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2010年1月26日 (火)

【本】YOU MAY DREAM / シーナ(著)

Sheenadream_obi_2 さらに夫婦ネタは続く(笑)。
先日の妻に対しての気持ちを書いたトピは、後から読み返すと、我ながらえらいこっぱずかしいんですが、そういうこっぱずかしいことを今年はどんどん言おうと思ってんのよ、オレ(苦笑)。
だって、ミュージシャンは歌で愛しい人への想いを、たくさんの人たちの前で堂々と歌ってるわけじゃん。こっぱずかしいことを堂々とやってるわけですよね、彼らは。誰だって、恋人とか家族とかに対するLOVEって一番身近なLOVEだから、そういう気持ちを表に出すのはとても自然なこと。だったらオレも…。と、まあそう思ったわけなんだけど…。うーん、オレみたいな小市民がそれをやると、なんでこうもこっぱずかしくなっちゃうんだろう…(苦笑)。
いいんです!オレ、今年は半径5メートルの大切な人へ、自分の気持ちをきちんと伝えることをひとつの目標にしてるんですから!

先日のトピで、うちは“似たもの夫婦”じゃないって話をしたが、最近“似たもの夫婦”の代表選手の本を読んだ。そう、日本において“夫婦ロック”という新しいジャンルを築いた(ほんとかよ!(笑))、シーナ&ロケッツのシーナさん初の書き下ろしでございます。
若い頃、オレはこの夫婦のあり方にとても憧れたんだ。だって、シーナさんと鮎川さんというロックの申し子みたいな二人が出会ったのは、もう奇跡のようにロマンチックな話だし、結婚して子供ができてもバンドを続け、娘さんたちもロックの道へ…なんていうのは、フィクションにしたって出来過ぎてると思っちゃうぐらいだ。オレら世代には、この夫婦を日本のジョン&ヨーコみたいに捉えてる人もきっと多いと思う。大げさに言うと、シナロケってのは、音楽だけじゃなく、ロック世代の新しいファミリーのあり方まで見せてくれていると思うのだ。
だから、バンド結成30年にして初めて書き上げたこの本で、シーナさんが家庭やバンド内での鮎川さんとの関係をどんな風に語っているのか、とても興味があった。

本は、少女時代、鮎川さんとの出逢い、バンドとしてのデビュー、そして家族と4つの章に分かれていて、それぞれの章の巻末には、鮎川さんのコメントも挿入されているという、このバンドのスタンスそのままの形で構成されている。

読んでますます強く思ったのは、ほんとにこの二人は出会うべくして出会ったんだなあ、ってことだ。今まで表に出ていたシナロケ・ヒストリーだと、サンハウスを解散した鮎川さんが、その時すでに結婚していたシーナをボーカルに据えて新バンドを作り、満を持して東京に進出した、みたいな感じだったと思う。いわば、鮎川さん主導でシーナさんボーカルのバンドを作り上げていった、みたいなニュアンスだ。
でも、事実はそうじゃないんだよね。鮎川さんとシーナの関係は、もっとフィフティ・フィフティ。サンハウスが解散した時、鮎川さんはどんずまりの状態で、これから何をしたらいいのか全くわからず、精神的にも危機に陥っていたという。それを支えたのが、どこまでも明るいシーナだったのだ。そして、鮎川さんが、ある女性ボーカルのバッキングの仕事を頼まれた時、たまたま一曲だけシーナに歌うチャンスが回ってきたのがきっかけで、シーナが“私、歌いたいの!”と初めて気持ちを打ち明け、稀代のロックバンドが生まれたというわけである。

オレ、“女性って強いなあ…”と思いましたよ。鮎川さんだって、もちろんロックな感性バリバリの人なんだけど、直感で動く大胆さと芯の強さはむしろシーナの方が上なんじゃないだろうか。言い方を変えると、鮎川さんはR&Rを演奏するバンドを作りたいという気持ち以上に、シーナさんと一緒にバンドでプレイすることが大前提なんだろう。同じ方向を向いていることが、ほんとうにカッコよく見える2人。陳腐な言い方だけど、やっぱ“ロックな夫婦”だなあ…。

