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2010年9月18日 (土)

GO!!60 CHABO with HAYAKAWA Tour 2010 仲井戸“CHABO”麗市・早川岳晴 / 2010年09月18日(土) 福島県福島市「風と木」

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ティーンエイジャーだった頃にRCサクセションと出会って以来、僕はこれまで様々な会場で数え切れないぐらいCHABOのライブを観てきた。だけど、この夜はこれまで見て来たライブの中でも、5本の指に入るぐらい記憶に残るものだったと断言できる。CHABOと早川さんの歌・演奏が素晴らしかったのはもちろん、会場の空気やお客さんの雰囲気、盛り上がりまで含めて喩えようもないくらい素晴しい夜だった。こんなにも温かい気持ちになれたライブは、ちょっと他に僕は思いつかない。

この夜が素晴らしいライブになったのは、会場が「風と木」だったことが大きいと思う。そもそも、ここはライブハウスではないのだ。地元で生まれ育った店長夫妻とその両親が、家族で営んでいる住宅街の中の小さなお店。普段はコーヒーや地元で収穫された食材で作ったランチを出す自然派を謳う喫茶店なのである。
CHABOの熱心なファンなら、2003年にCHABOが行った全国ツアーのDVD「TIME 2001-2003-Feel Like Going Home」の中に、CHABOが生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしているシーンが収められているのを憶えているだろう。実はあの赤ちゃんは「風と木」の店長夫妻のお子さんなのだ。
あれから7年。CHABOは再び「風と木」にやってきた。そして、7年前CHABOの腕の中に抱かれていた小さな赤ちゃんは、たくましい7歳の少年となってCHABOの前に現れた。こういうシチュエーション、絶対CHABOはぐっときてるはずだ(笑)。ましてCHABOが子供に弱いことは周知の事実。地元で地道にカフェを営むご家族との久々の再会に感動したCHABOの気持ちが、そのまま今日の歌・演奏の充実ぶりに繋がっていたんだと僕は思う。
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それにしても、「風と木」はとても雰囲気のあるお店だった。蔦に覆われた概観は“となりのトトロ”に出てくる家のよう。入り口にはほおずきの鉢植えがあったり、蚊取り線香が炊いてあったり、大きな柿の木には青い実がたくさん生っていたり。僕が子供の頃にはまだ残っていた、懐かしい田舎の一軒家を見るような感じだった。
お店に入ると中も雰囲気たっぷり。硬い木のベンチに座って改めて正面を見ると、ステージと客席は全くのフラット。壁際には達磨ストーブ、照明は裸電球。まるで農家の土間にお邪魔したような気持ちになった。開演前に流れる戦前ジャズのBGMが、なんともいえないいい空気を醸し出す。おそらく楽屋やステージング用の照明などはないのだろう。CHABOはカウンターの中の厨房を通ってステージに向かい、伊藤恵美社長自らが電球の明るさを操作していた。

そんな手作り感覚満点のお店に加え、この日は観客が本当に素晴らしかったと思う。
実は、福島は昔からあまりロック系のミュージシャンがライブをやる町ではないのだ。CHABOに限らず、メジャーどころの全国ツアーは、東北だと福島を素通りして仙台がメイン。福島県内だったらせいぜい郡山が入ればいいところ。この町はライブ自体ほとんど行われないロック不毛の地なのだ。
そんな町に7年ぶりにCHABOがやってくる…。地元ファンの期待はものすごく大きかったんだろう。この日は3連休の初日にあたることもあり、僕も含めて首都圏から遠征したファンもけっこういたのだが、CHABOがフロアに姿を見せた時の歓声の大きさには、ライブを見慣れているファンでも誰もが驚いたのではないか。MANDALAやAXとは比較にならないぐらい少ない観客数だというのに、その熱さは有名ライブハウスを凌ぐほどだった。

