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2010年3月

2010年3月28日 (日)

『闇鍋音楽祭2010』ソウル・フラワーユニオン ゲスト:勝手にしやがれ / 2010年3月28日(日)Shibuya O-WEST

僕にとっては、今年初めてのソウル・フラワー・ユニオンのライブ。
いやあ~楽しかった!僕はこの日あんまり体調がよくなかったんで、後ろの方で静かに見てようと思ったんだけど、いざ演奏が始まったら、じっとしていられなくなってしまった(笑)。
この日のライブは「闇鍋音楽祭」というイベントとしてのものだったが、これは毎年彼らがこの時期に行っている、旬のバンドとの対バン企画。今回のゲストは「勝手にしやがれ」だった。このバンドは以前、野音で見たことがあったんだけど、昭和歌謡とロカビリーを合体させたような曲を、スカパラをもっと下世話にしたようなホーン隊を交えてプレイするのが面白く思えたことを憶えている。まずは彼らが先に出て一時間ぐらい演奏した。往年の日活映画に出てくる俳優みたいに、スーツをびしっと着こなしたドラマーがボーカルをとるってのが見た目にもけっこうなインパクト。会場は彼ら目当てで来てた人もけっこう多かったみたいで、ライブもそれなりに盛り上がっていた。

でも、それもソウルフラワーが出てきたら、雰囲気一変。一曲目の「神頼みより安上がり」からフロアは大盛り上がり大会だった。ミホちゃんの煽りにのせられ、O-EASTの狭いフロアを埋め尽くした観客がいっせいに踊り出すさまは壮観だった。
僕が立っていたのはPAブースの真ん前だったせいもあり、音響もとても良くて、各パートの音がはっきり聴き分けられたのも良かった。

ライブは新旧織り交ぜた選りすぐりのセットリスト。単独ライブよりは短かったけど、それでもアンコール含めて2時間近く演奏してくれ、個人的には大満足。「極東戦線異状なし」や「人生は素晴らしい!」みたいな最近の名曲もしっかりやってくれたのが嬉しかったなあ…。
6月に出るという新曲も披露された。これ、ちょっとタイトルを忘れてしまったのだが、奥野のキーボードがスティール・ドラムみたいな音色で、ちょっとトロピカルな雰囲気の曲調。カップリングで収められるもう一つの曲も演奏され、これは「ホップ・ステップ・肉離れ」というタイトル(笑)。高木克のスライドをフューチャーした曲で、これもカラフルなイメージ。うん、この2曲を聴く限り、今度のシングルは初夏のリリースにぴったりかもしれない。
レアな曲といえば、ミホちゃんがボーカルをとった「かもめ」だろうか。これは今年の始めに亡くなった浅川マキさんのカバー。確か、レゲエタッチのアレンジだったと思う。決して感傷的にならずに、歌そのものをしっかり聴かせようとする演奏が印象に残った。

それにしても、こういう音のいい会場で彼らのライブを堪能すると、このバンドはしみじみ演奏が巧いと感じる。ソウル・フラワー・ユニオンを“日本一のミクスチャー・バンド”なんていう人がいるけれど、ほんとそうだよなあ…。リズムパターンは多彩だし、奥野さんのキーボードもとてもカラフル。ちっちゃいワクに囚われず、世界中の音楽の出汁を煮込んで作ったようなサウンドには、ロック本来の雑食性の楽しさが溢れている。何よりも、彼ら自身が世界中の音楽を分け隔てなく楽しんでいることがよくわかり、見ているだけで嬉しくなってしまうのだ。
なんて言うんだろう、音は確かにロックなんだけど、頭で感じるノリはお祭りや宴会の興奮に近いものがあるような気がするんだよなあ…。

僕は今年も何回もこのバンドのライブに行くんだろう。
まずは6月に出るシングル、そして年末の完成予定だというアルバムが楽しみだ。

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2010年3月20日 (土)

