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2010年9月

2010年9月25日 (土)

ソウル・フラワー・ユニオン「“ダンスは機械均等!”ツアー」 / 9月25日(土)渋谷duo MUSIC EXCHANGE

2日続けてduoへ出勤してしまった(笑)。
今日はソウル・フラワー・ユニオンの「ダンスは機械均等!」ツアー千秋楽。面白いことに、HEATWAVEとSFUは同じ時期にツアーがあり、大阪と東京は同じ会場で2組が続けてライブをやる日程になっていた。実際、僕の友だちは2組を追い駆けて大阪まで遠征してたっけ。中川敬も昨日のHEATWAVEのライブに顔を出したそうだ。山口洋は中川から大阪でのSFUライブに誘われたらしいんだけど、ランニングで会場に向かう途中、迷ってしまって10キロ走り、結局ライブには行けなかったんだって。あはは、まったくもう…(笑)。

僕はこの日、なんと最前列の中央やや左寄りに陣取った。ジゲンの真ん前だし、中川はギターを弾きながらすぐ前まで踊りに来るし、もう迫力満点!
周りはコアなファンばかりだった。みんな我を忘れて踊り狂い、大声で歌いまくる。思うんだけど、SFUのファンってのは飛びっぷりが独特だよね。ほんとに音楽を全身で楽しんでる感じだ。そんな中、自分も我を忘れて踊ってしまった。こんな前で見ることなんてそうそうないし、いやあ~貴重な体験でした(笑)。

この日のSFUは、いつものメンツに加え8月のモノノケ・サミットでも加わっていたチンドン太鼓の人(すまん、名前忘れた)がゲストで入っており、いつも以上に華やかなステージだったように思う。
中川敬もいつも以上に気合入りまくり。オープニングが「エエジャナイカ」ってのは、僕的にはちょっと意表をつかれた感じだったし、そのまま「ブルーマンデーパレード」と続けて、長いインストへ突入していくあたりは、もう頭の中が真っ白になってしまった。
今回のライブは、いつも以上にインストやインプロビゼーションのパートが多かったような気がする。これは去年新加入した高木克が、よりバンドにフィットした事が大きいんじゃないのかなあ?実際、中川と2台のギターを絡ませる場面があったり、スライド・バーを使った印象的なソロを弾いたり、彼が前面に出てプレイする場面が昨年と比べると格段に増えていたように思う。

セットリストは、R&R、ブルース、アイリッシュ、沖縄、民謡、ブルース…。もう、世界中の音楽の美味しいところをごった煮にしたような、SFUミュージックのてんこ盛り状態。ただ、今回は「死ぬまで生きろ」や「ダンスは機会均等!」みたいな、新しめの曲の印象が強く、どっちかって言うとレゲエ調が多かった印象を受けたかな…。中川のことだから、夏に合わせてなんてことはないだろうけど(笑)、結果として今の季節にぴったりだった。

嬉しいことに、年末にむけて作成中という新作からの曲もやった。「移動遊園地の夜」がそう。これをやって「Human Nature」を挟み、「うたは自由をめざす」に突入したあたりのノリは凄まじいものがあったなあ…。大好きな曲だから僕もノリノリだったんだけど、観客の歌う“オーオ…♪”ってコーラスの大きいことと言ったら…。
オレ、SFUのライブに行くようになって間もないんだけど、このバンドのファンの大きな特徴は、こうやってライブでよく歌うことじゃないだろうか?他のバンドのライブだと、でかい声で歌ってると嫌がる人なんかもいるから、けっこう気を使ったりするものだ。でも、気持ちよかったら歌いたくなるし、のってきたら踊りたくなるのは人間の本能やん。そういう事がごく自然にできちゃうライブ空間ってやっぱしイイなあ、とつくづく思った。
中川も満足そうに“十分やね…”って言ってたし、ほんとは音楽ってこうやって楽しむってことを、改めて思い知ったような気がする。

中盤は「寝顔を見せて」みたいなじっくり聞かせる曲、ミホちゃんボーカルの浅川マキのカバー「かもめ」やジゲンの「秋田音頭」なんかを挟み、ついに「極東戦線異状なし!?」が始まる。スゲエ…。大汗かいてサイケなテレキャスターを弾きまくる中川は、なんか獣じみていて人間じゃないみたい(笑)。
新し目の「ホップ・ステップ・肉離れ」をやったかと思えば、ニューエストモデルの「雑種天国」が飛び出したりと、後半はもうなんでもござれの畳み掛け。こっちは“もうどうにでもして”状態だ(笑)。
「海行かば山行かば踊るかばね」では、興奮したファンがどんどん前に押し寄せてくる。本編最後「荒地にて」が終わっても、興奮したファンは声を出し続けていた。

当然アンコールでバンドが出てくると大拍手。
曲前のMCでは、10月開催予定で企画にヒデ坊が深く関わっているPeace Music Festa!の話が。中川の話では、嫌がらせなんかもあってなかなかヘビーな状況なんだそうな。それでも“二分後にはギャグにして話のオチをつける”っていうんだから、スゴイ女性です、ヒデ坊。そんな話の後に「辺野古節」。つなげて必殺の「風の市」。スゴイっす!ぐうの音も出ません(苦笑)。
更に2回目のアンコール「神頼みより安上がり」でまたまたフロアは大爆発。バンドが去った後も、会場に流れた「死ぬまで生きろ」を大合唱して、やっとファンは岐路についた。

約3時間。怒涛のライブだった。
HEATWAVEに続けて2日連続でむちゃ濃いライブを観たオレ、さすがに疲れました(笑)。
ただ、オレはSFU最前列はもういいかな…。目の前で見られるのは迫力だけど、あんまり前だとこのバンドのせっかくのバンドサウンドがあんまり分離よく聴こえてこないのがストレス。もみくちゃになりながら盛り上がるのは楽しいけど、フロアに響き渡るバンドサウンドに身を委ね、ちょっと余裕を持って踊るのが自分にはむいていると思った。

ともあれ、楽しい2日間だったなあ…。
実は今のところ、僕は今年後半、あんまりライブに行く予定がない。その代わりと言っては何だが、10月と11月には自分への挑戦としてハーフマラソンの大会が2本控えている。やっぱり、受け取った“光”はカタチにしなければと思うのだ。2本のライブで貰ったエネルギーを糧に、さあ走るぜ!

