただきますので、どうぞ宜しくお願いします。

投稿: Y.HAGA | 2010年1月 3日 (日) 08時09分

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
毎度のことながら、行けない俺も行った気にさせてくれる
素敵なレポ、ありがとうございます!
ひとつも観に行けてないけど、昨年のチャボは例年にもまして
凄かったんですね~。
観たかった!

投稿: LA MOSCA | 2010年1月 3日 (日) 22時21分

あけましておめでとう

京都の空気が伝わるレポート

読ませていただきました。

変わらないバンドのすごさと

変化してるバンドのすごさを

なんだか同時に味わったようですね

投稿: NOAH | 2010年1月 5日 (火) 10時04分

あけましておめでとうございます。
せっかく磔磔でお目にかかりながら、ご挨拶もままならない感じでしたが…体調はもう大丈夫ですか? お大事になさってください。

私、北澤さんの大ファンなんで「ドラム変わるのやだぁ~」と、当日の昼まで駄々こねてました(苦笑)。ビルボードもパスしちゃったし(自分のバンドのライヴの前日で、余裕がなかったってのもあるんですが)。
でもJAH-RAHさんなかなか良かったですね! 彼が入ったことでいろんな曲が生まれ変わりそうな予感がしてて、とても楽しみです。写真より可愛らしい印象だったのもポイント高かったです(笑)。

清志郎さんの不在を引きずっているCHABOさんを観るのが辛くて、今年の後半はCHABOさんからかなり距離を置いてました。でも磔磔観て、いい意味で吹っ切れたんじゃないかなって印象を受けました。


2010年、きっといい年になると思います。CHABOさんにとっても、私たちにとっても。
今年もよろしくお願いします。


そうそう。
おおはた雄一さん、私結構好きですよ♪

投稿: ayako | 2010年1月 5日 (火) 18時49分

明けましておめでとうございます。
インフルエンザ大変でしたね。体調はもう大丈夫ですか?
レポ、読ませていただきました。ありがとうございます。
(ライブに行けない私には、とても、ありがたいのです)
うだうだ言ってないで、うごけ私!、とカツを入れたくなりました。
今年も、おじゃまさせてくださいね。よろしく、お願いします。

投稿: miyama | 2010年1月 6日 (水) 00時09分

◆LA MOSCAさん
>ひとつも観に行けてないけど、昨年のチャボは例年にもまして
凄かったんですね~。

そうですねえ。あんなことがあった年ですからね…。今年はCHABO、精力的にツアーで地方を回るみたいです。LA MOSCAさんのお近くも回るかもしれませんね。是非、今のCHABOを体験してみてください。

投稿: Y.HAGA | 2010年1月 6日 (水) 09時22分

◆NOAHさん
あけましておめでとうございます。

>変わらないバンドのすごさと変化してるバンドのすごさを
なんだか同時に味わったようですね

一夜限りのユニットとして登場した麗蘭も、もうベテランといわれるキャリアになりました。でも、麗蘭に関しては変わらないものもあるし、変わったものもある…。少しも固まらないところに勇気付けられます。

投稿: Y.HAGA | 2010年1月 6日 (水) 09時26分

◆ayakoさん
いやあ~昨年はライブ会場で何度かayakoさんにお会いしましたが、あまりお話もできないことが多かったですね。今年はどっかでゆっくり飲みましょう(笑)。

実は、僕も何も北澤さん、換えることないのに…。と思ったりしてました。でもJAH-RAHは、パーカスもバリエーション豊富だし、ちょっと麗蘭初期っぽいタッチが戻ってきたなあ、なんて感じましたよ。

>おおはた雄一さん、私結構好きですよ♪

年末のヒロシとの共演以来、僕もおおはた君、気になってるんですよねえ~。まずは「おだやかな暮らし」が入ってるアルバムから入ってみようかな…。

投稿: Y.HAGA | 2010年1月 6日 (水) 09時37分

◆miyamaさん
体調はもう大丈夫です。昨日まで家族で大阪に遊びに行ってたぐらいですから(笑)。
今年はCHABO、かなり地方を回るみたいなので、きっとmiyamaさんも見るチャンスがあるんじゃないかな。精力的に動くCHABOをみてると、こっちも励まされますね。

投稿: Y.HAGA | 2010年1月 6日 (水) 09時42分

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