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2010年9月 4日 (土)

【本】Kitano par Kitano 北野武による「たけし」

Kitanoparkitano_2 古くからの友人、BARIさんがブログで取り上げているのを見て興味を持った一冊。内容に関してはBARIさんが絶妙のレビューを載せておられるので、そちらを参考しにしていただきたい。僕もこの本の中のたけしは、かなり本音に近い部分で話をしているように感じられた。

北野武(=ビートたけし)という男は一種の怪人だ。コメディアンの衣を被っていながら、その深層には青白く燃える狂気と暴力の火が透けて見える。下町芸人の匂いをまといながら任侠の生き残りみたいな空気も醸し出す、こんな不思議な人物がゴールデンタイムにこれほど頻繁に登場している事自体、実はとてもシュールなことなのだ。
だが、あれほど露出が大いのに、この怪人の本音を知る機会は意外に少ない。TVではカメレオンのように場面場面で顔を変えているし、インタビューでも巧みなジョークで本音を隠しているように思えてならないのだ。
その点、この本は北野映画を敬愛する人が多いフランスの記者が自国向けに行ったインタビューだからか、たけしはかなりストレートに話をしているように思える。

本の中で、たけしが自分の撮った映画を時系列で一つ一つ丁寧に解説していくところはとても貴重だと思う。たけしが自身の映画について、こういう纏まった形で語ったのはなかなか読めないからねえ。これに僕らの知る時代時代にテレビで見せていた芸人の顔や、フライデー襲撃・バイク事故などのHOLE IN LIFEを絡ませていくと、この怪人の核がなんとなく見えてくるような気がするのだ。

強く思ったのは、やっぱりたけしにとって例のバイク事故は大きかったんだなあ、っていうこと。
誤解を恐れずに言えば、あそこでたけしは一回死んだんだと思う。ある意味、あれは事故ではなく“静かな自殺”だったのではないか。あの事件の前と後では彼の「死」に対する表現が明らかに変わった。もともと「死」に対して対峙した作品を作り続けてきた人ではあったけど、あれ以降は「死」をより達観したような目線が感じられるようになったように僕は思う。そうかと思えば、下世話な中に本音を巧みに滲ませた不思議な作風も見られるようになり、その振り幅はますます大きくなった。
だが、どちらにしてもたけしには迷いがなくなったし、生き急いでいるようなタッチもなくなったと思う。なんというか、90年以降のたけしには開き直りにも近い自信が感じられるのだ。
これは、たけしが“生き残った男”だからなんだと思う。

BARIさんも言っているが、ここ数年たけしはまた変わり始めているような気がする。狂気を感じさせながらも世間にコミットしようとしているような大らかさ。そういうタッチは、この本後半の社会や政治を語る部分からもぼんやりと感じられた。
だけど、やっぱりこれで判ったような気になってはいけないんだろうな…。「アキレスと亀」の芸術家気質と「アウトレイジ」の暴力衝動が同居している怪人、それが北野たけしなんだから…。

しかし、昨日芸能ニュースで見たんだけど、ほんとにたけしは「アウトレイジ2」を作るつもりなんだろうか?

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