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2010年9月24日 (金)

HEATWAVE TOUR 2010 “光” / 9月24日(金) 東京・duo MUSIC EXCHANGE

本人がどう思ってるか知らないけど、山口洋ってのは明らかに体育会系体質の男だと思う。ロックンロールってイメージで言えば荒ぶれてるような気がするけど、実は文科系ヤサ男がバンドを組んでて拍子抜けすることも多々あるよね。最近の若い連中みたいに、いかにも背筋弱そうな痩せっぽちだったり…(苦笑)。それに対し、この4人は明らかに野獣系だ(笑)。なにしろ、この日は一見ヤサ男風の細身魚まで髪を振り乱してぶっ壊れてたからなあ…。男臭いぞ、HEATWAVE!(笑)。
この日は暑かった夏の日が嘘のような、雨混じりのひんやりした天気だったのだが、そんな空気をもろともせず、ステージから放たれる異常なエネルギーで、場内はぐんぐんヒートアップしていった。

この日の僕はステージに向かって左の石柱の左側あたりに陣取った。前から4列目ぐらいで渡辺圭一のほぼ正面。中央の山口洋も、その奥にいる池畑潤二も、右側のキーボード群の陰にいる細身魚もよく見える、最高のポジションだ。
duoって、音響が悪くてちょっと観辛い会場っていうイメージがあったんだけど、この日はすごく音の分離が良くて、頭が真っ白になるぐらい気持ちいいR&Rサウンドを存分に堪能できた。大満足だ!

改めて思ったんだけど、やっぱこの4人は巧いわ…。フロントマン山口洋はもちろん、他の3人ともとても個性的なプレイヤーだと思う。渡辺圭一のベースはリズムキープだけじゃなく、時としてギターソロみたいにメロディアスなフレーズを挟み込む。この日だったら、「ガールフレンド」後半の闇の中に溶け込んでいくようなソロはとても耳に残るものだった。池畑潤二の迫力あるビートはいわずもがな。この日は得意技の“エンディングでの高速ロール”を、再三にわたって見せ付けてくれ、ぐうの音も出ないほどノックアウトされてしまった。
そして細身魚。HEATWAVEが凡百のロックンロール・バンドと一味も二味も違うのは、やっぱり魚のサウンドコーディネートが大きいと思う。アコーディオンを使ったアイリッシュ・テイストの音、ハモンドでのR&Bマナーな演奏に加え、この人はサンプリングを駆使した不思議な音色を使いこなせるところが強み。R&R系のキーボード・プレイヤーで、これだけ幅の広い音楽性を持ってる人って珍しいんじゃないかなあ?まさに音の魔術師。
「STILL BURNING」とか「NO FEAR」とか、臨界点にどんどん近づいていくようなモダンなビートは、このメンツでのHEATWAVEならではだと思う。パンクとテクノが合体したような異常な高揚感に、僕は心臓が爆発しそうなぐらいに興奮してしまった。

それに加え、今回はステージ後方に大きなスクリーンが設置され、曲に併せたスペシャル映像が流れた。mood filmsという映像チームが制作したものらしいのだが、これが抜群の効果を発揮。ロックバンドに演出なんていらないとする考えかたもあるだろうし、事実ミュージシャンのパフォーマンスに集中したい時には、やりすぎの演出はわずらわしくさえある。でも、今回は演奏と映像がうまい具合に融合していて素晴らしかったと思うなあ…。
印象に残っているのは、「ガールフレンド」の街角を少女が駆けて行くやつとか、「BRAND NEW DAY/WAY」でのテレビ画像を高速でコラージュしたようなやつ。歌詞のイマジネーションがぐっと膨らみ、ビートの高揚感が増幅し、R&Rにはこんな飛び道具もアリなんだなあと思った。

それにしてもヒロシは熱かった!HEATWAVE流R&Rというと、イコール・グレッチっていうイメージがあるが、思い返すと今回の山口洋は意外とアコギを持っている頻度も高かった。だけど、アコギかエレキかなんてことは全然関係ないと思わされるぐらいに熱いギターだったと思うなあ。
観てて気が付いたんだけど、ヒロシがあえてアコギを持っているからこそ、渡辺圭一や魚がメロディアスなソロをやリフを挟み込むスペースが生まれているんだとも思う。HEATWAVE、ダテに20年やってない。この辺のあうんの呼吸ぶりは、やっぱり体育会系だ(笑)。FWが囮になってDFが前に走り込んで来るイメージつうの?まるでチームスポーツのコンビネーションを見てるような気さえした。

セットリストは、僕的にはまったく文句なし。聴きたかった曲はほぼ全部聴けたと思う。
嬉しかったのは「TOMORROW」だ。アルバム「1995」は、HEATWAVEディスコグラフィの中でもとても好きなアルバムなのだけれど、その中でもとても穏やかで好きな曲。“BOXセットを作った時、昔の曲を聴き直してみて改めてこれをイイ曲だと思った”という洋のMC付きでこの曲が歌われた時は、背筋がすっと伸びるような気がした。
「BRAND NEW DAY/WAY」とかも、アレンジがだいぶ違っていてとても新鮮だった。この曲はライブ2曲目だったんだけど、池畑さんのハネるドラムが印象的で、観客はこれで完全にスイッチが入ったような感じだったなあ…。

なんか、本編はバンドの高いテンションにぐいぐい引っ張られ、あっという間に終わってしまったような感じだった。はっきり言って、バンド結成20周年をかみ締めるような余韻はまったく無かったと思う。バンドの現役感と山口洋の自信満々ぶりに圧倒されっぱなし。
やっとバンドの歩みを振り返るタッチが出てきたのは、アンコールになってからだ。まず、サプライズで渡辺圭一45歳の誕生日祝い。ステージにスタッフがろうそくが灯されたケーキを運び、たまけんが照れくさそうに灯を吹き消す。
それを笑って見ていたヒロシにもサプライズが…。HEATWAVEがデビューした時に最初に所属していた事務所の社長さんが、この日のために花束を持ってステージに現れたのだ。最近涙もろいヒロシ、この時はけっこううるうるきているように見えた。

これでまたまた火がついたんだろうな。シャツを脱ぎ捨て、上半身裸になって「NO FEAR」へと突入した山口洋の気合は尋常じゃなかった。暴力的ともいえるようなビートの渦に、僕も頭の中が真っ白だ。
山口洋、引き締まった身体だったなあ…。とても45歳の身体とは思えず、体脂肪率8%もあながち嘘じゃないかも…。やっぱ月間500キロ走らないとああはならないんだろうな。ちょっとオレ、あそこまでは無理。月間200キロでいっぱいいっぱいですから…(苦笑)。

そういえば、このツアーのテーマは“光”だった。
こんなうんざりする時代だけど、オレ、なんとなく“光”が見えてきたような気がするなあ…。一歳上の山口洋からあれだけすごいものを見せ付けられたんだ。こじんまりと纏まってる場合じゃない。オレもまだまだやれる。やらなきゃいけないと、なんだか無性にそう思った。

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2010年9月18日 (土)

GO!!60 CHABO with HAYAKAWA Tour 2010 仲井戸“CHABO”麗市・早川岳晴 / 2010年09月18日(土) 福島県福島市「風と木」

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ティーンエイジャーだった頃にRCサクセションと出会って以来、僕はこれまで様々な会場で数え切れないぐらいCHABOのライブを観てきた。だけど、この夜はこれまで見て来たライブの中でも、5本の指に入るぐらい記憶に残るものだったと断言できる。CHABOと早川さんの歌・演奏が素晴らしかったのはもちろん、会場の空気やお客さんの雰囲気、盛り上がりまで含めて喩えようもないくらい素晴しい夜だった。こんなにも温かい気持ちになれたライブは、ちょっと他に僕は思いつかない。