観客の熱さはオープニングだけではなかった。今回のツアーで、CHABOは必ずモータウンのカバー曲「Dancing In The Street」を演り、曲の途中で観客とのコール&レスポンスを挟むのだが、ここでの盛り上がりは僕が観てきた中でも最大級。
清志郎の曲を演奏した時もそうだった。このパートはCHABO自身いつも辛そうで、観ていて胸が苦しくなることも多いのだが、この日の観客の真剣さ・熱さに、CHABOはだいぶ力をもらったのではないか。
曲前のMCでは“(去年清志郎が遠くに行ってしまったけど)全然実感ないよな~”とつぶやくCHABOに、会場のあちこちから“ない…”という声が漏れる。ファンの誰もが突然の出来事をいまだに昇華できておらず、“同じ気持ちなんだよ、CHABOさん”ということを、なんとかステージのCHABOに伝えようとしているようにも感じられ、ちょっと感動してしまった。
そして始まった「毎日がブランニューデイ」も「君が僕を知ってる」も、CHABOのギターが聴こえないぐらいの大合唱となる。こんな熱い観客のリアクションを前に、CHABOはどんなに嬉しかったことだろう…。曲が終わった後の“CHABO、ありがとう~”という絶叫には、きっと“やって良かった”と思ってくれたと思う。

心配していた早川さんの怪我も、想像していた以上の回復ぶり。驚いたことに、ポエトリーリーディング「読書する男」では、怪我をする前と同じように大きなウッドベースを最後までプレイしてくれた。

実を言うと、僕はこの日のライブには事前から特別な思いがあった。ライブの行われた福島市は、何を隠そう僕が生まれ育った町なのである。この世に生を受けて東京に出るまでの19年間、僕は四方を山に囲まれ町の真ん中を大きな川が流れるこの町で暮らした。
CHABOは7年前の全国ツアーでも福島でライブをやっており、もちろんその時も行くつもりでいたのだが、直前にどうしても行けない理由が出来てしまい、泣く泣く知人にチケットを譲ったことがあった。だから、僕が故郷の町でCHABOを観るのは、80年代のRCサクセションまで遡って、なんと30年ぶりということになるのだ(!)。
最も多感な時期を過ごしただけに、正直言うと未だに福島には愛憎半ばする複雑な思いがある。だが、今の僕を作っているかなりの部分が、この町の暮らしの中で形作られたのは間違いない事実。そんな町にCHABOを観に帰る事に、ある種の感慨を抱いてしまうのは当たり前といえば当たり前だろう。

繰り返すが、この日のCHABOは本当に素晴らしかった。
CHABOは「風と木」に再度来られたことを心から喜んでいた。なにしろ、カウンターの中からは店長さんご一家が、そして7年前はまだ赤ん坊だった2人の兄弟が、楽しそうにステージを見つめているのだ。そりゃあ張り切ってしまうでしょう(笑)。
基本的なセットは、6月に観たMANDALAとほとんど同じだったのだが、どの曲もあれから更に進化し、演奏時間が長くなっていた。あの時はMCが長かったのも含めての3時間半。この日はそれを更に超えていた。

個人的に強く胸に迫ったのは、アンコールでの「ティーンエイジャー」だ。まさか故郷の町でこの曲が聴ける日が来るなんて…。オレ、マジで45年間生きてきて本当に良かったと思った。CHABOの歌を聴きながら、僕の頭の中では、この町の学校に通う17歳の自分の姿がダブっていた。
アンコールでは嬉しいサプライズも。客席にいたマダムギター長見順をステージに呼び込み、早川さんと3人で「平和BLUES」をセッションしたのだ。長見順はCHABOからギターを借り、ブルージーなフレーズを弾きまくる。驚いたことに、長見さんは今、」福島に住んでいるらしい。ご主人の岡地さん(元ボ・ガンボス。現スィンギン・バッパーズのドラマー)が福島に縁のあることは知っていたが、まさかこっちに移っているとは…。故郷を離れて25年。福島もだんだん面白い街になってきてるのかな…(笑)。

「雨あがりの夜空に」は総立ちで大いに盛り上がり、カウンターの中の子供たちに語りかけるように歌われた「ガルシアの風」では、なんとも言えない温かい気持ちになった。いつもにも増して長く丁寧なスタッフ紹介の後、最後の最後に歌われたのは「Hobo's Lullaby」。なんだかすごく感動して泣きそうになってしまったよ、オレ…。
何よりも、CHABOが何度も“福島~!”と叫んでくれて、そんな呼びかけに熱く応える地元ファンが大勢いたことに、僕はもう感無量だ。この町の出身者として本当に誇らしかった。故郷の町を離れて暮らす僕が言うのもなんだけど…(苦笑)。

