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2010年3月14日 (日)

KOJI WAKUI presents DOWN TOWN HOOTENANNY vol.2 出演:the BMW,中川五郎,リクオ / 2010年3月14日(日)浅草橋BUNGAJAN

KOJI WAKUI presents DOWN TOWN HOOTENANNY vol.2

出演:■the BMW(伴 慶充/森山公一/和久井光司)
   ■中川五郎
   ■リクオ
日時:3月14日(日) 18:00開場/18:30開演
会場:浅草橋 ブンガジャン
料金:前売¥3,000/当日¥3,500


Dscn2123_4 このイベント、もちろんオレのお目当てはリクオ。だけど、中川さんも和久井さんも、機会があれば一度は見てみたいと思っていた人たちだったんだよね。

中川五郎さんに関しては、「受験生ブルース」を歌っていたフォークシンガーだってことも、もちろん知ってたけれど、自分にとってはこの人の書く文章、特に思春期に聴いた様々な洋楽アルバムのライナーノーツを書いていた印象が大きかった。この人は、取り上げる音楽ジャンルがとても多彩で、それはニューウェイブ系のバンドにまで及んでおり、世代を超えた感性を感じさせた。
中川さんは、確か創世記の「BRUTUS」の立ち上げなんかにも関わっているはず。文筆や編集でも確固たる仕事をしているから、オレなんか、最近までシンガーを止めて文筆業に専念しているのかと思っていたぐらいだ。
最近ではBYGでのリクオのライブでその姿を見かけたことがあった。NHKで放送された高田渡さんの特集にも出ていたっけ…。そんな五郎さんがリクオと同じステージに立つのなら、ぜひとも見てみたいと思ったのだ。

和久井光司さんに関しては、レコード・コレクターズみたいな雑誌を読んでる洋楽ファンには、お馴染みの名前だろう。ボブ・ディランをはじめ、ストーンズのディスコグラフィだの、ビートルズのなんちゃらだのっていう話になると、今現在、日本の若手ライターでこの人の右に出る人はいないと思う。
そんな和久井さんがバンドをやってることを知ったのは、あの「21世紀少年」の漫画を描いた浦沢直樹さんとの対談集「ディランを語ろう」という本を読んでからだ。これだけ洋楽に精通してる人が出す音って、いったいどんななんだろうと興味を抱いた。

どうやら、このイベントは和久井さんが企画を立て、リクオと中川さんに声をかけるという形だったらしい。もともと中川さんとは何度か一緒にやったことがあるらしいが、リクオとは、彼らが7年前に出したアルバムのレコ発ライブで共演した事があるという。加えて、3人の共通項に現在来日中のボブ・ディランの存在がある。きっと3組の共演も見られるだろうし、これはきっと面白い夜になるという予感がした。

最初の登場は和久井さんのバンド、the BMW。アメリカンロックのマナーを踏襲したようなオリジナルの曲が心地よく響く。この日まで全然知らなかったんだけど、このバンドのリズム隊は、ドラムが80年代のビートバンド、シェイクスの伴慶充、ベースが元オセロケッツの森山公一だった。このリズム隊は強力だった!特に伴さん!スワンプロック的なモコモコしたノリを、これだけうまく表現できる日本人ドラマーはあまりいないと思う。最後の曲でのシンプルなドラムなんて、まるでジム・ケルトナーじゃねえか、と思ったもんな(笑)。
がっしりしたビートに支えられ、ギターを手にした和久井さんが、アメリカンロック、ボブ・ディランやカントリーの影響を強く感じさせるオリジナルを歌う。the BMWは30分ほど演奏し、中川さんのステージへ…。

赤いシャツを着た中川五郎さんは、バンジョーを抱えてピート・シーガーの曲に詞を付けた「丸々赤ちゃん」からライブをスタート。お孫さんができたばかりだという五郎さんの歌声は、とてもそんな歳とは思えないぐらいに溌剌としている。朴訥なMCを挟みながら、病の床に伏している古い知り合いのシンガーの曲をやったり、カバーも交えながら曲を次々に披露していく。
「受験生ブルース」も、もちろん飛び出した。これは五郎さんが18歳の時に作った曲らしいが、この日歌われたのは、新たな歌詞が書き加えられた「受験生ブルース2010」というバージョン。大阪生まれの五郎さんだが、どうも今の知事さんがお嫌いらしく、特に、例の学力テストの結果を公開して競争原理を導入するような発言に我慢がならないと語っていた。
五郎さんいわく、“競争するということは、必ず勝者がいて敗者がいるということ。勝者の論理だけでモノを語って欲しくない”みたいな事を言っていたんだけど、これは、これまでの五郎さんの歩みからすれば、とても納得できる発言だと自分は感じた。幾つになっても少数派の側でいようとする五郎さんのスタンスを強く感じ、シンガーとしての気骨を感じたなあ…。