この夜が素晴らしいライブになったのは、会場が「風と木」だったことが大きいと思う。そもそも、ここはライブハウスではないのだ。地元で生まれ育った店長夫妻とその両親が、家族で営んでいる住宅街の中の小さなお店。普段はコーヒーや地元で収穫された食材で作ったランチを出す自然派を謳う喫茶店なのである。
CHABOの熱心なファンなら、2003年にCHABOが行った全国ツアーのDVD「TIME 2001-2003-Feel Like Going Home」の中に、CHABOが生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしているシーンが収められているのを憶えているだろう。実はあの赤ちゃんは「風と木」の店長夫妻のお子さんなのだ。
あれから7年。CHABOは再び「風と木」にやってきた。そして、7年前CHABOの腕の中に抱かれていた小さな赤ちゃんは、たくましい7歳の少年となってCHABOの前に現れた。こういうシチュエーション、絶対CHABOはぐっときてるはずだ(笑)。ましてCHABOが子供に弱いことは周知の事実。地元で地道にカフェを営むご家族との久々の再会に感動したCHABOの気持ちが、そのまま今日の歌・演奏の充実ぶりに繋がっていたんだと僕は思う。
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それにしても、「風と木」はとても雰囲気のあるお店だった。蔦に覆われた概観は“となりのトトロ”に出てくる家のよう。入り口にはほおずきの鉢植えがあったり、蚊取り線香が炊いてあったり、大きな柿の木には青い実がたくさん生っていたり。僕が子供の頃にはまだ残っていた、懐かしい田舎の一軒家を見るような感じだった。
お店に入ると中も雰囲気たっぷり。硬い木のベンチに座って改めて正面を見ると、ステージと客席は全くのフラット。壁際には達磨ストーブ、照明は裸電球。まるで農家の土間にお邪魔したような気持ちになった。開演前に流れる戦前ジャズのBGMが、なんともいえないいい空気を醸し出す。おそらく楽屋やステージング用の照明などはないのだろう。CHABOはカウンターの中の厨房を通ってステージに向かい、伊藤恵美社長自らが電球の明るさを操作していた。

そんな手作り感覚満点のお店に加え、この日は観客が本当に素晴らしかったと思う。
実は、福島は昔からあまりロック系のミュージシャンがライブをやる町ではないのだ。CHABOに限らず、メジャーどころの全国ツアーは、東北だと福島を素通りして仙台がメイン。福島県内だったらせいぜい郡山が入ればいいところ。この町はライブ自体ほとんど行われないロック不毛の地なのだ。
そんな町に7年ぶりにCHABOがやってくる…。地元ファンの期待はものすごく大きかったんだろう。この日は3連休の初日にあたることもあり、僕も含めて首都圏から遠征したファンもけっこういたのだが、CHABOがフロアに姿を見せた時の歓声の大きさには、ライブを見慣れているファンでも誰もが驚いたのではないか。MANDALAやAXとは比較にならないぐらい少ない観客数だというのに、その熱さは有名ライブハウスを凌ぐほどだった。

観客の熱さはオープニングだけではなかった。今回のツアーで、CHABOは必ずモータウンのカバー曲「Dancing In The Street」を演り、曲の途中で観客とのコール&レスポンスを挟むのだが、ここでの盛り上がりは僕が観てきた中でも最大級。
清志郎の曲を演奏した時もそうだった。このパートはCHABO自身いつも辛そうで、観ていて胸が苦しくなることも多いのだが、この日の観客の真剣さ・熱さに、CHABOはだいぶ力をもらったのではないか。
曲前のMCでは“(去年清志郎が遠くに行ってしまったけど)全然実感ないよな~”とつぶやくCHABOに、会場のあちこちから“ない…”という声が漏れる。ファンの誰もが突然の出来事をいまだに昇華できておらず、“同じ気持ちなんだよ、CHABOさん”ということを、なんとかステージのCHABOに伝えようとしているようにも感じられ、ちょっと感動してしまった。
そして始まった「毎日がブランニューデイ」も「君が僕を知ってる」も、CHABOのギターが聴こえないぐらいの大合唱となる。こんな熱い観客のリアクションを前に、CHABOはどんなに嬉しかったことだろう…。曲が終わった後の“CHABO、ありがとう~”という絶叫には、きっと“やって良かった”と思ってくれたと思う。

心配していた早川さんの怪我も、想像していた以上の回復ぶり。驚いたことに、ポエトリーリーディング「読書する男」では、怪我をする前と同じように大きなウッドベースを最後までプレイしてくれた。

実を言うと、僕はこの日のライブには事前から特別な思いがあった。ライブの行われた福島市は、何を隠そう僕が生まれ育った町なのである。この世に生を受けて東京に出るまでの19年間、僕は四方を山に囲まれ町の真ん中を大きな川が流れるこの町で暮らした。
CHABOは7年前の全国ツアーでも福島でライブをやっており、もちろんその時も行くつもりでいたのだが、直前にどうしても行けない理由が出来てしまい、泣く泣く知人にチケットを譲ったことがあった。だから、僕が故郷の町でCHABOを観るのは、80年代のRCサクセションまで遡って、なんと30年ぶりということになるのだ(!)。
最も多感な時期を過ごしただけに、正直言うと未だに福島には愛憎半ばする複雑な思いがある。だが、今の僕を作っているかなりの部分が、この町の暮らしの中で形作られたのは間違いない事実。そんな町にCHABOを観に帰る事に、ある種の感慨を抱いてしまうのは当たり前といえば当たり前だろう。

繰り返すが、この日のCHABOは本当に素晴らしかった。
CHABOは「風と木」に再度来られたことを心から喜んでいた。なにしろ、カウンターの中からは店長さんご一家が、そして7年前はまだ赤ん坊だった2人の兄弟が、楽しそうにステージを見つめているのだ。そりゃあ張り切ってしまうでしょう(笑)。
基本的なセットは、6月に観たMANDALAとほとんど同じだったのだが、どの曲もあれから更に進化し、演奏時間が長くなっていた。あの時はMCが長かったのも含めての3時間半。この日はそれを更に超えていた。

個人的に強く胸に迫ったのは、アンコールでの「ティーンエイジャー」だ。まさか故郷の町でこの曲が聴ける日が来るなんて…。オレ、マジで45年間生きてきて本当に良かったと思った。CHABOの歌を聴きながら、僕の頭の中では、この町の学校に通う17歳の自分の姿がダブっていた。
アンコールでは嬉しいサプライズも。客席にいたマダムギター長見順をステージに呼び込み、早川さんと3人で「平和BLUES」をセッションしたのだ。長見順はCHABOからギターを借り、ブルージーなフレーズを弾きまくる。驚いたことに、長見さんは今、」福島に住んでいるらしい。ご主人の岡地さん(元ボ・ガンボス。現スィンギン・バッパーズのドラマー)が福島に縁のあることは知っていたが、まさかこっちに移っているとは…。故郷を離れて25年。福島もだんだん面白い街になってきてるのかな…(笑)。

