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2010年8月 8日 (日)

WORLD HAPPINESS 2010 ~Yellow Magic Orchestra with 小山田圭吾・高田漣・権藤知彦 guest. Crystal Kay~ / 8月8日(日)東京・夢の島陸上競技場

夢の島に行って来た。YMOを観たかったのだ。
WORLD HAPPINESS。一昨年から行われているこの夏フェスで、YMOは3年連続のトリを務めている。一回目の時は「HASYMO」名義だったが、昨年は国内では16年ぶりにYMO名義でのライブを行った。名実ともにイエロー・マジック・オーケストラとして3人は21世紀の音楽シーンに復活したのだ。

前にもどこかで書いたことがあるけれど、僕は少年の頃、熱狂的なYMOファンだった。RCサクセションにもローリング・ストーンズにも出会う前のこと。その頃の音楽少年の大半がそうであったように、僕と音楽との出会いはフォークだった。そんな僕を思春期に完全にロック嗜好に振り切ったのがYMOだった。僕は彼らを通じてロックのビートを身体に取り込み、ロックミュージシャンのアティテュードを知ったんだと思っている。“機械的で冷たい”とも言われたYMOのサウンドだが、僕は当時から全くそんなことを感じたことがない。特にライブでの躍動感と言ったら、もう…。もしかしたら、全盛期のライブ盤「Public Pressure」は、僕がこれまでの人生で一番数多く聴いたアルバムかもしれない。
それほどまでに好きだったYMOだけど、後期の実験的な路線に入ってからは急速に熱が醒めてしまった。その頃は既に洋楽ロックにどっぷりと漬かっていたし、国内でもぐっとくるバンドがたくさん出てきていたから自然とそっちに足が向いて行ったのだと思う。結局、僕は生音とシンセ音をミックスさせた、初期のロックっぽいYMOが好きだったんだろう。再結成後のアンビエントっぽい音には全く興味を持てなかったし、もう僕がかつて好きだった往年の熱いYMOは体験できないんだろうと諦めていた。

ところが、YouTubeで昨年のWORLD HAPPINESSでのYMOの演奏を見てびっくりしてしまった。演奏に80年ごろのダイナミックさが戻ってきている!これは僕がかつて夢中になった初期のYMOスタイルにかなり近いと思った。





RCサクセションは観た。ストリート・スライダーズも観た。絶対に日本では観られないと思っていたローリング・ストーンズだって観てしまった。だけど、考えてみたら僕は少年の頃にあれほど夢中になったYMOのライブをまだ体験していないのだ。44の今になって気が付くのも相当遅いと思うけど、僕は今になって猛烈にYMOが観たくなってしまった。それは青春時代の忘れ物をとりに行くかのような気持ちに近かったかもしれない。

ただ不安も大きかった。なぜかって、あの気まぐれな3人はみんなの望んでいる曲をなかなかやってくれないからね…(苦笑)。眠たくなるようなアンビエント路線ばかりのセットで、最後に「RYDEEN 79/07」でお茶を濁して終わり、みたいなライブだったらどうしよう…。イベントを楽しみながら、そんな一抹の不安を抱きつつ出番を待っていたのですが…。

見てくれ!このセットリストを!

01.LOTUS LOVE
02.Day Tripper
03.音楽
04.体操
05.千のナイフ
06.BEHIND THE MASK
07.Tibetan Dance
08.Thank You For Talkin' To Me Africa
09.Rydeen
10.Fire Cracker
11.Hello Good-By

大満足!こんなに聴きたかった曲をやってくれるとは思わなかった!

最初の驚きは2曲目の「Day Tripper」。アレンジもアルバムバージョンを踏襲していたのが嬉しい。幸宏の変則ドラミングに教授のブニョブニョしたキーボードの音色…。この曲を演奏してくれるとは全く予想していなかっただけに、夢を見ているんじゃないだろうか?と思ったぐらい。
さらに驚いたのは「体操」。イントロで、あの“シャカ、シャカ、シャカ…”っていうサンプリング音が流れると、会場からどよめきが起きる。ステージには体操着を着た2人組が現れ、拡声器を持った教授が号令を。アレンジはこれもほとんどアルバムと同じだった。この曲、散会後にやったことってあるんだろうか?ものすごく驚いたんだけど…。

「千のナイフ」は大好きな曲だったので、生で聴けたのはすごく嬉しかった。幸宏の力強いドラミングと細野さんの土台を固めるようなベースのリフに乗せ、教授があのキーボードラインを重ねていく。本当に美しかった。会場には荘厳といっても言いぐらいの空気が漂う。圧倒的な音空間…。白状するけど、この瞬間オレはもう泣きそうだったぜ…。一瞬自分の足が地面からふわっと浮き上がったような錯覚にとらわれた。この曲はサポートの小山田圭吾のギターと、権藤知彦のトランペットのアバンギャルドなプレイも素晴らしかったと思う。“YMO楽団”としての演奏の充実度はこれが一番だったんじゃないかなあ。

会場のどよめきが一番大きかったのは「BEHIND THE MASK」がはじまった時だ。あの印象的なイントロが聴こえただけで驚きの声が挙がる。ヴォコーダーを通した教授のボーカルが始まると自然発生的に拍手が起きたぐらいだ。

クリスタル・ケイがゲスト参加した「Thank You For Talkin' To Me Africa」と「Rydeen」では、スカパラ・ホーンズの4人も加わり、さらに厚みが増す。「Thank You…」ではYMOが上質のファンクバンドに早変わりだ。こういうビートを叩かせると幸宏さんは本当に巧い。細野さんも楽しそうにベースを弾いてたなあ。
「Rydeen」は「79/07」じゃなく、オリジナルのパワフルなアレンジの方で演奏された。イントロの“チッチキ、チッチキ…”抜きで、いきなりドラムがバーン!と入るカッコいい構成には興奮しました!間奏でのスカパラのプレイも豪快で、なんかもう頭の中が真っ白になってしまった。