山口洋&細海魚 (HEATWAVE) TOUR2010 ひかりを探しに / 3月20日(土)千葉ANGA

細海魚という人は、日本ではかなり珍しいタイプのキーボード・プレイヤーなのではないだろうか。シンセ機能を駆使して不思議な音色を作り出し、場の空間を変えてしまう人。千手観音のように鍵盤を操り、プレイヤーとしての存在感を見せ付ける人。大まかに言ってしまえば、キーボード・プレイヤーはその2つのタイプのどちらかに分けられると思う。でも、細海魚はそのどちらでもない。両方を併せ持った稀有なタイプのプレーヤーなのだ。
その魚と山口洋のデュオ。洋自身も激しいR&Rギターとアコギの音の響きを活かした静寂な世界とを兼ね備えているだけに、相性は抜群。ヒロシの作る無骨な歌たちが、魚のキーボードの音色の音色によって、鈍く光りだす…。そんなライブだった。

それにしても、この日、僕が千葉の小さなライブハウスで聴いた音楽を何と表現すればいいのだろう…。
普通、R&Rバンドのギター&ボーカルとキーボードがデュオでライブをやるのなら、シンプルでタイトなサウンドを連想すると思う。ところが、この2人が作り出した音ときたら、R&Rの範疇に収まらない、とてもスケールの大きな音楽だった。

予定の開演時刻からやや遅れてステージに現れた2人。
最初、ヒロシは全く音を出さない。会場に流れるのは魚の操るシンセからの、空気を振動させるかのような金属的な音色。その不思議な音色に、僕はしばし自分のいる場所を忘れてしまう。そして、霧の中から光が射しこんでくるように山口洋のギターが鳴り、力強いボーカルが響き渡る。

セットリストは、普段山口洋のソロライブでよく演奏されているものが多く、特にレアな曲が飛び出したわけではない。だが、1月に横浜で見たライブの印象とはまた違った世界が展開されていた。短いながらもツアーをこなしたことで2人の呼吸がより合うようになってきたのだろう、山口洋の激しいカッティングに魚も激しく応酬する場面があったりして、2ヶ月前よりも激しさを増したような感じがした。
この音楽の“引きの強さ”は尋常じゃない。聴き手のイマジネーションをぐいぐい揺さぶり、目の前に断片的な風景を次々と浮かばせるような不思議な世界が展開されていった。

この日のライブが素晴らしいものになった理由として、会場である千葉ANGAの音響の良さも挙がられる。程よい音量でボーカル、ギター、キーボードの音がそれぞれにくっきりと浮かび上がる、とてもクリアーな音だった。この日のような重層的なサウンド空間に浸るには、音響の良し悪しはかなり大きいはず。この日の音の聴き易さは抜群だった。おそらく、ステージの洋も歌い易かったのだろう、ボーカルはいつも以上に朗々と響き渡り、力強かった。

魚が入ったことでアレンジが変わった曲のいくつかは、歌詞にさらに寄り添い、より緊張感が高まっていた。「Life Goes On」なんか、魚がアコーディオンを弾くのだけれど、この曲の由来を知っている者にとっては、ソロの時のアレンジより一層切なく聴こえたんじゃないだろうか。僕も、この辺は聴いていてけっこう辛かった。
ただ、その楽曲のヘビーさは、洋のMCでだいぶ救われたと思う。実は、山口洋のソロライブを見始めた頃、ちょっとした違和感を抱いていたんだよね、オレ。それは、楽曲とMCの落差が激しいこと(苦笑)。山口洋の楽曲に歌われる主人公たちは、何かに迷っていたり、絶望と諦観と必死で闘っていたり、とてもヘビーな状況にあるものが多い。ところが、肝心の洋ときたら、MCではつまらないオヤジギャグを言ってみたり、愛ある毒舌を吐いたりする(笑)。そのグダグダ感にずっこけたりもしていたのだが、この日のライブでもし洋のMCがなかったら、もしかしたらライブは息の抜けないぐらいに緊張感に溢れたものになってしまうかもしれないと思った。

