« 【映画】告白 / 中島哲也監督作品 | トップページ | 脚の痛みには種類がある »

2010年7月 8日 (木)

【映画】アウトレイジ / 北野武監督作品

335747view001
面白かった!間違っても女性を連れて行くような映画ではないけれど、久々に血の騒ぐエンターティメントを見たように思う。画面に展開する圧倒的な暴力の嵐と、殺って殺られる息もつかせぬ展開は、最後まで飽きることがなかった。

ストーリーは単純すぎるぐらい単純。ヤクザの世界に生きる男たちが、組織の中で生き残りをかけて裏切りや駆け引きを繰り広げる権力闘争の話だ。「世界のキタノ」の映画だから、暴力に対する無常観とかなんとか、もっともらしいメッセージがこめられているかと思いきや、そんなものは全くありません(笑)。ここにあるのはただ圧倒的な暴力の嵐のみ。まるで劇画の世界のようなバイオレンス・アクションが全編にわたって展開する。
描写はものすげえ残酷。カッターで指つめます。小刀で顔面切り裂きます。顔面が変形するほど殴り、蹴りつけます。虫歯治療中に乱入して治療器具で口の中を血まみれにします。耳に菜箸突っ込んで捏ね繰り回します。中華包丁で指つめてラーメンに入れちゃいます。それから、それから…。ま、心臓の弱い人は観ない方がいい(苦笑)。

オレはこの映画を観ていて、ちょっと懐かしいような気持ちにもなったんだよな…。最近はヤクザ映画とか、あんまり流行んなくなってきたじゃん?「極道の女たち」だの「仁義なきなんとか」だのはあったけど、あれは人間ドラマとしてもきちんと作り込んであったと思う。昔はそういうのじゃなくて、誰が撮ったかもわかんないような味も素っ気もない低俗B級ヤクザ映画がたくさんあった。子供の頃はそういう映画を普通のサラリーマンが当たり前のように観ていたし、おどろおどろしいポスターが通学路なんかにも平気で貼ってあったんだよね。こういう映画は当時も成人指定だったはずなんだけど、オレがこれだけ鮮明に憶えてるってのは、恐らく深夜放送かなんかで放送されたものを観てたんだろうと思う。

こういう映画が公開されなくなったのは、暴力的なものに眉をひそめる風潮が強くなってきたからなんだろうと思うんだ。ちょっと話が脱線するけど、このところはプロレスだってメジャーどころではレスラーが血だるまになっちゃうような流血戦はあまり観られなくなってきたじゃん?そういうのをやってしまうと、いろんな方面から苦情が来るんだろう。だけど、こんな臭いものにフタをするようなことばっかりやっててどうすんのかと思う。だって、見たくないなら見なきゃいいだけの話だろ?なんでいちいち規制すんのかと思うんだよ、オレは。
こんなことを言うと、“お前の好きなロックの愛と平和の精神に反する”なんてトンチンカンなことをいう奴が絶対出てきてうんざりしてしまうのだが、普段いくらもっともらしい事を言ったって、男はやっぱりこういう世界が好き。それは性だからしょうがないのだ。ライブを“参戦”っていうのと同じで、そのこと自体に何の意味もない。誰も深い意味でなんか使ってねえ。自然と出ちまうんだよ、バカ野郎!(笑)

そんなオレとしては、北野武というメジャーどころの監督がこれだけ痛快な暴力映画を作ってくれたこと自体が愉快。たぶん、この映画に関わった全員が同じ気持ちだったんじゃないかな。どっかのインタビューで北野監督が“出てくれた役者さんがみんな嬉々として演技していた”って言ってたけど、みんなやりたかったんだよ、こういう役を。
オレはインテリヤクザ風を演じた加瀬亮がおっかなかったなあ…。何をしでかすかわからないようなヤバさ充分。この役は今後の彼のキャリアにおいても重要な節目になるような気がする。巨大ヤクザ組織の組長をやった北村総一朗や、直参の組長役・國村隼はさすがの一言。最近はいいお父さん役や聞き分けのいい上司役の多いお二人ですが、久々に隠された牙を剥き出したような見事な極道ぶりでした。
椎名桔平はカッコよかった。この人、普段もけっこう目つきコワイよね(笑)。笑顔を浮かべていても、心の奥では絶対に笑っていないようなひやりとした冷徹さ。ビートたけしも凄みがあった。この人は下町育ちの浅草芸人だから、ヤバイ人たちを身近に見てきてたんだろう。“バカ野郎!”の一言も、鉄拳をふるう演技も、モノホン?と思ってしまうような迫力だった。

この映画、海外の映画祭ではあんまり評判がよくなかったらしい。まあ、そうだろう。フランスの文化勲章を受勲した人が撮った映画とはとても思えないような低俗ぶりだから(笑)。でも、オレはこのB級感覚がたまらなく好き。思うに、北野監督は確信犯的に“暴力映画”っていうジャンルをこれで復活させようと思ったんじゃないかな。それはかなりの完成度で成功したとオレは思う。
品行方正な紳士淑女にはオススメできないが、パルプフィクションみたいなB級ぶりを理解できる人ならきっと楽しめるんじゃないかな、これは。
オレ、この映画観てはじめて気が付いたぜ。“ヤクザ映画とジェットコースター・ドラマは似ている!”って…(笑)。

|

« 【映画】告白 / 中島哲也監督作品 | トップページ | 脚の痛みには種類がある »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

この映画は俺も観ました。
賛否両論あるみたいで、俺の友人たちも否定派ですが俺は良かったと思いました。

“こういう連中でも実は、こんな面もあって・・・”みたいな部分、一切なくて“ただ圧倒的な暴力の嵐のみ”なトコが痛快でした

椎名桔平、カッコよかったですね、確かに。あの冷たい笑顔!
個人的には國村隼がサイコーでした。下劣っぷりNo,1の名演技だったと思います。

投稿: LA MOSCA | 2010年7月11日 (日) 14時28分

◆LA MOSCAさん
これはある種のエンターティメントですよね。叙情に走るところ一切なし。暴力、暴力で押し切ったところが良かった。反面、こってりした人間ドラマが好きな人は嫌悪感を抱くんでしょうね。

>國村隼がサイコーでした。下劣っぷりNo,1の名演技だったと思います。

確かに(笑)。そもそも、こいつがだらしないことがすべての元凶だもんね(笑)。

投稿: Y.HAGA | 2010年7月12日 (月) 17時41分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/111538/48825168

この記事へのトラックバック一覧です: 【映画】アウトレイジ / 北野武監督作品:

» 『アウトレイジ』、シンディー・ローパーのベスト、そして今週の『銀魂』 [奥行きの深い日々]
昨日の夕方、『アウトレイジ』を観てきた。 先に観てきた友人Mクンが「つまんなかっ [続きを読む]

受信: 2010年7月11日 (日) 14時30分

« 【映画】告白 / 中島哲也監督作品 | トップページ | 脚の痛みには種類がある »