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2010年2月 7日 (日)

「つづらおりの宴~夜見のしまのカーニバル」ソウル・フラワー・モノノケ・サミット&シーサーズ / 2月7日(日)吉祥寺・スターパインズカフェ

「つづらおりの宴~夜見のしまのカーニバル」
ソウル・フラワー・モノノケ・サミット&シーサーズ
18:00/19:00 ¥4000+1drink

吉祥寺でソウル・フラワー・モノノケ・サミットのライブを観た。
実は、自分はこのユニットのライブに行くのは初めて。昨年秋にリリースされたソウル・フラワー・ユニオンのライブ盤をきっかけに、今更ながらのソウルフラワー熱にとりつかれてしまったオレ。中川敬は本体のソウル・フラワー・ユニオン以外にも、ソウル・フラワー・アコースティック・バルチザンと、このソウル・フラワー・モノノケ・サミットという2つの活動形態を持っているのだが、モノノケだけはライブ未体験だった。なので、この機会にぜひ観ておきたいと思ったのである。

そんなわけだから、このユニットに関する事前情報はほとんどなし。はっきり言って、アルバムも聴いたことがない。知っていることといえば、これはソウル・フラワー・ユニオンのメンバー達が、阪神・淡路大震災の直後に被災地で行なった演奏活動から始まったユニットだということ、子供からお年寄りまで幅広い聴き手に音楽を楽しんでもらうために、レパートリーは戦前の流行歌や、韓国・アイヌの民謡などだということぐらいかな…。

この日はゲストにシーサーズを迎えてのライブだった。シーサーズは沖縄の島唄を歌うユニットだ。10年以上前にソウル・フラワー・ユニオンの全国ツアーに参加したことがあるらしいんだけど、昨年オリジナルメンバーの一人が他界してしまったのを期に、再びソウル・フラワーと共演する話がまとまったそうだ。
ライブは、シーサーズが一時間ぐらい前座で演奏してから、モノノケ・サミットが出てくる形だったのだが、途中からはモノノケのステージにシーサーズも加わったので、全体的にとても沖縄色の強いライブとなった。

結論から言ってしまうと、すごく楽しかった!曲をまったく知らないから、ちょっと溶け込むまで時間がかかるかなあと思ったら、全然そんなことはなかった。まるでお祭りのお囃子に浮かれて道を跳ねる子供のように、あっという間に五感が開放されてしまった。なんだか、普段自分が聞いてる音楽とは、身体の別の部分で音を受け止めたような気分。
目覚めてしまったような感じがしたなあ…。何に目覚めたかって?自分がアジア人であることに、だ…。

ロックやR&Bは欧米からの輸入文化であることは明白な事実だ。オレが普段聞いてる8ビートや16ビートは、生まれた時から身についていたモノではなく、実は後から学習して学んだリズムなんだと思う。ロックコンサートで手拍子する時とかって、モミ手にならないように無意識のうちに気をつけてたりするでしょ?それは、心の奥でそういうのはダサいとなんとなく思っているからなんだよね。欧米に対するコンプレックスなのかどうかはわからないけど、ほんとは拍子のリズムなんて人それぞれ違ってたって全然かまわないはずだと思うんだ。
オレは、この日のステージのモノノケを見ていて、モミ手とか、民謡のリズムっていうのは、本来すごく気持ちいいものだと気が付いた。
っていうか、この日のオレの手拍子は、確実にモミ手になっていたはず(笑)。身体の反応もタテじゃなくてヨコとナナメにゆらゆらとゆれ…。そういう風に勝手に身体が動いちゃうんだもん。土着のリズムに血が呼び覚まされたみたいな感じだった。

民謡、カッコいいじゃん!戦前の流行り歌、イイなあ…。純粋にそう思った。知ってる曲はほとんどなかったけど、勝手に耳と身体が反応してしまう。「カチューシャの唄」にも「東京キッド」(これ、美空ひばりの唄だよね?)にも、自然に頬が緩んでニコニコしてしまった。