正に“ひかりを探しに”というツアータイトルそのままのライブ。 
この日の山口洋のギターは、細海魚のスタイルに大きく触発されていたと思う。ソロの時に顕著だけど、もともとヒロシのギターはR&RやR&B的なフレーズを奏でるだけに留まらない。響きや空気感を大事にした音で会場の空気を変えていけるものがある。それは、魚の音作りのアプローチと良く似ているということに気付かされた。
近年のHEATWAVEのサウンドの深化は、この2人が出会ったことが大きいと僕は思う。間違いなく言えるのは、この2人は世界中誰もやっていない、独創的な音楽を作り出しているということだ。

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2010年3月14日 (日)

KOJI WAKUI presents DOWN TOWN HOOTENANNY vol.2 出演:the BMW,中川五郎,リクオ / 2010年3月14日(日)浅草橋BUNGAJAN

KOJI WAKUI presents DOWN TOWN HOOTENANNY vol.2

出演:■the BMW(伴 慶充/森山公一/和久井光司)
   ■中川五郎
   ■リクオ
日時:3月14日(日) 18:00開場/18:30開演
会場:浅草橋 ブンガジャン
料金:前売¥3,000/当日¥3,500


Dscn2123_4 このイベント、もちろんオレのお目当てはリクオ。だけど、中川さんも和久井さんも、機会があれば一度は見てみたいと思っていた人たちだったんだよね。

中川五郎さんに関しては、「受験生ブルース」を歌っていたフォークシンガーだってことも、もちろん知ってたけれど、自分にとってはこの人の書く文章、特に思春期に聴いた様々な洋楽アルバムのライナーノーツを書いていた印象が大きかった。この人は、取り上げる音楽ジャンルがとても多彩で、それはニューウェイブ系のバンドにまで及んでおり、世代を超えた感性を感じさせた。
中川さんは、確か創世記の「BRUTUS」の立ち上げなんかにも関わっているはず。文筆や編集でも確固たる仕事をしているから、オレなんか、最近までシンガーを止めて文筆業に専念しているのかと思っていたぐらいだ。
最近ではBYGでのリクオのライブでその姿を見かけたことがあった。NHKで放送された高田渡さんの特集にも出ていたっけ…。そんな五郎さんがリクオと同じステージに立つのなら、ぜひとも見てみたいと思ったのだ。

和久井光司さんに関しては、レコード・コレクターズみたいな雑誌を読んでる洋楽ファンには、お馴染みの名前だろう。ボブ・ディランをはじめ、ストーンズのディスコグラフィだの、ビートルズのなんちゃらだのっていう話になると、今現在、日本の若手ライターでこの人の右に出る人はいないと思う。
そんな和久井さんがバンドをやってることを知ったのは、あの「21世紀少年」の漫画を描いた浦沢直樹さんとの対談集「ディランを語ろう」という本を読んでからだ。これだけ洋楽に精通してる人が出す音って、いったいどんななんだろうと興味を抱いた。

どうやら、このイベントは和久井さんが企画を立て、リクオと中川さんに声をかけるという形だったらしい。もともと中川さんとは何度か一緒にやったことがあるらしいが、リクオとは、彼らが7年前に出したアルバムのレコ発ライブで共演した事があるという。加えて、3人の共通項に現在来日中のボブ・ディランの存在がある。きっと3組の共演も見られるだろうし、これはきっと面白い夜になるという予感がした。

最初の登場は和久井さんのバンド、the BMW。アメリカンロックのマナーを踏襲したようなオリジナルの曲が心地よく響く。この日まで全然知らなかったんだけど、このバンドのリズム隊は、ドラムが80年代のビートバンド、シェイクスの伴慶充、ベースが元オセロケッツの森山公一だった。このリズム隊は強力だった!特に伴さん!スワンプロック的なモコモコしたノリを、これだけうまく表現できる日本人ドラマーはあまりいないと思う。最後の曲でのシンプルなドラムなんて、まるでジム・ケルトナーじゃねえか、と思ったもんな(笑)。
がっしりしたビートに支えられ、ギターを手にした和久井さんが、アメリカンロック、ボブ・ディランやカントリーの影響を強く感じさせるオリジナルを歌う。the BMWは30分ほど演奏し、中川さんのステージへ…。

