« 「お兄さん、カメラマン?」と、渡さんは言った。 | トップページ | Baby #1 / 忌野清志郎 »

2010年3月 6日 (土)

忌野清志郎デビュー40周年&ニューアルバム「Baby#1」発売記念インストアイベント / 2010年3月5日(金)PM9:00~ TOWER RECORDS新宿店7F

清志郎のニューアルバム「Baby#1」リリース当日、新宿のタワレコで開かれた記念イベントに行ってきた。
このイベント、最初は全然行く気なかったんだ、オレ。アルバムは前日にフラゲしてたし、やっぱりまだお祭りみたいに盛り上がる気分にはなれないからね…。
でも、ミニライブにリクオが出演することを知って、どうしても行きたくなってしまったのだ。だって、こういう趣旨のイベントに出るのなら、当然リクオも何かRCやキヨシロー関連のカバーをやるに違いないと思ったから。そんなの、なかなか聴けないじゃない?この日は若手ソウルシンガーの多和田えみとのデュオだし、イベントとはいえ、きっと普段とは違うライブがパフォーマンスが見られると思ったのだ。

それと、イベントの開始時間が午後9時と、遅めに設定されてたのも都合よかった。実はオレ、この日は6時から職場の打ち上げがあったんす(苦笑)。オレの勤め先は多摩地区だから新宿までは中央線で一本。1次会だけでさっと抜け出せれば、ぎりぎり9時には間に合うだろうという計算があったわけ(笑)。
こういう時になると異常にテキパキと立ち回っちゃうオレは(苦笑)、ビールやらハイボールやら焼酎やらをがっつり飲んで、大いに語り、しっかり食って、上手い具合に脱出成功。中央線が遅れてていらいらしたけれど、奇跡的に9時前には新宿に到着することができた。

この日は3組のライブアクトがあった。美大生のガールズ・パンクバンド、Merpeoplesのボーカル・シャルロットとドラムのRICOとのユニット、 charlotte&rico。“毛皮のマリーズ”のボーカル・志磨遼平。そしてリクオと多和田えみとのデュオだ。

リクオたちが出演したのは二番手。
1曲目は「夜の散歩をしないかね」だった。あの印象的なイントロをキーボードで弾くわけだけど、清志郎&CHABOがやるのと比べると、いくぶんジャジーなタッチになっていたのがリクオらしい。多和田えみのボーカルにもよく合ってたな。
これで観客の気持ちをぐっとつかんだリクオは、自身の最新アルバム「リクオ&ピアノ」から、「胸が痛いよ」を。
この曲は清志郎との共作。曲に入る前には清志郎との思い出が語られた。昔、リクオは清志郎の住まいの近くに住んでいて、2人で曲を作ったということ。そして、次の日の朝、リクオのボロアパートを清志郎が訪ねてきて、作りかけだった曲の残りを置いて赤いポルシェで帰っていったこと。そんな話だ。これはリクオのアルバム発売記念ライブに行った人にはお馴染みのエピソードなんだけど、やはり清志郎関連のライブで話されると格別の感がある。
そんな話の後に歌われた「胸が痛いよ」はやはり素晴らしかった。タワレコ店内のがさがさした空気の中では、こういうしっとりした曲は演る方も大変だと思うのだけれど、リクオは集中していた。切々と歌い込まれた美しいメロディーは、この曲を初めて聴いた人の心の中にも、確実に何かを残したと思う。
3曲目は、驚くなかれ「スローバラード」!オレはこれが聴けただけでも、この日のイベントに行ってほんとによかったと思う。23'Sとして清志郎のバックをやった時には演奏した経験があるのかもしれないが、ソロになってからのリクオは、この曲を殆どやっていないはず。少なくとも、オレが足を運んだリクオの数多いライブを振り返っても、この曲がセットリストに入っていたのは記憶にない。だから、リクオのキーボードからあのイントロが奏でられたときはかなり驚いた。
演奏はやはり素晴らしかった。キーボードもそうだけど、リクオのエモーショナルなボーカルには激しく心を揺さぶられた。多和田えみには失礼だが、この曲はリクオ・オンリーで聴きたかったぐらいだ。
最後に多和田えみの持ち歌(すんません、タイトル忘れました)を一緒にやって、リクオたちのセットは終了。20分ぐらいの持ち時間でたった4曲の演奏だったんだけど、なかなか中身は濃かった。やっぱり行って良かったと思う。

他の2組については、正直言ってあんまり印象に残っていない。最初の女の子2人組みは、なんだかアマチュア臭くて痛々しいぐらいだった。もしかしたら、オレの方が上手いんじゃないか、と思っちゃったぐらい(苦笑)。あれで「空がまた暗くなる」と「トランジスタ・ラジオ」歌っちゃうんだもんなあ…。ある意味、とても勇気ある子たちなのかもしれないけど(笑)。
3番手の志磨遼平は、清志郎のカラオケにのってステージアクションの真似をしてるだけ。なんかいたたまれなくなって売り場でCD見てましたよ、オレは(笑)。