「雨あがりの夜空に」は総立ちで大いに盛り上がり、カウンターの中の子供たちに語りかけるように歌われた「ガルシアの風」では、なんとも言えない温かい気持ちになった。いつもにも増して長く丁寧なスタッフ紹介の後、最後の最後に歌われたのは「Hobo's Lullaby」。なんだかすごく感動して泣きそうになってしまったよ、オレ…。
何よりも、CHABOが何度も“福島~!”と叫んでくれて、そんな呼びかけに熱く応える地元ファンが大勢いたことに、僕はもう感無量だ。この町の出身者として本当に誇らしかった。故郷の町を離れて暮らす僕が言うのもなんだけど…(苦笑)。

しかし、本当にスゴイや、CHABOは…。なんつうか、これぞ真のプロだと思った。
何度も言うようだけど、福島はロック不毛の地。まして「風と木」があるのは川を渡った町の外れ。城下町の古い町並みに国道が通ったことで宅地ができた一帯だ。正直言って地元育ちの僕ですらあまり行ったことがなかった。
そんなドの付くほどの田舎町に、CHABOは極上の音楽を引っさげてやってきた。そして、首都圏でやるのと全く同じクオリティで3時間半ものライブを敢行してしまうのだ。押しも押されもせぬ大御所が、ロックのロの字もないような片田舎でこんなにも凄いライブをやっている…。その事実だけでも本当に感動してしまう。
この夜、CHABOが届けた情熱の欠片は、きっとこの町に何かを残すだろう。そう、30年前に福島県文化センターでRCサクセションを観た少年のその後の人生が大きく変わったように…。

また大事な夜が増えた。僕は、この日歌われた「ティーンエイジャー」を、「夏の口笛」を、一生忘れないと思う。
故郷の町でCHABOを見ることが出来て本当に良かった。そして、願わくば何年か後、またここ「風と木」でCHABOのライブを観たい。素晴しかった。温かくて力強くてちょっぴり切なくて…。まるで夏の終わりの村祭りのように忘れがたい一夜だった。

ありがとう、CHABO、早川さん。
ありがとう、「風と木」。

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2010年9月11日 (土)

江ノ島「UMISAKURA MUSIC FESTIVAL 2010」 / 2010年9月11日(土)

江ノ島「UMISAKURA MUSIC FESTIVAL 2010」 / 2010年9月11日(土)
【エノスパ前フリーファンファーレLIVE】11:45~12:30
BLACK BOTTM BRASS BAND/Peace-k/上原”ユカリ”裕
【メインステージ/神奈川県藤沢市 江ノ島展望灯台サンセットテラス】13:00~19:30
リクオ/山口洋(HEAT WAVE)/ウルフルケイスケ/バンバンバザール/おおはた雄一/Leyona/BLACK BOTTM BRASS BAND/ラブハンドルズ/石嶺聡子/Peace-k(Pすけ)/上原”ユカリ”裕
【ナイトステージ/江ノ島ビュータワー7階 虎丸座】19:45~23:00
リクオ/KOTEZ&YANCY/谷口崇

この最高に楽しくて最高に幸せだった一日を、僕はいったいどう書き出せばいいのだろう…。
江ノ島の青い空。遠くに聞こえる潮騒。降り注ぐ夏の日差し。集まった人たちの笑顔。そして極上の音楽…。最高だった!夏フェス数あれど、僕にとっての夏フェスはやっぱり“海さくら”。何もかもがキラキラと輝いていた少年の頃の夏を思い出すような、夢のように楽しい一日だった。

あまりにもたくさんのミュージシャンが、あまりにも素晴らしい一期一会の演奏を聴かせてくれたので、もうそれら一つ一つを挙げる気さえなくなってしまうぐらい(苦笑)。強調しておきたいのは、リクオや山口洋、Leyonaなど、僕のお目当てのミュージシャンのステージを楽しんだのはもちろんなんだけど、ラブハンドルズや石嶺聡子など、初めて見る人たちも本当に素晴らしかったってこと。このイベントは運営からミュージシャンのブッキングまで、リクオがかなり深く関わっているらしいのだが、まったくもう、なんでこうも僕好みの素敵な人たちばかり集めるんだろう…(笑)。
ナイトステージも含めると10時間以上も音楽に浸っていたことになるのだけれど、1分1秒たりとも退屈することはなかった。過ぎ行く夏の日を惜しむかのように、降り注ぐサンシャワーを存分に浴び、飲み物や食料を買いに行く時間も惜しんで身も心もどっぷりと音楽に浸かった。本当に本当に幸せだった。

僕が片瀬江ノ島駅に着いたのは11時半ごろだったんだけど、エノスパ前ロータリーでは既にPeace-kと上原裕のファンファーレLIVEが始まっていた。やがてここにBLACK BOTTM BRASS BANDが加わり、一般の観光客も巻き込んでのセカンドライン・パレードみたいなノリになって大いに盛り上がる。
ライブが終わるとBBBBのメンバーはみんなそのまま楽器を持って江ノ島灯台まで歩いて移動。その後を僕らも続いてゾロゾロ。まるで聖者の行進だ(笑)。BBBBのメンバーたち、重い楽器を背負って汗をかきかきエスパーに乗っているのが微笑ましかった。

メインステージは13:00から開始された。最初、僕は長丁場だから落ち着いたら日陰で見ようと思ってたんだけど、トップバッターのラブハンドルズの予想以上の素晴らしさ(ハナレグミみたいだと僕は思った)に引き寄せられ、2番手のBLACK BOTTM BRASS BANDでがんがんに踊らされ、もう完全にアゲアゲ状態。結局最後まで日なたに立ちっぱなし。おかげで夏も終わりだってのに真っ黒だ(笑)。
でも、ほんとうに楽しかったんだ。登場するミュージシャン達がまた別の出演者を呼び込み、この日ならではの組み合わせが次々に実現してゆくんだからたまらない。リクオはこのイベントをいろんな人たちが出会う繋がりの場所、共鳴空間にしたいと語っていたが、正にそのとおり。一期一会の出会いに心底楽しそうな表情を見せるミュージシャン達、それを笑顔で受け止める観客たち。海と緑の息吹を感じながら、素晴らしい音楽空間が出来上がった。