赤いシャツを着た中川五郎さんは、バンジョーを抱えてピート・シーガーの曲に詞を付けた「丸々赤ちゃん」からライブをスタート。お孫さんができたばかりだという五郎さんの歌声は、とてもそんな歳とは思えないぐらいに溌剌としている。朴訥なMCを挟みながら、病の床に伏している古い知り合いのシンガーの曲をやったり、カバーも交えながら曲を次々に披露していく。
「受験生ブルース」も、もちろん飛び出した。これは五郎さんが18歳の時に作った曲らしいが、この日歌われたのは、新たな歌詞が書き加えられた「受験生ブルース2010」というバージョン。大阪生まれの五郎さんだが、どうも今の知事さんがお嫌いらしく、特に、例の学力テストの結果を公開して競争原理を導入するような発言に我慢がならないと語っていた。
五郎さんいわく、“競争するということは、必ず勝者がいて敗者がいるということ。勝者の論理だけでモノを語って欲しくない”みたいな事を言っていたんだけど、これは、これまでの五郎さんの歩みからすれば、とても納得できる発言だと自分は感じた。幾つになっても少数派の側でいようとする五郎さんのスタンスを強く感じ、シンガーとしての気骨を感じたなあ…。

ステージ中央にキーボードが置かれ、いよいよリクオの出番。1曲目は、西岡恭三のカバー「アフリカの月」。これは、この夜のちょっと気だるい酒場チックな雰囲気にぴったりだった。ちょっと足元のふらついたピアノが、バーボンの香りのように心地よく耳に入ってくる。
これで客席の集中を高めたリクオは、すかさずユーミンのカバー「やさしさに包まれて」と、オリジナルの「雨上がり」を続けて歌う。たぶん、この日の会場には、オレ以外、あまりリクオ・マニア的な聴き手はいなかったと思う。だけど、この黄金カバーと自身のキメ曲、それに何よりもリクオ自身の歌の巧さで、すっかり場を自分の雰囲気にしてしまっていた。
さらに「サヨナラCOLOR」をじっくり聴かせると、歌詞カードの入ったファイルをパラパラとめくりながら、次の曲を探す。“ソロでやるときは、その時の気持ちでやりたい曲を自由にやれるのがいい”というMCどおり、この日のリクオはとてもリラックスして見えた。
客席にいた和久井さんから“ピアノライダー!”という声も飛んだが、“そういう気持ちじゃないな…”というリクオは、「機関車」をセレクト。ハコの音響の良さも手伝い、素晴らしい歌声が響く。
最後は新曲の「FOREVER YOUNG」。悲しみを越えて歳を重ねていこう、と歌い上げる歌詞が胸に突き刺さる。藤沢のライブで初めて耳にした時には気が付かなかったけど、歌詞に出てくる“Sweet soul Music”には、ひょっとしたらリクオなりの忌野清志郎への追悼の気持ちが織り込まれているのかもしれないと思った。

この後は、the BMWが数曲演奏し、リクオをステージに呼び込む。このセットで演奏されたのは、なんとサニー・デイ・サービスの「Baby Blue」だった。これは数年前に出た和久井さんのアルバムに収録された曲だというが、リクオの歌で聴くのは、もちろん初めて。
さらに、2人が日本語詞を交互に歌った、「I Shall Be Released」。これはリクオのライブでも何度か聴いた事があったが、やっぱりエレキギターが入ったバンドスタイルで聴くのは格別の感があった。