しかし、本当にスゴイや、CHABOは…。なんつうか、これぞ真のプロだと思った。
何度も言うようだけど、福島はロック不毛の地。まして「風と木」があるのは川を渡った町の外れ。城下町の古い町並みに国道が通ったことで宅地ができた一帯だ。正直言って地元育ちの僕ですらあまり行ったことがなかった。
そんなドの付くほどの田舎町に、CHABOは極上の音楽を引っさげてやってきた。そして、首都圏でやるのと全く同じクオリティで3時間半ものライブを敢行してしまうのだ。押しも押されもせぬ大御所が、ロックのロの字もないような片田舎でこんなにも凄いライブをやっている…。その事実だけでも本当に感動してしまう。
この夜、CHABOが届けた情熱の欠片は、きっとこの町に何かを残すだろう。そう、30年前に福島県文化センターでRCサクセションを観た少年のその後の人生が大きく変わったように…。

また大事な夜が増えた。僕は、この日歌われた「ティーンエイジャー」を、「夏の口笛」を、一生忘れないと思う。
故郷の町でCHABOを見ることが出来て本当に良かった。そして、願わくば何年か後、またここ「風と木」でCHABOのライブを観たい。素晴しかった。温かくて力強くてちょっぴり切なくて…。まるで夏の終わりの村祭りのように忘れがたい一夜だった。

ありがとう、CHABO、早川さん。
ありがとう、「風と木」。

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コメント

そうなんですよ Chaboさん
郊外だからって 全然手を抜かないんですよね

先日も 終演後2時間位演ってくれたかなと
携帯を取り出して 時間を見ると
(Liveに集中したいから 腕時計はしてません)

3時間半オーバー
慌てて 終電間近の駅に走る。走る
今回のTour よく走ってます(笑)

イイですよね
地元でのLive

8月の大阪は万博
いゃー 参りました 暑さに
猛暑の大阪 野外はダメですよ
軽い熱中症になりましたもの(笑)

来週は 松坂
来月は 梅田~渋谷

長かったTourも いよいよですsign03

投稿: さみしげなパイロット | 2010年9月22日 (水) 16時06分

◆さみしげなパイロットさん
なんかもう、圧倒されています。あんな凄いライブを決して大きいとはいえない会場で60回もやっているという事実に、それをやっているCHABOは還暦を迎えるとしだという事実に…。
まして、この夜は地元でのライブでしたからね。帰りの新幹線の中、ライブの場面を一つ一つ頭の中で再現してたら、なんだか無性に泣けてきてしまいました(苦笑)。

CHABOはこのツアーで、僕達に音楽だけではなく、生き様をも見せてくれているような気がしますね。

投稿: Y.HAGA | 2010年9月24日 (金) 08時19分

私も風と木のライブ、行きました。CHABOさんのライブ自体、初めてでした。清志郎さんを知って好きになってCHABOさんに巡り会えたので、本当によかったと思いました。姿があるうちに、清志郎さんに会えなかったのが残念です。

投稿: みかん | 2010年9月25日 (土) 13時10分

◆みかんさん
風と木のライブが初CHABOライブですか!あんな素晴らしい夜が初ライブだったなんて、みかんさん、もうCHABOから離れられなくなってしまうのではないですか?(笑)
僕、あの夜はCHABOの歌・ギター、早川さんのプレイぶりが素晴らしかったのはもちろんなんだけど、あんなに密度の濃い演奏を、あんな片田舎の小さなお店で繰り広げているっていう、そのこと自体にえらく感動してしまいました。
地方の名もない小さな店でのライブなんてマスコミはまず取り上げませんよね。でも、あの夜の濃密ぶりは首都圏の有名ライブハウスで行われるメジャーミュージシャンのライブも及ばないほどだったと思います。あんな全力の演奏をあの歳で60回も繰り広げている…。つくづくスゴイ男だと思います、CHABOって。

投稿: Y.HAGA | 2010年9月27日 (月) 10時04分

はじめまして。
私もあの日、「風と木」におりました。
チャボさんの初ライブでした。
その初ライブがとびっきりのライブだったことを
こちらの記事を拝見して再確認しました。
「風と木」には、しょっちゅう出かけています。
コーヒー、おいしいですよね。