メインステージで印象に残っているシーンをいくつか。
BLACK BOTTM BRASS BANDは盛り上がったなあー。彼らお得意のオープニング、客席から次々にメンバーが登場してくるシチュエーションが、この日ほどハマったのもないんじゃないのかな。
「今日の出演者の中で一番海が似合わない…」と言っていたバンバンバザールの福島くん。いやいや、どうしてどうして。アコースティックでゆるい音色が江ノ島の午後の日差しにぴったり合っていた。実は、僕はこの2日前にも吉祥寺でのイベントでバンバンを見ていたんだけど、そこで演奏された曲ともほとんどカブっていなかったのが流石でした!
Leyonaのステージは、バンバンバザールとリクオ、それにPeace-kが加わって、予想していた以上にゴージャスなものとなった。こうやって空の下で彼女の歌を聞いてると、この人の声はいい意味で土の香りがするなあ…。最近はR&Bに影響を受けた日本人女性シンガーがたくさんいるけど、そういった人たちとLeyonaが一線を画しているのは、この土臭さがあるからだと思う。この土臭くてブルーズな声こそが、オレみたいなおっさんを痺れさせてしまうのだ(笑)。あ、もちろん言ってるのは声のことです。本人は白い柔らかそうな服に小麦色の肌という、いたって爽やかな夏女っぷり。Leyonaはおおはた雄一との組み合わせも実現し、ミュージシャンの間ではこの日一番ひっぱりだこだったんじゃなかったかな…。

山口洋はおおはた雄一とのデュオで登場。この2人、ヒロシの自虐MCにおおはた君が「そんなことないですよ…」っていちいちフォローを入れるのが面白い(笑)。そろそろ傾き始めてきた日差しの中で歌われたヒロシの「トーキョー・シティ・ヒエラルキー」や、おおはた君の「くよくよすんなよ」はぐっときたなあ…。
山口洋+石嶺聡子という組み合わせも実現。石嶺聡子、初めて見たんだけど、名曲「花」でいきなり心臓を鷲づかみにされてしまった。それと、この日彼女が歌った山口洋の「オリオンの道」は、なんだかとても強く胸に響いた。この曲、こんなに素直で大きい曲だったんだなあ…。女性ボーカルで歌われるとその感動的な歌詞と素晴らしいメロディーラインに、なんだか涙が出そうなぐらいに感動してしまった。

リクオが登場してきたのはこの後だ。この日のリクオは、急遽参加が決定したベースの寺岡信芳とパーカッションのPeace-kが加わり、ほとんどバンドスタイルと言ってもいい形態。印象に残ったのは、久々の感がした「パラダイス」。暮れ行く西の空をバックにして歌われたこの曲は本当に美しかった。雲の間に間に虹のような色合いが見える「彩雲」も見られ(江ノ島でもなかなか見られないらしい…)、リクオは大自然の雄大さも味方に付けてのステージになっていたような気がする。
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後半は出演者全員がステージに登場してきてのセッション大会。この頃には日もとっぷりと暮れ、灯台に灯が点った。その下で音楽に身を委ねるたくさんの人たち…。すごくピースフルな光景だったと思うなあ。この日この瞬間、この場にいられたことを心から感謝したくなった。

この後、灯台の麓の芝生広場では、海さくら制作のドキュメンタリー映画「あなたの心の流れる先に」が上映された。もともと、このイベントは江ノ島の海をきれいに使用とする有志の呼びかけで始まったものだし、そのゴミの象徴であるタバコーのフィルターを集めてカヌーを作る過程を描いた内容に興味をそそられたんだけど、全部見てるとナイトステージに間に合わないかもしれないと思ったので、途中で切り上げ片瀬海岸まで降りる。

ナイトステージは片瀬海岸駅前、江ノ島ビュータワーの7階にあるライブスペース「虎丸座」にて。
とっぷりと暮れた江ノ島海岸を眼下に見渡す会場に、日焼けした顔の音楽好きたちが次々に集まってくる。ナイトステージはメインステージを見た人限定で120人のライブだった。これを見るとなると、当然その日のうちには東京に帰れない可能性が高い。でも、僕はそれでもかまわないと思っていた。事前の告知では、リクオ、KOTEZ&YANCY、谷口崇の3組の出演者が案内されていたが、メインステージを終えた出演者もたくさん飛び入りする予感があったし、ある意味メインステージ以上に一期一会感満点のライブだと思っていたからだ。これを見逃す手はないだろう!

開演は少し遅れて20:30ぐらいからだったかな。この時間帯から参加した谷口崇とKOTEZ&YANCYはソロステージを展開。谷口崇は高音で女性のようなソプラノボイスを操るユニークなボーカリストだった。KOTEZ&YANCYは流石の貫禄!特にKOTEZはかなり気合が入っていた。大汗をかきながらハーモニカを吹き鳴らし、シャウトし、YANCYのピアノに弾かれるように踊って場を盛り上げる。コテヤンは1時間ぐらい演奏したのかな…。

短いインターバルの後、リクオが登場。ここからは様々なアーティストとリクオが絡んでのセッション大会が繰り広げられたんだけど、その顔ぶれたるや予想を上回る豪華さだった。さすがにLeyonaや山口洋はいなかったけど、その他はメインステージに出た人は殆ど全員いtんじゃないだろうか?
リクオ曰く、セッションでは曲順ややる曲ですらきっちりとは決めてなかったそうだが、見てる方はそんなこと関係なく、理屈抜きに楽しかった。谷口崇・石嶺聡子との組み合わせでキャロル・キング2連発、「ナチュラル・ウーマン」と「君の友だち」なんてもう最高だった!もう、頭の中が真っ白になってしまうぐらい。
ここでサプライズがあった。「君の友だち」後半でちょっと詰まってしまった聡子ちゃんのヘルプに現れたのは、なんと桑名晴子さん!桑名さんの声、痺れた~。なんて温かくてハートにくる声なんだろう。関西弁丸出しの朴訥なMCも豪快で最高に素敵な飛び入りとなった。
その後も次々に出演者がステージに上がってセッションが始まる。印象に残ったのはバンバンバザール・福島くんボーカルの「生活の柄」@高田渡だ。正真正銘、日本最初のホーボーズ・ソング。考えてみれば、この日集まった僕らにとってこれほどお似合いな曲はないかもしれない。聴いてるうちに、なんだか涙が出そうになってしまった。まさか江ノ島で、こんな豪華な出演者でこの曲が聴けるとはなあ…。
リクオも言っていたけど、このセッションはある意味奇跡だったんだと思う。スリリングでビューティフルで、温かくて楽しくて…。何よりも、ステージのミュージシャンたちが演奏を、この場に居ることを、心から楽しんでいるのが客席からもはっきりとわかった。福島君なんて、演奏中も「やべえ、楽しい!すっげえ楽しい!」を連発していたぐらい(笑)。とにかく、演奏者も観客も、集まったすべての人たちがこれ以上ないぐらいにオープンマインだったと思う。
楽しかったセッションの最後は、桑名晴子さんの歌でジ・エンド。
気が付いたら時計の針は11時半を指していた。

その後は藤沢まで移動し、地元の音楽好きが集まる隠れ家的なバーへ。
一日太陽の下にいたのに、充実した時間を過ごしているせいか、まったく疲れを感じない。ここで出会った人たちお酒を酌み交わしながら、2時過ぎまで楽しく語り明かした。

