【映画】 今度は愛妻家
この映画を観ようと思ったきっかけは、下のトピのとおりであります(笑)。なんとなーく、これは、オレみたいに素直に妻に気持ちを伝える事ができない、ダメダメ亭主が観るのに向いてるんじゃないかなあ~なんて思ったんだよね。
果たして、豊川悦司演じるカメラマンの夫、俊介は妻への愛情を素直に表現する事が下手クソで、仕事も適当、家事もしない予想どおりのダメ夫であった。ま、いくらなんでも、オレはここまで酷くないけど(苦笑)。
で、このダメ夫を献身的に支える健康オタクの妻を演じてるのが、なんと薬師丸ひろ子なんだな!薬師丸さんってのは、自分ら世代の男にとっては、もう絶対的な存在なのだ。団塊のおじさんたちがみんな吉永小百合にひれ伏しちゃうように、自分ら世代の男どもにとって、薬師丸ひろ子はずーっと大事にしたい永遠の女性像。トヨエツと薬師丸さんが夫婦を演じるだけでも、見てみたいなあーと十分に思わされる映画だったんですよ。
最初はもう、予想どおりの展開だった。トヨエツ演じるぐうたらカメラマンのダメダメぶりに笑わされ、近年にないほどチャーミングに撮られた薬師丸ひろ子に胸ときめかせ…。
ところが、中盤からストーリーは急転直下の展開を見せ始める。ついに夫に三行半を突きつける妻…。それは実は…。これから観る人のために、あえてこれは書きませんが、もう、予想だにできなかった方向に映画は進むのであった。
そして…。オレはだんだんヤバくなってきたのである。何がって?涙腺がだ!(苦笑)この映画、公開されたばかりで評判いいみたいだから、平日の昼間だってのに、オレは前・後ろ・左右全部お客さんに囲まれて座っている状態。映画のテーマがテーマだけに、恋人同士で来ているような人たちも多い。こんな密集状態で泣いたら、恐らくそれはバレバレだろう。平日一人で映画を観にきている40男が、スクリーンに向かって嗚咽…。うーんそれはかなりイタい光景だぞ(苦笑)。
だが、ヤバい。切ないのだ。セツナ過ぎる。ふと気が付いた。この映画を撮った行定勲ってのは、あの日本中を泣かせた“セカチュー”を撮った監督じゃなかったか!いわば泣かせの達人だ。しまった!ヤツの手中にまんまと乗せられている…。くそーっ、そう簡単には泣かないぞ。こんなの、わかり切った泣かせの展開じゃないか!わかっている、わかっているんだけど…。
ダメでした(苦笑)。もうオレ、号泣してしまいました(泣笑)。
行定勲、ズルいぜ!はっきり言って、妻子持ちの40男に、このストーリーは反則でしょう!(笑)。詳しく書けないけど、先日のトピみたいなことを常日頃感じてるオレには、これはツボに入りすぎる話であった。
トヨエツの台詞は、もうじんじん来過ぎて胃が痛くなるほど。心に残った台詞はいっぱいあったけど、なんつっても、ラストの「行ってきます」だ。参った、これには。それまで十分泣いたのに、オレ、ここでまた涙。エンドロールになっても涙が止まらなくなっちゃったのには、我ながら焦ったなあ(苦笑)。
ってなわけで、これはできる限り前情報は何も入れずに見たほうが絶対いい。なので、このレビューも、良かった、泣いてしまったとだけしか書かないでおく。
でも、ほんとにそれで十分なんだもん。断言できるのは、気が早いけど、年末の日本アカデミー賞で、この映画はきっと賞をたくさんとるだろうってこと。
トヨエツのダメっぷりも、石橋蓮司演じたおせっかいなオカマの怪演ぶりも素晴らしかった。
でも、なんつっても薬師丸ひろ子だなあ…。最近は、テレビにしても映画にしても、“ちょっとそういう役はないでしょう…”と言いたくなるような、キツイものが多かったように思うんだけど、この映画の薬師丸さんはとにかく素敵だった。なんでも、行定監督は僕らと同世代で、大の薬師丸フリークらしい。で、カメラの福本淳と“薬師丸ひろ子を、とにかく可愛く撮る”という裏テーマ(笑)を徹底的に突き詰めたそうだ。
映画の中で、トヨエツの構えたカメラのファインダーの中に映った彼女の姿は、泣きたくなるほどチャーミングだった。一連の角川映画で薬師丸さんに胸焦がした世代は、絶対この映画を観て欲しいと思う。彼女と一緒に歳を重ねられたことを、ほんとうに幸せに思うに違いないから。
それにしても、日常の何気ない出来事も、この一瞬を誰かとすごしていることも、本当にかけがえのないものなんですね…。そういうことが、しみじみと伝わるイイ映画でした。
いやあ~、泣いた、泣いた(苦笑)。
なんか、涙とともに自分の中の汚れた部分も洗い流されたような気持ちになった。