そして、客席のオレのすぐ前に座っていた中川五郎が呼び込まれ、ついに3組による夢の組み合わせが実現する。五郎さんは凄かった。まずは、“この歳になると、盟友たちが次々に亡くなってしまうのが辛い”と語り、親友だった高田渡さんへの想いを込めた「眠られぬ夜」。そして、しみじみとした空気をぶっ飛ばすような「90センチ」。激しく弦をかきむしり、絶叫するように歌詞をシャウトする五郎さん。エンディングでは勢いよくジャンプ!いやあ~ロックでした!リクオがぼそっと“煩悩の塊ですね”って言ったのが笑えたなあ(笑)。

アンコールは、来日中のディランに敬意を表し、全員でレゲエ・タッチにアレンジされた「風に吹かれて」を日本語詞でカバー。
こうして3時間半もの長いイベントが終わった。

会場のBUNGAJANは、とてもいいハコだった。この小屋があるのは浅草橋。このあたりは問屋が多く集まっている地域で、普段はおよそ音楽の現場からはほど遠い印象の町だ。ライブハウスは、浅草橋駅から歩いてすぐの雑居ビルの地下にあった。派手ではないが、堅実にいい音楽を提供していこうとするような姿勢にとても好感が持てる。
この日のライブに集まった観客は15人ぐらいかなあ…。決して多くはなかったが、そのほとんどは和久井さんや中川さんの熱心なファンだったようで、皆よくステージに集中し、いいムードだった。
とにかく、人数なんか関係ない、予想以上に手応えがあるイベントだったと思う。なかなか見られない組み合わせのライブが目撃できた満足感でいっぱいだ。
和久井さんも五郎さんも、今度は単独ライブをぜひ見てみたいと強く思う。

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2010年3月11日 (木)

わからないことだらけ

普段はオリコンのチャートなんてほとんど見ないんだけど、今回はちょっと気になって調べてみた。3月5日に発売になった「Baby#1」、今日現在の週間ランキングは初登場で21位だって。推定売り上げ枚数が7322枚…。

これってどう思う?どう考えても少なすぎると思うんですけど…。

オレ、マジで今回の新譜はゆうゆう1位になると思ってたんですよ。だって、葬儀のときに青山に集まった人が4万でしょ?そこに、どうしても葬儀に行けなかったファンを加えれば、ものすごい数の人たちが清志郎の死を悲しんだことになるわけですよね?
そこに思いがけなくも新譜が出るという嬉しいニュースが届いたんだから、みんな発売日にはこぞってCD買いに走ると思ってたんだ。今、1位の清水翔太って人のアルバムの推定売上枚数が57155枚なんだけど、そんなの青山に集まった4万人よりちょっと多いぐらいなんだから、軽く超えちゃうぐらいに思ってました。

それがフタを開けたら1万枚にも達しないなんて…。これじゃあ、1位どころかベストテンも夢の夢じゃん!(苦笑)
ちなみにオレ、1位の清水翔太って人、全然知りません(苦笑)。そんな人のアルバムが自分の全く知らないところで6万枚近く売れてるっていう事実にもびっくり。唖然としてしまいました。

そもそもチャートってのは、いったい何なんだろう?これは実際にミュージシャンの人気やファンの数に繋がってる数字なんだろうか?
たとえば、ロック畑だとB'Zってのがいるじゃないですか。日本で最もたくさんアルバムを売りまくると言われる人たちですよね。だけど、オレはこれまで自分の周りでB'Zの熱烈なファンってのに出会ったことがない。サザンやミスチルや椎名林檎には熱心なファンがいる。自分もそういう人を何人か知っている。だから、彼らのアルバムが売れるのは納得できる。だけど、B'Zや清水翔太のCDを買ってる人たちは、いったいどんな顔をしているのか、自分には全然想像が付かないのだ。

オレが世間からズレまくってるだけなんだろうか?もしかしたら、オレは一般的なCD購買層からかなりハズれた音楽好きなのかもしれない…。そんなことまで考えてしまった。
もしかしたら、世の中では、熱心なファンでもCDを買わない層が大勢いたり、普段は音楽ファンの顔をしていない層が、流行ものの服を買うようにベストテン上位にあるCDを買って、業界全体の売り上げを支えているということになっているのかもしれない。