リンク集に山口洋さんの名前を見つけて、
おおっ!と、うれしくなりました。
「満月の夕」で、ガツンとやられました。
ROCK'N'ROLL GYPSIESのライブもあったりして、
福島も、ロックがんばっていますよ。

記事の一部を私のブログで引用させていただきました。
事後報告になってしまって、すみません。

投稿: azur | 2010年9月27日 (月) 13時51分

◆azurさん
うん、あのライブを観た事は十分自慢していいと思いますよ(笑)。「ダンス天国」のコーラスも最高でした。僕は故郷を捨てた人間ですけど、福島生まれであることを誇りに思いました。
ROCK'N'ROLL GYPSIES、福島でライブやったんですね!だんだんロックな人たちも増えてきてるのかな。
ブログの引用ももちろんOKですよ!こうして地元の方とブログ上の繋がりができるのはすごく嬉しいです。
頑張れ、福島!なんてったって、オレはあの街でかけがえのない十代を過ごしたんですから。「ざ・らんど」やコルニエ・ツタヤの地下にあったレコード店が無かったら、今の僕はここにいなかったと思います。

投稿: Y.HAGA | 2010年9月27日 (月) 22時04分

初めてコメントさせていただきます。
私が参加したのは長野のライヴですが、hagaさんの福島のお話を読んで感動して泣きそうになりました。そのときのPAの方のブログはごらんになりましたか?http://higemodern.exblog.jp/14672879/
今回のツアーでチャボはたくさんの人にいろいろなものをプレゼントしてくれている気がします。
そうそう、45歳で年のことなんか言わないでくださいね。
私なんか50歳を通り過ぎた今マラソンに挑戦しようかと思っているんですから。

投稿: そらら | 2010年9月28日 (火) 23時22分

◆そららさん
ご紹介いただきましたブログ、早速拝見させていただきました。素晴らしいエピソードがたくさん書かれてあって、またあの日の感動が蘇ってきています。

>今回のツアーでチャボはたくさんの人にいろいろなものをプレゼントしてくれている気がします。

僕もほんとそう思います。たとえば、CHABOさんが「風と木」でライブをやったことで、そららさんからコメントをいただいて、あの日PAを務めた方のブログを紹介していただいて…。小さなことかもしれないけど、こんな思いがけない嬉しい繋がりだってCHABOさんがくれたミラクルですよね。
こんな素敵なコメントをいただくと、僕もブログをやっていて本当に良かったと思います。

そららさん、50過ぎてマラソンに挑戦ですか!ハーフマラソンぐらいでいい気になってる僕なんて、まだまだ若造ですね(苦笑)。今年はハーフ止まりですが、僕もいずれはフルに挑戦したいと思っています。

投稿: Y.HAGA | 2010年9月29日 (水) 09時46分

そうですね(^^)CHABOの渋さはほんとに魅力的です。渋谷のBirthdayLive、行ける人いいなぁ…。同世代のコが好んで聴くような流行の歌より、CHABOや清志郎のロックにかなり共感する自分が、人とは違うのかなぁと思ってましたが、今は変わりました。『人の目を気にして生きるなんてくだらないことさ』
なんか、そう思います。

投稿: みかん | 2010年9月29日 (水) 21時30分

◆みかんさん
>『人の目を気にして生きるなんてくだらないことさ』

僕、「いけないルージュマジック」は25年前は言葉合わせみたいな歌詞かと思ってましたが(苦笑)、今になってそこに隠れていた清志郎の真意がやっとわかったような気がします。10.9のAXまでもうすぐですね。マラソンを完走するように60本のライブで全国の音楽ファンを励まし続けたCHABO…。まったくスゴイ男だと思います。

投稿: Y.HAGA | 2010年9月30日 (木) 12時07分

Great writing, I've been waiting for something like that!

投稿: municipal mutual insurance | 2010年10月16日 (土) 21時07分

◆Mr.municipal mutual insurance
Thank you. Hereafter, a happy article will be improved.

投稿: Y.HAGA | 2010年10月17日 (日) 19時22分

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