ステージ中央にキーボードが置かれ、いよいよリクオの出番。1曲目は、西岡恭三のカバー「アフリカの月」。これは、この夜のちょっと気だるい酒場チックな雰囲気にぴったりだった。ちょっと足元のふらついたピアノが、バーボンの香りのように心地よく耳に入ってくる。
これで客席の集中を高めたリクオは、すかさずユーミンのカバー「やさしさに包まれて」と、オリジナルの「雨上がり」を続けて歌う。たぶん、この日の会場には、オレ以外、あまりリクオ・マニア的な聴き手はいなかったと思う。だけど、この黄金カバーと自身のキメ曲、それに何よりもリクオ自身の歌の巧さで、すっかり場を自分の雰囲気にしてしまっていた。
さらに「サヨナラCOLOR」をじっくり聴かせると、歌詞カードの入ったファイルをパラパラとめくりながら、次の曲を探す。“ソロでやるときは、その時の気持ちでやりたい曲を自由にやれるのがいい”というMCどおり、この日のリクオはとてもリラックスして見えた。
客席にいた和久井さんから“ピアノライダー!”という声も飛んだが、“そういう気持ちじゃないな…”というリクオは、「機関車」をセレクト。ハコの音響の良さも手伝い、素晴らしい歌声が響く。
最後は新曲の「FOREVER YOUNG」。悲しみを越えて歳を重ねていこう、と歌い上げる歌詞が胸に突き刺さる。藤沢のライブで初めて耳にした時には気が付かなかったけど、歌詞に出てくる“Sweet soul Music”には、ひょっとしたらリクオなりの忌野清志郎への追悼の気持ちが織り込まれているのかもしれないと思った。

この後は、the BMWが数曲演奏し、リクオをステージに呼び込む。このセットで演奏されたのは、なんとサニー・デイ・サービスの「Baby Blue」だった。これは数年前に出た和久井さんのアルバムに収録された曲だというが、リクオの歌で聴くのは、もちろん初めて。
さらに、2人が日本語詞を交互に歌った、「I Shall Be Released」。これはリクオのライブでも何度か聴いた事があったが、やっぱりエレキギターが入ったバンドスタイルで聴くのは格別の感があった。

そして、客席のオレのすぐ前に座っていた中川五郎が呼び込まれ、ついに3組による夢の組み合わせが実現する。五郎さんは凄かった。まずは、“この歳になると、盟友たちが次々に亡くなってしまうのが辛い”と語り、親友だった高田渡さんへの想いを込めた「眠られぬ夜」。そして、しみじみとした空気をぶっ飛ばすような「90センチ」。激しく弦をかきむしり、絶叫するように歌詞をシャウトする五郎さん。エンディングでは勢いよくジャンプ!いやあ~ロックでした!リクオがぼそっと“煩悩の塊ですね”って言ったのが笑えたなあ(笑)。

アンコールは、来日中のディランに敬意を表し、全員でレゲエ・タッチにアレンジされた「風に吹かれて」を日本語詞でカバー。
こうして3時間半もの長いイベントが終わった。

会場のBUNGAJANは、とてもいいハコだった。この小屋があるのは浅草橋。このあたりは問屋が多く集まっている地域で、普段はおよそ音楽の現場からはほど遠い印象の町だ。ライブハウスは、浅草橋駅から歩いてすぐの雑居ビルの地下にあった。派手ではないが、堅実にいい音楽を提供していこうとするような姿勢にとても好感が持てる。
この日のライブに集まった観客は15人ぐらいかなあ…。決して多くはなかったが、そのほとんどは和久井さんや中川さんの熱心なファンだったようで、皆よくステージに集中し、いいムードだった。
とにかく、人数なんか関係ない、予想以上に手応えがあるイベントだったと思う。なかなか見られない組み合わせのライブが目撃できた満足感でいっぱいだ。
和久井さんも五郎さんも、今度は単独ライブをぜひ見てみたいと強く思う。

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コメント

シェイクスの伴慶充!、久しぶりに名前を聞きました。
一時期、ヒートウェイヴでドラムを叩いていて、
シンプルだけど「こだわっている」ドラミングと言う印象を抱きました。
昔主宰していたWebサイトで、
彼にインタビューをしたことがありました。
(とは言えメールのやりとりではありましたけど)
その時も、飄々とした受け答えの中に、
ガツンとしたホンネが見え隠れれしていて、
「策士」であるな、と言う印象を抱いたことを覚えています。

和久井さんも、中川さんも、ライターというイメージが、
強いんですけれども、現役ミュージシャンとしての、
活動はコンスタントにされてらっしゃるんですね。
特に和久井さんはレココレや、MMの人、みたいなイメージが強くて(笑)


こういうライヴにも足繁く通ってらっしゃるんですね。
なんか、いいな、と羨ましいと思いました。

投稿: きあ | 2010年3月20日 (土) 00時09分

◆きあさん
伴さんのドラムを聴いてると、アルバム「ジョンの魂」でのドラミングとか、フェイセズのリズム隊を連想します。ああいうオフビート気味で存在感のあるドラムを叩ける人って、日本人でにはなかなかいないと思います。
それにしても、この人がヒートウェイヴでドラムを叩いていたことは知りませんでした!意外なところで僕が今夢中になってるバンドとのつながりが判明して驚きです。

>こういうライヴにも足繁く通ってらっしゃるんですね。
なんか、いいな、と羨ましいと思いました。

リクオは人脈が幅広いんで、イベントなんかで共演する人たちが、前々から僕自身が気になっていた人だったりするんですよ。そういう意味では、リクオに教えてもらったミュージシャンってすごく多いです。

投稿: Y.HAGA | 2010年3月21日 (日) 18時01分

I received my first loans when I was 25 and that helped my family a lot. But, I need the collateral loan again.

投稿: Horn22Trudy | 2012年12月20日 (木) 18時39分

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