でも、でも、そしたら青山に集まった4万人はいったいなんだったんだろう…。

うーん…。
アルバム・ランキングってのは、ほんと、わからないことだらけだ。

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2010年3月 7日 (日)

Baby #1 / 忌野清志郎

41fciuoozl__sl500_aa300_ 予想を上回る素晴らしさ!
なんて楽しいアルバムなんだろう。なんて元気なアルバムなんだろう。

1曲目から完全にやられた。「I Like You」の未発表バージョン。これしかない!って感じで鳴り響くCHABOのスライド。梅津さんたちの重厚なホーン、そしてタッペイ君と金子マリのコーラス。サウンド全体が躍動している。これが後から被せた音だとはとても思えないぐらいに…。
そして、その中を自由自在に飛び回る清志郎の声、声、声、声!なんてしなやかで自信たっぷりなんだ!この頃の清志郎の「何か新しいことをおっ始めてやるぜ!」っていうエネルギーに満ち満ちている。2010年に耳にした旧友達も、その声の持つパワーに思わず乗せられてしまったのではないだろうか…。このとてつもなくポジティブで、まるでパーティーのようなテイクを聴いていると、そうとしか思えないのだ、オレは。

「I Like You」は「BABY A GOGO」のバージョンより、断然こっちの方が好きになってしまった。この高揚感!この華やかさ!サビの転調も、あのアルバムでのシンプルな演奏だと最初違和感があったのを思い出した。こういうことだったんだな!30年経ってようやくわかったぜ、清志郎!あなたの頭の中には、最初からこのイメージがあったんですね!終盤の延々繰り返されるリフレインが、もうたまんない。たまらなく気持ちE~!ずっと終わってほしくないぐらい。
これはもう、奇跡だと思う。R&Rの奇跡。こういう事が起きるのだよ、音楽ってのは。

次の「ヒロイン」も好き。もう大好きだ!ああ、このボーカル。実に、実に、実に清志郎!「ベイビイ」じゃなくて「ベイベェ~」の清志郎。ラフでハズしてて、ふざけててふてぶてしくて、何よりも自信たっぷり。
そんなこんなで、「恩赦」も「Baby#1」も、「Young Blue」も「ニュースを知りたい」も、なんだか既発のテイクより、こっちの方がずっと清志郎らしいと感じてしまった。

10曲で約45分。この1枚のCDには全く無駄な要素がない。一分一秒も無駄がない。純度100%の忌野清志郎がここにいる。
参りました。完全にヤラレました。

清志郎のアルバムには、いわゆるバンドマンとしての一発のノリを重視したタイプのものと、ボーカリスト清志郎を最大限にフューチャーしたバックバンド的サウンドのものとがあると思うのだが、これは明らかに後者の方だろう。それも、飛び切りゴージャスな、清志郎の全キャリアを通してもベストに近いもの。
聴いた人はすぐに気がついたと思うが、清志郎の声にはエコーがほとんどかかっていない。生声に近いラフなボーカルが収められていて、そこに燻し銀のプレイヤーたちが、ノリノリのサウンドを付けている。このミックスも素晴らしいと思う。

オレ、忘れてたよ。80年代後半の日本のアルバムに良く見受けられた、こういう賑やかに隙間なく音を散りばめたサウンドを…。
90年代以降、こういう音はどっちかというとトゥーマッチに捉えられてしまった。最近は制作費が削られてることも影響してるのかもしれないが、音数は少ないのに、ミックスでパートごとの音をぶっとくして空間を埋めてるアルバムが多く見られる。
でも、やっぱりこういうゴージャスに作りこまれたサウンドにはかなわない。ライブの場を多く見ている人ほど、こういう感想を強く抱くと思うけど、これこそがロックのダイナミズム。最高に気持ちいい!ボリュームを上げて聴いていると、頭が真っ白になる。