そうそう、この本には、シーナの声のことも包み隠さずかかれてあった。
ここ数年、シーナの声が酷い状態に陥っていたことは、ライブに行ったファン誰もが認めざるを得ない事実だったのだが、なんと、シーナは数年前から喉にポリープがあったことを知っていたというのだ!でも、彼女はライブだけは絶対キャンセルしたくないという一心で、身体を騙し騙しやってきた。それが最悪の状態に陥ったのが、2009年の1月。そう、CHABOをゲストに迎えて福岡のビルボードでやったライブの時期だ。あの頃、シーナは声が出ないどころか、呼吸が苦しくてステージで窒息してしまうのではないかと思った事すらあったという。
CHABOとのライブが終わり、さすがにこれはダメだと観念して病院に駆け込んだシーナを待っていたのは、最悪の告知だった。ポリープが声帯全部に広がり、声帯がゼリー状に腫れ上がっていたという。ここまできたら、もう手術以外に治す手だてがない…。
当たり前だが、ボーカリストが喉にメスを入れるということは、ものすごいリスクを伴う。シーナは、何度も悪夢に襲われ、汗びっしょりで目覚める日々を過ごしたというが、幸運にも、この方面の名医に執刀してもらったおかげで、経過は良好。それどころか、以前のようなポップな声も戻ってくるという幸せな結果になったというわけ。
オレが噂で聞いていたシーナの禁煙というのは、実は、それどころではない大変な事態が裏にあったというわけだ。

驚いたことに、鮎川さんもタバコを止めたという。サングラスと煙草がトレードマークだった、あの鮎川誠がだよ!
ただ、その理由はシーナとは全く違うと言っていて、きっかけは、娘さんの“タバコを止めたら音が良く聞こえるし、色も綺麗に見える”という何気ない一言だったらしいのだ。
で、ここからがカッコいい話だと思うんだけど、鮎川さんは禁煙にロックを感じたと言うのだ。なんで禁煙がロックなの?って思うかい?ふっふっふ。何かを感じたら即行動に移す。ビビッときたら“ジャジャーン”!それがロック。わかんない人には一生わかんない感覚。一瞬のひらめきを感じた鮎川さんは、以来、日に60本吸ってたタバコをぷっつりと止めた。
そして彼は言う。タバコを止めたことで、故郷の花である椿が信じられないぐらいに綺麗に見えるようになったと。鮎川さんは、健康のためにタバコを止めたのではなく、美しい椿をもっと見るためにタバコを止めたと言うのだ。

CHABOも“素敵な話ですねえ…”と感心していたらしいが、オレもこれはすごくカッコいい話だと思う。
もしかしたら、この理由は鮎川さんにとって伊達なのかもしれない。だけど、伊達でもなんでもいいのだ。あえて“健康のため”とか“シーナのため”とか言わないところがクールじゃないか。こういう伊達なスタイルを“粋”っていうんじゃないのかなあ?
ロックって瞬間瞬間に感じ取るもの。感じ取ったらパッと動くもの。そういう生き方を選んだ二人だってことが良くわかって、シーナ&ロケッツというバンドがますます愛おしくなる一冊でした。

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コメント

そうかあ。シーナの声はそういうわけだったのか。
でもほんとよかった。
鮎川さんの禁煙も。
ほんと、カッコいいふたりですね。
またみにいきたいです。

投稿: nobu | 2010年1月28日 (木) 23時07分

ロックンローラーって何でもロックに結び付けて
ロックだからOKって!!
でもそれは逆で
何でもロックに感じられる心を持っている人が
ロックンローラーなんだと!!
なんて事を思ったりしました。
禁煙するもしないもロックですが
鮎川さんの話はカッコいいです!!粋ですね!!
僕もロックな心で生きたいです!!
シーナ&ロケッツ、実は余り聴いた事が無くて・・・
友達がいつもレモンティーを歌っているのを聴いていた位で・・・
聴いてみたいと思います!!