本当に濃厚な一日。この日はいろんな人と再会したり出会ったりもして、自分にとっても一期一会な一日だったような気がする。そして、この日聴いた音楽や、出会った人たちからとてもたくさんのパワーを分けてもらったような気がするのだ。
江ノ島でかけてもらった魔法は、まだまだ解けそうにない。この日に受け取ったバイブレーションだけで、僕は今年の残りのハードデイズを乗り切っていけそうなぐらいだ。

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2010年9月 9日 (木)

「WE LOVE 吉祥寺」バンバンバザール、Leyona、麗蘭 / 2010年9月9日(木)東京・武蔵野公会堂

僕にとって、武蔵野公会堂で麗蘭を観るってのはなかなか感慨深いものがある。10代の終わりから30代始めまで長く三多摩地区に住んでいた僕にとって、吉祥寺は身近な遊び場だったからだ。公会堂の近くにある七井橋通り沿いには住宅街の中に洒落たお店がたくさんあり、僕は大学の授業が終わると、用もないのによくこの辺でぶらぶらしていた。
あれから20年以上の年月が流れたけど、この辺りは今もあまり雰囲気が変わっておらず、いつ来ても10代の頃の自分に出会えるような、不思議な感覚に囚われる場所なのだ。
そんな思い出深い町に昔からある小さなホール、武蔵野公会堂。最近はこういう場所でのロック系ライブはあまり聞かなくなったが、80年代初頭の今みたいにライブハウスなんかがあんまりなかった時代には、ロックのライブもこんなハコでやることが多かったように思う。
最大キャパ350人という小さな会場の小さな席に腰を下ろし、ステージに目をやると、既にセッティングの終わった楽器やアンプの背後の壁に屏風絵みたいな松の木が描かれていて、これがなんともミスマッチ。でも、だんだん“これも麗蘭らしいかな…”という気持ちになってくるから不思議だ(笑)。

イベントは19時きっかりにスタート。やっぱり公共の施設だから使用時間がきっちりきまってるんだろうと想像。
一番手はバンバンバザールだ。今回はヴォーカル&ギターの福島、 リードギターの富永、ウッドベースの黒川に加え、トランペットがサポートに入っていた。久々に観る彼らは相変わらずゆるくてゴキゲン。座席のせいか、この日のお客さんはどちらかというとちょっとかしこまった雰囲気だったんだけど、親しみやすい楽曲とジャジーなプレイぶりに徐々に緊張がほぐれ、手拍子が起きてゆく。福島君のMCも相変わらず絶妙。
夏の夕暮れにバンバンって妙に合うなあ…。なんか、ロックファン限定のビヤホールに来たみたいな気分(笑)。特に印象に残ったのは、明日出る新譜からの曲だという「俺とタシロと校庭で」。奇しくもCHABOと同じ新宿育ちの福島君の作った歌詞には、“戸山ハイツ”なんていう固有名詞まで織り込まれていてぐっときてしまう。MCでも言っていたが、15年前に吉祥寺で路上ライブを演っていて吾妻光良さんに見初められた彼らにとって、この日は晴れの凱旋ライブでもあったのだ。楽しいステージだったなあ。機会を見つけて単独ライブにも足を運びたいと思った。

2番手はLeyona。広島出身の彼女が東京に出てきて最初に住んだのが吉祥寺だから、こちらも凱旋ライブってことになる。
MCでは“吉祥寺の「COPA Bros.」で働きながら歌を歌ってました”なんていう発言も飛び出し、これには僕も懐かしい気持ちでいっぱいになった。COPA Bros.ってのは五日市街道沿いにあったソウルバー。店内はまるで米軍基地内の酒場みたいな雰囲気で、かかっている音楽も最高にゴキゲンだった。お酒の種類も豊富で、たぶん僕がラムを覚えたのはここだったんじゃないだろうか。通ってたのはもう20年も前の話だから、当然Leyonaとはカブってないけど、そうか無くなっちゃったのか、ここ…。
Leyonaをサポートするのは、デビュー当時からの相棒で今も吉祥寺に住んでいるセネガル人パーカッションのラティール・シーだ。
この日のLeyonaはこんがり焼けた肌を白い衣装で包み、アコースティックギターでじっくりと弾き語りを聴かせた。歌われたのは春に出たアルバムに収録された曲が中心。こういう狭い会場で音数の少ないステージをやると、彼女の歌声は一層引き立つ。観客をすべて包み込んでしまうような包容力でぐいぐい客席を引っ張っていった。途中ラティールとデュエットした「Fatou Yo 」なども挟み、最後は「LOVE」で終える堂々たるステージ。いやあ~見るたびに成長してるなあ、彼女。

さて、いよいよ麗蘭の登場。20時10分を回ると定番の「波路はるかに」がSEで流れ、4人がステージに姿を現した。最近怪我をして心配していた早川さんも、特に装具等を着けているわけではなく、客席から見ている分には元気そう。
この日の麗蘭はとてもロックっぽかった。CHABOはお得意のエレアコを全く使わず、全曲でエレキギターをプレイしたんだけど、なにしろオープニングの「HUSTLE」が強烈で…。バンバンとLeyonaがアコースティックなタッチだったので、このブチかましはかな~りキタ。早川さんのぶっといベースに蘭丸とCHABOのギラギラしたギターがのっかかると、思わず立ち上がりたい衝動に駆られる。
2曲目はなんと「霧のスプートニク」!夏っぽい曲をってことでセレクトされたみたいだけど、これは50周年記念ツアーぐらいでしか聴けなかっただけに、かなりレア曲と言えるのでは?この曲でのCHABOは、ボ・ディドリーが使っていたみたいな四角いハコ型ギターを使用していた。
「Harlem Shuffle」もスゴかった。蘭丸とCHABOのギターの絡みはもう絶品の一言。この日の会場は音の分離が良いから、2人の弾いてるフレーズの一音一音がきちんと聴き取れ、ものすごく気持ち良かった。年末の磔磔でがっつり盛り上がって聴く麗蘭もいいけど、こうして音のいいホールでじっくり聴き込むと、改めて麗蘭のロックバンドとしてのポテンシャルの高さ、4人のプレイの絶品ぶりに感動してしまう。

この日最大のヤマは「いい事ばかりはありゃしない」が始まった時だ。確かに吉祥寺に縁の深い楽曲ではあるけれど、CHABOのソロならともかく、麗蘭でこれが演奏されると予想していた人はほとんどいなかったのではないだろうか?
ああ、バンドバージョンの「いい事ばかり…」を聴くのは何年ぶりなんだろう…。CHABOのボーカルはそれまで以上に気合入りまくりだった。途中からLeyonaもヴォーカルに加わったのだが、様々な想いがこみ上げてきたのだろう、“吉祥寺あたりでゲロ吐いて”に差し掛かるあたりでは必死に涙を堪えている姿に胸を突かれた。エンディングでは蘭丸とCHABOが交互に長いギターソロを弾く。それぞれの想いを投入した一期一会の貴重なフレーズだ。この一瞬だけでも、この日のライブに来て本当に良かったと思う。