そして、このサウンドは確実に新しいと思うのだ。完璧な89年+2010型サウンド。あの当時、もしCHABOが清志郎のアルバムでギターを弾くことがあっても、こういうスライドは弾かなかったのではないだろうか?
これは89年にベーシックができていたとしても、2010年でなければ完成できなかった音なのだ。そう思うと、すごく不思議な気分。もしや、清志郎は生きてるんじゃないだろうか?ほんとにそう思ってしまう。

とにかく、今はこのアルバムをもっと聴き込みたい。もっとこの素晴らしい音を自分の身体の中に刻み込みたい。
何百回、何千回と聴きたいんだよ、今は。

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2010年3月 6日 (土)

忌野清志郎デビュー40周年&ニューアルバム「Baby#1」発売記念インストアイベント / 2010年3月5日(金)PM9:00~ TOWER RECORDS新宿店7F

清志郎のニューアルバム「Baby#1」リリース当日、新宿のタワレコで開かれた記念イベントに行ってきた。
このイベント、最初は全然行く気なかったんだ、オレ。アルバムは前日にフラゲしてたし、やっぱりまだお祭りみたいに盛り上がる気分にはなれないからね…。
でも、ミニライブにリクオが出演することを知って、どうしても行きたくなってしまったのだ。だって、こういう趣旨のイベントに出るのなら、当然リクオも何かRCやキヨシロー関連のカバーをやるに違いないと思ったから。そんなの、なかなか聴けないじゃない?この日は若手ソウルシンガーの多和田えみとのデュオだし、イベントとはいえ、きっと普段とは違うライブがパフォーマンスが見られると思ったのだ。

それと、イベントの開始時間が午後9時と、遅めに設定されてたのも都合よかった。実はオレ、この日は6時から職場の打ち上げがあったんす(苦笑)。オレの勤め先は多摩地区だから新宿までは中央線で一本。1次会だけでさっと抜け出せれば、ぎりぎり9時には間に合うだろうという計算があったわけ(笑)。
こういう時になると異常にテキパキと立ち回っちゃうオレは(苦笑)、ビールやらハイボールやら焼酎やらをがっつり飲んで、大いに語り、しっかり食って、上手い具合に脱出成功。中央線が遅れてていらいらしたけれど、奇跡的に9時前には新宿に到着することができた。

この日は3組のライブアクトがあった。美大生のガールズ・パンクバンド、Merpeoplesのボーカル・シャルロットとドラムのRICOとのユニット、 charlotte&rico。“毛皮のマリーズ”のボーカル・志磨遼平。そしてリクオと多和田えみとのデュオだ。

リクオたちが出演したのは二番手。
1曲目は「夜の散歩をしないかね」だった。あの印象的なイントロをキーボードで弾くわけだけど、清志郎&CHABOがやるのと比べると、いくぶんジャジーなタッチになっていたのがリクオらしい。多和田えみのボーカルにもよく合ってたな。
これで観客の気持ちをぐっとつかんだリクオは、自身の最新アルバム「リクオ&ピアノ」から、「胸が痛いよ」を。
この曲は清志郎との共作。曲に入る前には清志郎との思い出が語られた。昔、リクオは清志郎の住まいの近くに住んでいて、2人で曲を作ったということ。そして、次の日の朝、リクオのボロアパートを清志郎が訪ねてきて、作りかけだった曲の残りを置いて赤いポルシェで帰っていったこと。そんな話だ。これはリクオのアルバム発売記念ライブに行った人にはお馴染みのエピソードなんだけど、やはり清志郎関連のライブで話されると格別の感がある。
そんな話の後に歌われた「胸が痛いよ」はやはり素晴らしかった。タワレコ店内のがさがさした空気の中では、こういうしっとりした曲は演る方も大変だと思うのだけれど、リクオは集中していた。切々と歌い込まれた美しいメロディーは、この曲を初めて聴いた人の心の中にも、確実に何かを残したと思う。
3曲目は、驚くなかれ「スローバラード」!オレはこれが聴けただけでも、この日のイベントに行ってほんとによかったと思う。23'Sとして清志郎のバックをやった時には演奏した経験があるのかもしれないが、ソロになってからのリクオは、この曲を殆どやっていないはず。少なくとも、オレが足を運んだリクオの数多いライブを振り返っても、この曲がセットリストに入っていたのは記憶にない。だから、リクオのキーボードからあのイントロが奏でられたときはかなり驚いた。
演奏はやはり素晴らしかった。キーボードもそうだけど、リクオのエモーショナルなボーカルには激しく心を揺さぶられた。多和田えみには失礼だが、この曲はリクオ・オンリーで聴きたかったぐらいだ。
最後に多和田えみの持ち歌(すんません、タイトル忘れました)を一緒にやって、リクオたちのセットは終了。20分ぐらいの持ち時間でたった4曲の演奏だったんだけど、なかなか中身は濃かった。やっぱり行って良かったと思う。