それと、この日のオレは、メインボーカルの中川敬以上に、太鼓を叩く伊丹英子、ヒデ坊に目を奪われてしまった。いやあ、この人はほんとに変わらない。沖縄に引っ込んでも、母親になっても、背筋の伸びたしゃんとしたところは昔のまんまだ。やってることも、昔からホントにブレがなく一貫してる。カッコいいよなあ~。
ロックな生き方をしようとしてそうなってるんじゃなくて、自然体なんだけど、結果としてどうしようもないぐらいロックになってる。ヒデ坊ってのはそんな女性だと思うんです。なんて素敵な女性なんだろうと改めて思った。
MCでの中川敬との掛け合いも最高(笑)。ソウル・フラワー・ユニオンの時は奥野さんとの掛け合いになるけど、そこにヒデ坊の鋭い突込みが入ると、いっそう喋りが楽しくなる。ヒデ坊の“えへへへ”っていう笑い声、オレ大好き!で、どっちにしても奥野さんはオチに使われるという…(笑)。

いやあ、初めて体験したソウル・フラワー・モノノケ・サミットは、予想以上にインパクトが大きかった。
留学で長く海外に出てた学生が日本に帰国すると、日本独特の文化が際立って見えてしまい、逆カルチャーショックを受けるっていうけど、そんなシチュエーションと近いかもなあ…。

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ソウル・フラワー・ユニオン」カテゴリの記事

コメント

モノノケ参戦、お疲れさまでした!
ここしばらくSFU関連のライブには行ってないのですが、
モノノケのライヴの楽しさがレポを読んでいて感じられました。

元は阪神淡路大震災を機に急造されたユニットでしたし、
ロック・バンドのSFUを期待していたファンと、
「地元」の活動に力を注いでいた彼らとの間に、
温度差があったのは東京のライブを観ていて感じていたことですが、
彼ら一流の力技で、それらを捻じ伏せて(笑)
今の彼らの活躍は、やはりモノノケと言う場があったからこそだと、
言えるんだと思いますね。
「東京キッド」聴いてみたかった!(あ、お嬢の曲で合ってます)

関係無い話ですが、きょうからジョギングを始めました。
以前からロードバイクに乗っていて(これは清志郎さんの影響で)
ある程度の素養はあると自負していましたけど、
やはりチャリとランは違うと痛感しました(汗)
山口洋のストイックさには敵うべくもありませんが、
ひとまずは5km、30分ペースを目指して頑張ります!

最近、ジャイブを良く聞いてまして、吾妻先生とかから入ったのですが、そんなバンドでリトルジャイブボーイズというのがあります
先日ライブに行ったのですが、三橋美智也の曲をカバーしていまして、(なんという曲かは失念)「かえろ~~あのうちへ~」って曲なんですけど、その民謡も表拍の手拍子で気持ちよかったなぁ

やっぱ、日本人なら、裏拍よりも表拍です!!

◆きあさん
モノノケ、楽しかったです~!「東京キッド」もそうですけど、戦前の歌謡曲ってイイですよね。やっぱりこういうのを聴くと、日本人の血が騒ぐなあ~(笑)。
ジョギング、始められましたか!チャリとランは違うと思われたとのことですけど、僕も室内をマシンを使って走ってたので、実際に外を走るのは全然違うと痛感しています。けっこう自信あったのに、こんなに走れなかったのか!って唖然…。お互い頑張りましょう!

◆おぎょさん
おー、ジャイブっすか!吾妻光良大先生っすか!(笑)
思い返すと、僕らが子供の頃はこの辺に影響を受けた歌謡曲がけっこうあったような気がします。「笑点」のテーマだって、今振り返るとちょっとニューオリンズっぽいですよね。オモテの拍子が気持ちイイって僕も良くわかります。そんなのが今のテレビから流れてきたら、けっこう新鮮だと思うんだけどなあ…。

モノノケのライヴ、お疲れさまでした。
行く気満々でしたが、なぜかこの日に限って所用で遠出しており、ライヴに行けませんでした。。。
かなり楽しかったみたいで羨ましいです(笑
HAGAさんのソウルフラワー熱(?)、ますますヒートアップしているみたいですね♪
来月の“闇鍋音楽祭”には行きます。

◆フィル・カスルさん
モノノケ、楽しかったです~!ソウル・フラワー・ユニオンは、ロックってことに拘らず、なんか音楽の原点の楽しさを感じさせる人たちだと思ってます。“闇鍋音楽祭”は、僕も日曜に行く予定ですよ。

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