感動の余韻を残したままバンドは「Get Back」へなだれ込む。CHABOの力強いボーカルにギンギンにドライブするバンドサウンド。最高だった!ロックだった!久々に堪能した麗蘭の堂々たるバンドっぷり。やっぱスゲエや…。改めて惚れ直したような気分。

アンコールはこの日の出演者が全員がステージに登場してきた。世代もジャンルもバラバラなメンツで演奏されたのはGSの名曲2つ。まずはタイガース「シーサイド・バウンド」。もう一曲がワイルドワンズの「想い出の渚」。夏っぽいっちゃあ夏っぽいけど、なんちゅうベタな選曲なんだ(苦笑)。でも、やっぱりイイね、こういう定番曲。なんか、ビールと枝豆が欲しくなってきた(笑)。
最後はR&Bの大定番「STAND BY ME」。最後はみんなで繋いだ手を掲げ、観客の声援に応える。さすがに手を揚げるのは、早川さんちょっと痛そうだったかな…。

バンバンとLeyonaが30分づつ、麗蘭が50分くらいの演奏時間で、全体通しても2時間半に満たないイベントだったんだけど、満腹度は十分だった。
繰り返すけど、麗蘭のロックスピリットには本当に感動した。個人的なことを言うと、僕はこの日45回目の誕生日。四捨五入すると50歳になるという人生初めての領域に足を踏み込んだ日だった(苦笑)。こんな日に青春時代を過ごした吉祥寺で麗蘭を観られたってのは、なんか運命的なものを感じるなあ…。いい節目になった。

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2010年9月 8日 (水)

【日本代表/国際親善試合】 VSパラグアイ、VSグアテマラ

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インターナショナル・ウィークに行われた国際試合2つ。僕はもともとグアテマラ戦はあまり意味があるとは思ってなかったので、ここは対パラグアイ戦を語りたいと思う。僕はこの試合をとても楽しみにしていた。W杯で素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた僕らの代表のW杯後初の国際試合。しかも、相手は決勝トーナメントでガチンコでぶつかった国だ。果たしてW杯で見せたスタイルが定着するのか、一過性のものだったのか、この夜ですべてが判ると思っていた。

思い返してみて欲しい。これまでにも日本代表が浮上するきっかけになりそうな節目は幾つもあった。たとえばジーコ監督就任後初試合での“黄金の中盤”誕生の瞬間とか、オシム監督時代にFW高原が覚醒した時とか、3大陸トーナメントで優勝した時とか…。そのたびごとに僕らは大いなる期待を持って代表の進化を期待した。でも、最後はやっぱり失望させられちゃったんだよな。日本は“善戦するんだけど勝てないチーム”をどうしても脱せなかった。ピッチで展開される90分はそのほとんどがつまらないパス回し。見えかけた光は一過性のものでしかなかったのだ。
今度もそうなってしまうのではないか。南アフリカで見た夢はやっぱりあそこだけのマジックだったのではないか…。いやいや、そんなことはない。堅守速攻をあそこまで組織的にやり遂げた代表なのだから、きっと何かを見せてくれるはず…。そんな期待と不安が入り混じった気持ちだった。

パラグアイは気合十分で日本に乗り込んできた。W杯出場メンバーを中心にメンツはほぼ主力。それも4日も前から来日してコンディショニングを行うという周到さだ。対する日本は遠藤がいない。長谷部がいない。大久保がいない。闘莉王がいない。そのかわり、W杯では試合に出なかった内田と森本、それに細貝と香川がスタメン入りするという。監督は代行の原さん。はっきり言って、この時点まではホームの日本のほうがリスクを抱えていたと言っていい。
不謹慎かもしれないけど、僕はこれは面白いことになってきたと思った。長谷部・闘莉王というメンタルリーダーがいない日本が、本気モードの南米の古豪を迎え撃つ。果たして大コケするのか、新しいメンバーで堅守速攻を継承できるのか…。

結論から言うと、代表は僕の予想を大きく超えた素晴らしいサッカーをやってくれた。そしてなんと勝ってしまったのだから笑いが止まらない!(笑)
もちろん、W杯という究極の舞台と単なる親善試合を単純に比べるべきでないことはわかっている。だが、本気モードのFIFAランク15位の国に32位の日本が勝ったのだ。十分自慢してもいいんじゃないのか、これは?
しかも、内容はW杯決勝トーナメントよりずっと良かった。いったんボールを持つと選手たちが一斉に敵陣に駆け上がってぽんぽんパスを回す様は、とても半年前の日本代表チームとは思えなかった。大げさかもしれないけれど、まるでアーセナルやローマのサッカーを見るようで、試合を見た後の満足感は1-0以上のものがあったと思う。

個人的に嬉しかったのは香川と細貝の活躍だ。W杯出場メンバーがスタイルを継承しているのは当然だとしても、南アフリカではピッチに立てなかった彼らが、当たり前のようにチームのスタイルに順応しているのには本当に驚かされた。代表チームのサッカーは、文字通りその国の目指すサッカーの象徴でなければならない、なんてことを誰かが言っていたが、その意味をこれほど明白に見せてくれた試合はなかったと思う。

とにかく面白かった。そして、こんな面白いサッカーをザッケローニの前で見せることができたことの意味も大きいのではないか?W杯での対パラグアイ戦は、日本とパラグアイの国民以外には退屈な試合と思われても仕方なかったと思う。でも、この試合は世界中どの国のサッカーファンに見せても恥ずかしくないものだ。これであのイタリア人も本腰入れて日本を指導してくれるだろう。

もう一つ。これはあんまり言っちゃいけないことなのかもしれないけど(苦笑)、原博美恐るべし!この試合の影の功労者は原さんだ!
代行監督という難しい仕事でありながら、原さんはW杯で得た資産の継承と若手の融合、ザッケローニさんへのお披露目と橋渡しという複数のミッションを見事にこなしてしまった。後半には香川に換えて駒野をピッチに送り、サポーターの大拍手を呼び起こすという心憎い演出までして。うーん、やるなあ…。こういうのを粋というのではないだろうか。少なくともトルシエなら絶対こんなことはしないぞ(笑)。

ともあれ、これで方向は定まった。W杯でのスタイルは確実に継承された。実は勝利よりも得点よりもそっちの方がデカイと僕は思う。
カテナチオの国からやってきた異端の監督の元、これから日本代表がどんな進化を遂げていくのか、10月のアルゼンチン戦も楽しみになってきた。

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2010年9月 4日 (土)

【本】Kitano par Kitano 北野武による「たけし」

Kitanoparkitano_2 古くからの友人、BARIさんがブログで取り上げているのを見て興味を持った一冊。内容に関してはBARIさんが絶妙のレビューを載せておられるので、そちらを参考しにしていただきたい。僕もこの本の中のたけしは、かなり本音に近い部分で話をしているように感じられた。