本編は「Fire Cracker」で終わって、アンコールの「Hello Good-By」で余韻を残しつつイベントは終了。YMOの演奏時間は1時間ぐらいだったと思う。

いやあ~夢のような1時間だった。何よりも高橋幸宏が全曲で生ドラムを叩き、細野晴臣がベースギターを手にする曲が多かったことが嬉しい。本当に行って良かったと思う。僕の知る限り、この日のYMOは散会以降のライブで最もYMOらしいYMOだったんじゃないだろうか?
初めて生で観たYMOのライブは神々しいまでに素晴らしかった。観る前は“野外で見るYMOってどうなんだろう?”って思っていたのだが、とっぷりと暮れた宵闇の中を舞うシンセサイザーのサウンドと、空高くどこまでも上り詰めていくようなビートは、夢の島という都会のオアシスのムードにハマりすぎるほどハマっていた。
確かに3人は一様に歳をとった。80年代当時は美少年と言われた坂本龍一なんか、白髪に丸眼鏡をかけてまるで昭和の文学者みたいな風貌になってしまったし…。でも、3人の編み出すサウンドは十分にエネルギッシュだったし、そのサウンドはやっぱり唯一無二のものなんだなあ、って強く思った。

ってなわけで、YMO中心のライブになってしまったんだけど、フェス全体を通して見ても、とても見所が多くて楽しいイベントだったと思う。気になったミュージシャン、バンドを少しだけ…。
まずCoccoには圧倒された。こんなに“歌”に自分を委ねている人を見るのは久々だ。僕は代表的な曲しか知らなかったんだけど、彼女の歌の持つ力にぐいぐいと引き寄せられてしまった。痛々しいけど力強い。そして何よりも圧倒的な説得力があるのだ。彼女の歌には、好む好まざるにかかわらず聴く者を捕えて離さない強力な磁力を感じる。きっと彼女の人生における“歌”の比重は、僕みたいな一音楽ファンには及びも付かないぐらい大きなものなんだろうなあ…。そんなことを思わずにはいられなかった。
ムーンライダーズは流石の貫禄。プログレッシブで文学的で、気難しくてルーズで。そしてとびきりロックンロール!素敵なおっさんたちだったなあ…。
サカナクションにはびっくりした。僕はこういう若手のビートバンドにはあまりピンと来ないことが多いんで、実は彼らの出番は次のスカパラに備えてのトイレタイムにしていた(苦笑)。ところが、聴こえてきた音がえらくぶっ飛んでたので、用もそこそこに(おい!(笑))慌ててステージ前に走ったってわけだ。このバンド、何より演奏がむちゃくちゃ巧い!ダイナミックでありながらとても凝ったことをさりげなくやっている。ボーカルもよく通る声でライブで鍛えられた喉をしてるし、曲もいい。何よりこのバンドはオーセンティックなロックバンドのシャープさに加え、サンプリング経験後の世代らしいセンスを持っているところが強みだと思う。僕が言うのもなんだけど、これはとんでもないバンドになる可能性を秘めていると思うぞ。
プラスチックス…。巷ではYMOの次ぐらいに期待を集めていたみたいなんだけど、うーん、残念ながら僕はあんまりピンときませんでしたね。僕は昔からこういうキッチュ路線、はじめにファッションありきみたいな人たちのやるバンドは苦手なんだよなあ…。ただ、さすがにサウンドは昔の薄っぺらいピコピコ音だけじゃなく、立花ハジメのファンキーなギターを前面に出した今風なものになってはいたけどね…。

それから、入場に予想以上に時間がかかってしまい、外で漏れ聞く音を聴くだけになってしまったLOVE PSYCHEDELICO。これがものすごくぐっときた。“Freedom”の限りなくハッピーな、天高く希望が羽ばたくようなあの感じは、WORLD HAPPINESSと銘打ったこのフェスにピッタリだったと思う。いやもう、理屈抜きに素晴らしいロックバンドだと素直に感動した。僕はかつてこのユニットに対して否定的なことを書いたことがあるが、それはこの際全面撤回したい。なんでもう少し早く来てこのバンドのステージを見なかったのか、すごく悔やんでいる。うーん、つくづくナマで観たかった…。

オール8時間の長丁場。でも本当に楽しい一日だったなあ。夏、バンザイ!(笑)
スカパラの谷中さんが言ってたけど、WORLD HAPPINESSはいろんな意味で最も東京らしいフェスかもしれない。2ステージがサクサク進行するからタイムロスもほとんどないし、夢の島って意外にアクセスもいい。それに、なんと言っても日本人だけのこの豪華な出演者!僕みたいにあまり時間が取れない家庭人でも参加しやすい、お得感満載の夏フェスだと思う。うん、来年もYMOが出るなら行こうかなあ…。

【主演者】(出演順)
にほんのうた楽団(小池光子+高田漣+ASA-CHANG+鈴木正人)
LOVE PSYCHEDELICO
清 竜人
MONGOL800
大橋トリオ
Cocco
カヒミ・カリィ
RHYMESTER
□□□(三浦康嗣、村田シゲ、いとうせいこう)
pupa(高橋幸宏+原田知世+高野寛+高田漣+堀江博久+権藤知彦)
安藤裕子
ムーンライダーズ guest 小島麻由美
サカナクション
東京スカパラダイスオーケストラ
プラスチックス
Yellow Magic Orchestra with 小山田圭吾・高田漣・権藤知彦

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