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2010年2月24日 (水)

【雑誌】BRUTUS 2010年 3/1号 「日本のロック 愛」

51hlk8ow0kl__sl500_aa300__2物足りない!読んだ後にものすごく要求不満を覚える特集だった。
キャスティングに関しては、まあこんなもんなんだろう。2010年現在、ロック・フィールドでのメジャーどころ、若手の注目株をとりあえずおさえてみました。ワキを固める面々も、木村カエラだの箭内道彦だの、巷で“なんとなくロックっぽい”と思われてる人たちを集めてみました。そんな感じ。

はっきり言うと、そこ止まりなのだ、この特集は。
だって、いまさら高橋幸宏と小山田圭吾が対談したって、そんなの当たり前すぎだろ?ちょっと音楽を知ってる人なら、読まなくても展開がわかってしまうはず。案の定、対談は小山田くんが聞き手に回って幸宏さんがYMO時代の裏話を語り、最後は坂本龍一とのツィッター話を披露して、そこはかとなく現役感を醸し出してお終い。
予定調和な幕引き。なんとも安全な着地点。だけど、こんなんでエディターはほんとに満足してるのか?

他のパートもだいたいこんな感じなのだ。
奥田民生の日常のロック性?佐野元春の日本語をロックに乗せる試み?そんなのは、20年前からずっと言われてきたことじゃないか。オレ、2人は嫌いじゃないし、言いたいこともよくわかる。だけど、こうも毎回同じ切り口ばかりだと、まるでこの人たちの音楽にはこれしかないみたいで、いい加減うんざりしてくる。
サンボマスターに愛聴盤を語らせる企画にしたって、オヤジロックファンも取り込めるだけの幅広い音楽性を持ち、山口君をはじめとするメンバー全員がロックオタク的な面を持つこのバンドに持っていく企画としては、当たり前すぎるぐらい当たり前ではないか。こういう見え見えの企画は“あざとい”と思う。

今回のブルータスに限らず、ここ数年、いろんな媒体で日本のロックを俯瞰した企画が目立つようになってきた。それは、この国のロックに語るだけの歴史と裾野の広さが生まれたということなのかもしれないが、反面、ロックをこんなにのっぺりと、それこそ流行のスーツを紹介するみたいに語っていいのか、とオレなんかは思っちゃうんだ。

そもそも、裾野が広がったということは、それだけ目と耳の肥えたロックファンも増えてきているということ。そんな人たちが、こんな展開で満足しているとはとても思えない。ここまで金と人を使った特集ができるなら、長年ロックを聴いてきた人たちを唸らせるような企画を組んで欲しい。
木村カエラをロック親父のアイドルみたいな扱いに落とし込んでイイのか?対談だったら、「30年の禁を破って語る日本語とロック -内田裕也×細野晴臣-」ぐらいのことをやってくれ。エディターには、この特集で閉塞した音楽業界に風穴を空けるぐらいの気概を持って欲しかった。

この号、オレはこの特集よりもむしろ、レギュラー枠での、スカパラの谷中敦とバーのオーナー、それにDJの3人のトークを収録した記事の方に、今後のロックを展望するキーが隠れていたと思う。
谷中たちは、結局、東京にはクラブ文化が根付かなかったといい、業界全体が盛り下がっているけれど、これからは“ライブはきっと伸びる”だろうということと、もしかしたらCDは、現在の物販のTシャツのように、ライブの副産物になるかもしれないなんてことをさらりと語っているのだ。
これはとても鋭い指摘だと思う。気が付いた人がいるかどうか知らないが、実は特集の中でも似たようなことを語っている人がいた。何よりも、オレ自身が最近ライブハウスで遊んでいて、なんとなく感じていたことでもある。CDショップのカウンターや、ただたらたらネットを眺めてるだけではわからない何かが、現場では確実に起きているのだ。
シーンの芽生えとはそういうことである。そういう小さな萌芽をピックアップできるかどうかが、編集者の腕の見せ所なんじゃないだろうか?

できないなら仕方がないさ。だけど、ブルータスだろ?マガジンハウスだろ?できないはずがないと思う。前号の吉本隆明の特集なんて、素晴らしかったじゃないか!今回だって、これだけのキャスティングが可能だったんだから、やろうと思えば絶対にできる。
そもそも、一般誌は専門誌よりもずっと自由な企画ができるはずなのだ。メジャー誌は、レコード会社の営業からどうしても逸脱できない専門誌とは根底から土壌が違うのだから…。
もっと心意気を見せて欲しい。メジャー誌ならではの仕事ぶりを見せて欲しい。

きついことを書いたけど、ブルータスだからあえて愛をこめて言ってるんだぜ。
オレはこの特集に“愛”を感じることはできなかった。

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コメント

ご無沙汰しております
まったくその通りでございます
ワタシも買って読みましたが。

「30年の禁を破って語る日本語とロック -内田裕也×細野晴臣-」・・
すごい企画ですね。おっかないくらい。

昨今の「オトナのロック」と称する、
ちょっとお金と時間の余ったオッサン(ワタシも含まれるでしょうが)を対象にした、
「あの頃よ!もう一度!」的な諸雑誌の展開に
なーんか情けない気持ちを抱きつつ、
そうした事の突破口として期待したのですが、
期待しすぎでしたかね。

そういえば、ジュリアン・コープの書いた
「ジャップロック・サンプラー」って本知ってますか?
奇書と言っていいくらい偏った
日本のロック史を紹介している本ですが、
ご存知なければwebで検索してみると面白いと思います。
こういった王道でない道に意外と
忘れていた光と今があるのかもしれませんね。

投稿: BARI | 2010年2月25日 (木) 00時52分

◆BARIさん
ご無沙汰ですー。うん、BARIさんなら絶対満足してないだろうなあ~と思ったよ。もうファンの多いミュージシャンやバンドをただ誌面に載せればOKって時代じゃないんだよね。

>「30年の禁を破って語る日本語とロック -内田裕也×細野晴臣-」・・
すごい企画ですね。おっかないくらい。

でしょ?(笑)でも読みたいでしょ、こういうの?
僕が知る限り、ユーヤさんと細野さんは30年前に論争が起こってから、今まで対談とかなかったと思うんだ。今なら落とし前を付けられるいい時期なんじゃないかと。企画を持ってったら意外とすんなりOKするんじゃないかと思うんだけどね。もし、2人だけではちょっと…ってことなら、ここにラヴ・サイコデリコを加えてみるとか(笑)。
オレが編集者だったら絶対実現させたい企画なんだけどなあ…。

「ジャップロック・サンプラー」は存在だけは知ってました。ジュリアン・コープが日本のロックマニアだったってのは驚きですよね。この本、超が付くぐらいにマニアっぽそうなんで、つい敬遠しちゃってましたが、やっぱし読んでみようかなあ…。海の外から第三者的に観た視点のほうが、以外に正確に状況を俯瞰できてるってこともあるかもね。

投稿: Y.HAGA | 2010年2月25日 (木) 10時47分

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