そんなわけで、リクオの演奏を除いては、オレにとってイベント自体はあんまり大したものではなかった。考えてみたら、この日のゲストはリクオ以外清志郎と何の繋がりもない人たちばかりなのだ。みんなとってつけたように清志郎の音楽が好きとか何とか言ってたけど、なんか空々しく聞こえちゃったなあ、オレは。こういうイベントをやるんだったら、呼ぶべき人はもっと他に居るんじゃないかって、清志郎の熱心なファンなら誰でもそう思っただろう。
お店に集まった観客も、一様におとなしくて拍子抜けした。っていうか、あの場に集まってたのは、いったいどういう人たちだったんだろう?コアな清志郎ファンはあんまりいなかったような気がするんだけど…。
そんな完全アウェー状態の中、リクオはきちんと清志郎へのリスペクトを表した演奏をしていたと思う。そう、ほんとうに、“きちんと”という言い方がぴったりだった。決して湿っぽくならず、だけど清志郎不在の空虚感も隠さずに…。どんな場でも与えられた役目を瞬時に理解してきっちりやり遂げる。そんなリクオのミュージシャンシップ、プロ意識を垣間見たように思ったな、オレは。

まあ、でもアレなんだろう。こういうことを積み重ねて、清志郎の音楽は“みんなのもの”になっていくんだろうな…。
一番いいときを知っているオレらから見れば、大カン違いをしてる企画がこれからもウンと待ち受けているんだと思う。でも、そんなもんで清志郎の作った音楽の素晴らしさはいささかも揺るがないし、オレの気持ちだってまるで動じない。最近はそんな覚悟ができてきた。
だって、ビートルズの企画ものだって、素晴らしいものもあればクソみたいなものだってごまんとあるじゃん?つまりはそういうことなのだ。清志郎の名の付いたものなら何でもかんでもOKかといったら、そんなことは絶対にない。これからは、オレら一人ひとりが自分なりの清志郎と生きていけばいいだけの話。適当に付き合って、適当に無視し、適当に楽しむ。そんなしたたかさを持っていようと思う。
当たり前のことだろ?オレんちには毎晩、清志郎が来てくれてるんだぜ!

P.S. 「Baby#1」は予想を遥かに上回る傑作アルバムでした!オレがイベントに行く気になったのは、このアルバムの元気っぷりに触発されたってのもあるなあ、きっと。

« 「お兄さん、カメラマン?」と、渡さんは言った。 | トップページ | Baby #1 / 忌野清志郎 »

忌野清志郎」カテゴリの記事

コメント

あの日、私もいました!
ニアミスしていたんですね。

私は清志郎の熱心なファンというわけではないのですが(ロックがあまり得意ではないので。すみません)、
高校の頃、一番仲のよかった子がRCのファンで、聞いてました。
そんな私ですが、スローバラードが大好きで、イントロが流れたときには鳥肌が立ちました。

>多和田えみには失礼だが、この曲はリクオ・オンリーで聴きたかったぐらいだ。

そうですね、多和田えみさんは初めてでとてもいいシンガーだとは思いましたが、私もリクオさんオンリーで聴きたかった気がします。

そうですか、リクオさん以外は清志郎さんとは何のつながりもないゲストだんたんですか。私はリクオさんの演奏が終わったら、時間も時間だったので帰ってしまったんですが…正直、その他のミュージシャンには興味もなかったし(苦笑)。

リクオさんが「清志郎さんは、僕らの中に生きてるもん」といっていた言葉が印象的でした。

◆YUMIさん
>スローバラードが大好きで、イントロが流れたときには鳥肌が立ちました。

素晴らしかったですね、あのスローバラードは。清志郎へのリスペクトを十分に感じさせた上で、ちゃんとリクオ流の歌になっていたように思います。

イベントそのものには僕も複雑な気持ちになったけど、とにかく、その発売記念のイベントにリクオが参加してくれて、RCの曲を演奏したということには、意味があったと思いたいし、僕はとても嬉しかったです。
もしかしたら、あのイベントはリクオさんがいなかったら、もっととりとめのないものになっていたんじゃないかな…。なんか、高橋ROCK ME BABYさんも葛藤を感じながらやってるように、僕には見えちゃったんだけど…。

この記事へのコメントは終了しました。

« 「お兄さん、カメラマン?」と、渡さんは言った。 | トップページ | Baby #1 / 忌野清志郎 »

フォト
2023年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