投稿: 美海工房ターツー | 2010年1月28日 (木) 23時19分

シナロケ嫁が好きでウチにアルバム揃ってて時々聞きます。
(ライブは24年前に大学の学園祭で見たきり笑)

後、ボクは鮎川さんのキャラが好きでインタビューやTV出演
あれば必ず見てます。

ホントに夫婦仲良しですね。
鮎川さんはシーナをほんとに尊敬しててそれを隠さない。
日本の男性って奥さんを「愚妻」とか言ったりして絶対それは善くない。
だからHAGAさんもどんどんこっぱずかしいこと書いて下さい(笑
それは絶対カッコいいですよ。

対してシーナさん、アルバム「@HEART」の中で
「MAKOTO IS MY LOVE」なんてスィートなラブソング歌う。
海外ならいざ知らず日本のミュージシャンで旦那さんに
ここまでストレートなラブソング歌ったシンガーは先ずいない
と思います。
でもそれが嫌味でなくカッコいいんだなぁ。

シーナさんの声、鮎川さんの禁煙の話・・カッコいいですね。
おそらく2人とも「こうしたらカッコいい」なんて意識ないでしょう。
自然に「やりたいことやる」「したくないことしない」を
突き詰めてたら今の境地に達したんでしょうね。

だから鮎川さん以外に平気にTV出るし俳優もやるし。
以前シーナさんとNHKに出て座布団回しをしたのは驚愕しました。

そういう「天然?ナチュラルさ」総て・・この2人はカッコいいです。

投稿: ながわ | 2010年1月28日 (木) 23時51分

◆nobuさん
なんか、「声」とか「喉」とかいう言葉に出会うと、どきっ!としてしまいますよね(苦笑)。
僕も数年前までガシガシ煙草吸ってましたが、止めてから明らかに体調が良くなりました。かつて、喫煙者だった頃、煙草を止めた人が上から目線で「煙草、止めなよ~」って言ってくるのが嫌で(自分だって少し前まで吸ってたくせに!)、僕も今吸ってる人を止めようとは思いませんが、吸わなくて済むなら吸わないほうがいいですね、煙草は。

投稿: Y.HAGA | 2010年1月29日 (金) 11時39分

◆美海工房ターツーさん
僕が思うロックな心って、「瞬発力」じゃないかと思ってます。
これだ!と思ったら、後先考えずに、ぱっ!とやっちゃう。バスドラが“ドン!”ってなったら、ストローク一発“ジャーン!”これですよね(笑)。
鮎川さんが禁煙しようと思ったことにも、リクオが新譜を弾き語りでやろうと思ったことにも、ヒロシが突然走ろうと思ったことにも、僕はすごくロックな精神を感じます。感じたら即やる。理由は走りながら考える。そういうスピリットがロックなんじゃないかなあ…。
そのためには感性をしなやかにしとかなきゃいけないし、身体も鍛えときゃいけない。そういう気持ちで日々を過ごしたいなあ、僕も。

投稿: Y.HAGA | 2010年1月29日 (金) 11時40分

◆ながわさん
>日本の男性って奥さんを「愚妻」とか言ったりして絶対それは善くない。

うん、僕もあの言い方、大嫌いです。「家内」とかもそうだけど、連れ合いを卑しめるのって自分の器の小ささをアピールしてるみたいで情けないと思います。

鮎川さんのキャラクターは僕も大好きです。ステージでも、ギターを弾きまくる姿はあんなにカッコいいのに、MCになるととたんに朴訥に…。あのギャップがたまりません(笑)。
僕がよく憶えてるのは、30年近く前のR&Rオリンピック。会場のボルテージは最高潮!その中を颯爽と出てきた鮎川誠!マイクに向かって第一声は…。“梅雨明け、おめでと~っ!”みんな一斉にズッコケました(笑)。鮎川さん、ほんとに天然ですよねー。

投稿: Y.HAGA | 2010年1月29日 (金) 11時41分

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