他の2組については、正直言ってあんまり印象に残っていない。最初の女の子2人組みは、なんだかアマチュア臭くて痛々しいぐらいだった。もしかしたら、オレの方が上手いんじゃないか、と思っちゃったぐらい(苦笑)。あれで「空がまた暗くなる」と「トランジスタ・ラジオ」歌っちゃうんだもんなあ…。ある意味、とても勇気ある子たちなのかもしれないけど(笑)。
3番手の志磨遼平は、清志郎のカラオケにのってステージアクションの真似をしてるだけ。なんかいたたまれなくなって売り場でCD見てましたよ、オレは(笑)。

そんなわけで、リクオの演奏を除いては、オレにとってイベント自体はあんまり大したものではなかった。考えてみたら、この日のゲストはリクオ以外清志郎と何の繋がりもない人たちばかりなのだ。みんなとってつけたように清志郎の音楽が好きとか何とか言ってたけど、なんか空々しく聞こえちゃったなあ、オレは。こういうイベントをやるんだったら、呼ぶべき人はもっと他に居るんじゃないかって、清志郎の熱心なファンなら誰でもそう思っただろう。
お店に集まった観客も、一様におとなしくて拍子抜けした。っていうか、あの場に集まってたのは、いったいどういう人たちだったんだろう?コアな清志郎ファンはあんまりいなかったような気がするんだけど…。
そんな完全アウェー状態の中、リクオはきちんと清志郎へのリスペクトを表した演奏をしていたと思う。そう、ほんとうに、“きちんと”という言い方がぴったりだった。決して湿っぽくならず、だけど清志郎不在の空虚感も隠さずに…。どんな場でも与えられた役目を瞬時に理解してきっちりやり遂げる。そんなリクオのミュージシャンシップ、プロ意識を垣間見たように思ったな、オレは。

まあ、でもアレなんだろう。こういうことを積み重ねて、清志郎の音楽は“みんなのもの”になっていくんだろうな…。
一番いいときを知っているオレらから見れば、大カン違いをしてる企画がこれからもウンと待ち受けているんだと思う。でも、そんなもんで清志郎の作った音楽の素晴らしさはいささかも揺るがないし、オレの気持ちだってまるで動じない。最近はそんな覚悟ができてきた。
だって、ビートルズの企画ものだって、素晴らしいものもあればクソみたいなものだってごまんとあるじゃん?つまりはそういうことなのだ。清志郎の名の付いたものなら何でもかんでもOKかといったら、そんなことは絶対にない。これからは、オレら一人ひとりが自分なりの清志郎と生きていけばいいだけの話。適当に付き合って、適当に無視し、適当に楽しむ。そんなしたたかさを持っていようと思う。
当たり前のことだろ?オレんちには毎晩、清志郎が来てくれてるんだぜ!

P.S. 「Baby#1」は予想を遥かに上回る傑作アルバムでした!オレがイベントに行く気になったのは、このアルバムの元気っぷりに触発されたってのもあるなあ、きっと。

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