« 「愛してる」って、難しい。 | トップページ | 【本】YOU MAY DREAM / シーナ(著) »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 【映画】 さよなら渓谷(2013.06.26)
- 【映画】 黄金を抱いて翔べ / 監督・井筒和幸 原作・高村薫(2012.12.03)
- 【映画】 夢売るふたり/西川美和監督作品(2012.09.12)
- 【映画】「山下達郎 シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012」(2012.08.27)
- 【映画】へルタースケルター(2012.08.02)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 【映画】 今度は愛妻家:
» 「今度は愛妻家」大切な人にありがとうと言いたくなる [soramove]
「今度は愛妻家」★★★★
豊川悦司、薬師丸ひろ子主演
行定勲監督、131分 、 2010年1月16日公開、2009年
→ ★映画のブログ★
どんなブログが人気なのか知りたい←
「北見俊介(豊川悦司)はかつては売れっ子のカメラマン、
今は仕事もせずいわばプータロー生活。
クリスマス直前のある日、俊介は妻のさくら(薬師丸ひろ子)に
せがまれて沖縄へと2人で出かける。
しかし、その日を境にさくらと俊介に微... [続きを読む]
この映画、あまり、というか殆ど映画館なんて行かない俺も凄く気になってたんですが、この記事読んで是非とも観たくなりました。
HAGAさん、ウチはまもなく17年です。
お互い、いろいろあるだろうけど、これからも上手くやっていきましょうね!(笑)
投稿: LA MOSCA | 2010年1月26日 (火) 21:00
◆LA MOSCAさん
観てください、観てください!僕が観に行った回は、意外に中高年のご夫婦が多かったんですが、これは本来僕ら世代に向けて作られていると思います。
薬師丸さん(なぜか、オレは昔から彼女にはこう言ってしまうんだよなあ~)、スゲエ可愛いですよ!
>HAGAさん、ウチはまもなく17年です。
17年ですか~!それはスゴイですよねえ…。オレも頑張ろう!(笑)
投稿: Y.HAGA | 2010年1月27日 (水) 12:47
映画、ご覧になったんですね。
実は、私は映画もみたいと思っていたのですが、本を読みたいと思って(見るかどうか解らないので)入手し読み終えたその日に、この日記を拝見したのです。
何たる偶然、と、ちょっとびっくりしました。
ストーリは、たしかに明かせませんけど、原作の終盤(おそらく映画でも)、「え、これってもしかして…?」と思っていたところに、ああ…やっぱり…。
泣けましたね、本当に…。
これ、本当の原作は2002年に舞台で上演されたものだそうです。
DVDにもなっているそうですよ。
ちなみにうちは、今年で丸18年を迎えます、子供はいませんけど(笑)。
投稿: YUMI | 2010年1月30日 (土) 00:36
◆YUMIさん
>これ、本当の原作は2002年に舞台で上演されたものだそうです。
そうなんですってね!僕も後から知ってちょっと驚きました。これを舞台にするのはけっこう難しそうな気がして…。
あと、映画では薬師丸さんとかトヨエツとか石橋さんとか、役者さんの魅力も大きかったので、恐らく舞台とはまた味わいの違うものになっているような気がします。
うーん、この映画、もう一回観たいなあ…。結末がわかっていてもやっぱり泣いちゃうような気がします…(苦笑)。
投稿: Y.HAGA | 2010年1月31日 (日) 20:30
HAGAさんが号泣されたと読んで、行こうって決めました。
行ってよかった・・・
今日、ダンナさんと観に行きました。
ストーリー知らずに行ったので、びっくりしました。
何故か、ハッピーエンドと勝手に思ってたので・・・
今、言わないといけないねって話しました。
来年、銀婚式なんですよ。
「お祝いしないとね。」って話しました。
投稿: セロー | 2010年2月 1日 (月) 22:37
◆セローさん
そう、僕もびっくりしました。“え?こうなっちゃうの!”っていう、急転直下の展開。心がざわざわしましたねー。
でも、銀婚式を前にした今の時期にご覧になったっていうのは、タイミング的にはばっちりだったんじゃないでしょうか?男はついつい記念日とかを忘れてしまいがちですが、やっぱり節目としてそういうことを噛み締めることは大事なんだなあ、って最近思います。
投稿: Y.HAGA | 2010年2月 3日 (水) 10:38