北野武(=ビートたけし)という男は一種の怪人だ。コメディアンの衣を被っていながら、その深層には青白く燃える狂気と暴力の火が透けて見える。下町芸人の匂いをまといながら任侠の生き残りみたいな空気も醸し出す、こんな不思議な人物がゴールデンタイムにこれほど頻繁に登場している事自体、実はとてもシュールなことなのだ。
だが、あれほど露出が大いのに、この怪人の本音を知る機会は意外に少ない。TVではカメレオンのように場面場面で顔を変えているし、インタビューでも巧みなジョークで本音を隠しているように思えてならないのだ。
その点、この本は北野映画を敬愛する人が多いフランスの記者が自国向けに行ったインタビューだからか、たけしはかなりストレートに話をしているように思える。

本の中で、たけしが自分の撮った映画を時系列で一つ一つ丁寧に解説していくところはとても貴重だと思う。たけしが自身の映画について、こういう纏まった形で語ったのはなかなか読めないからねえ。これに僕らの知る時代時代にテレビで見せていた芸人の顔や、フライデー襲撃・バイク事故などのHOLE IN LIFEを絡ませていくと、この怪人の核がなんとなく見えてくるような気がするのだ。

強く思ったのは、やっぱりたけしにとって例のバイク事故は大きかったんだなあ、っていうこと。
誤解を恐れずに言えば、あそこでたけしは一回死んだんだと思う。ある意味、あれは事故ではなく“静かな自殺”だったのではないか。あの事件の前と後では彼の「死」に対する表現が明らかに変わった。もともと「死」に対して対峙した作品を作り続けてきた人ではあったけど、あれ以降は「死」をより達観したような目線が感じられるようになったように僕は思う。そうかと思えば、下世話な中に本音を巧みに滲ませた不思議な作風も見られるようになり、その振り幅はますます大きくなった。
だが、どちらにしてもたけしには迷いがなくなったし、生き急いでいるようなタッチもなくなったと思う。なんというか、90年以降のたけしには開き直りにも近い自信が感じられるのだ。
これは、たけしが“生き残った男”だからなんだと思う。

BARIさんも言っているが、ここ数年たけしはまた変わり始めているような気がする。狂気を感じさせながらも世間にコミットしようとしているような大らかさ。そういうタッチは、この本後半の社会や政治を語る部分からもぼんやりと感じられた。
だけど、やっぱりこれで判ったような気になってはいけないんだろうな…。「アキレスと亀」の芸術家気質と「アウトレイジ」の暴力衝動が同居している怪人、それが北野たけしなんだから…。

しかし、昨日芸能ニュースで見たんだけど、ほんとにたけしは「アウトレイジ2」を作るつもりなんだろうか?

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2010年9月 1日 (水)

パーソナル・トレーニングを受講

この前の日曜日、モノノケサミットのライブに行く前、神田にある某施設でランニングのパーソナル・トレーニングを受けてみた。
オレ、これまでずっと独学で走ってきたんで、一度ちゃんとした人にフォームや走り方を診てもらいたいとずっと思ってたんだよねー。そういうのはランニングクラブみたいなものに入らなきゃ無理なのかと思ってたんだけど、家から比較的近いところでフリーでも利用できる施設があるのを発見。しかも、夏はキャンペーン中で料金半額ときたもんだ。これは受けるしかないっしょ!(笑)

予約した12:00ちょい前に行くと、応対してくれたのは20代後半ぐらいの笑顔が爽やかな好青年。小出監督みたいなごっついおぢさんだったらどうしようと思ってたんで(笑)、これだけで安心してしまった。
ランニングに関する簡単な面接を受け、準備運動をした後、Uコーチはまず僕を路地で50メートルぐらいトコトコ走らせる。で、一言。

「うーん、腕の振りが左しか使えてないですねえ…」

え? 腕…。おお、これは全くのノーマーク。斜め45度からの指摘…(笑)。
更に肩甲骨と股関節が硬いことも指摘された。要するに、腕の振りがダメってことは肩甲骨がうまく使えていないということなのだ。肩甲骨は体幹の大きな筋肉と連動し、それが股関節に伝わって足が前に出るという目からウロコの解説。これがうまく使えてなく、僕は今、脚の筋肉だけで走ってる状態だそうな。それらが柔らかくなると体幹が上手く使えるようになり、もっと楽に走れると言うのだ。
ってなわけで、正しい腕の振り方や股関節を柔らかくするストレッチ、それにランナー向けの腹筋の鍛え方など、いろんな補強運動を教わった。いやあ~やっぱり達人は違うわ。これだけでも眠っていた筋肉が起こされる感じが確かにあった。
そして補強運動が終わると、Uコーチはおもむろに言った…。

「じゃあ、皇居で走りましょう!」

へ?これからっすか?今一番暑い時間帯なんすけど…。お日さまピーカンなんすけど…。気温36度なんすけど…(苦笑)。
でも、こういう機会はまたとない。皇居は一周5キロ。やりますとも!オレだって毎朝10キロ走ってんだ。5キロぐらいあっという間さ!

…。

あぢい…。

炎天下の5kmランは信じられないぐらいに熱かった。でも、すごく気持ちよかったんだな、これが。
皇居を走るのは初めてじゃないが、普段はランナーやサイクリストで賑わうここも、さすがにこの時間は人影がまばらだった。その中を夏の日に照らされて男2人が駆け抜ける…。うーん、なんか中学の部活動みたいだぜ(笑)。
走ってる間も、Uコーチは横や後ろに回ってフォームをチェックしてくれる。腕振りはだいぶ良くなったらしいが、後半になると腰が落ちて左脚が出るのが遅れ気味(引き摺るような感じ)になることも指摘された。うーん、正しく走るって難しい。考えてみたら、小中高の体育の時間でも正しい走り方なんて教えてくれないもんねえ。本当はすべてのスポーツで必要な基礎なんだけどなあ…。
Uコーチから指摘された腕振りを意識して走ると、自然とストライドが広がって普段よりも速いペースになった。結局皇居一周5キロを25分で走り切ることに。1キロ5分ペースだ。
走りながらけっこう話なんかもしてたせいか、

「心肺機能、強いですねえ。この時間にキロ5分で走れればなかなかですよ」

なんてUコーチに言われてちょっといい気分(笑)。
でも、2人で黙々と走ってるのもなんなんで、無理して話しかけてただけなんですけど…。1周5キロだってあらかじめわかってたからこのペースで突っ走れただけなんですけど…(苦笑)。

後日、何気にUコーチの略歴を調べてびっくり!なんと、今年ニューカレドニアで行われた国際マラソンを2時間28分10秒で走って2位になり、学生時代は箱根駅伝に3回も出場したバリバリのエリートランナーだったのだ!いやあ~スゴイ人と走っちゃったのね、オレ。こんな貴重な体験ができて本当によかったと思う。Uコーチ、ありがとうございました。

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