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2010年11月26日 (金)

【本】まだ夢の続き / 小坂忠 (著)

5169t0bd69l来月に近所で行われる小坂忠さんのライブ(いまだに信じられない!)を前に、2006年に発売された忠さんの自伝を読む。

忠さんは、僕が理想とする大人の男なのだ。今年、忠さんのライブを初めて観て、その素晴らしい歌声に痺れたのと同時に、誠実さが滲み出るようなお人柄に一発で魅せられてしまった。シャイで堂々としていて、少年のようにピュア。なんて素敵な人なんだろう…。オレがもし女だったら、一発で惚れちゃっただろう(笑)。こんな素敵な大人になれるのなら、歳をとるのも全然悪くないなあ~って思った。

小坂忠。その素晴しいヴォイスは他に並ぶべき者のいない、不世出のソウルシンガーだ。
1968年に「フローラル」としてレコード・デビュー。68年に行われたモンキーズ来日公演では前座を務めた。
1969年には伝説のバンド「エイプリル・フール」を結成。メンバーは小坂忠、細野晴臣、松本隆、柳田ヒロ、菊池英二。

この本には、当時のことがこんな風に書かれている。

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 1968年も終わりに近づいた頃、新しいメンバー探しが始まった。そんな年末のある日、柳田ヒロの兄である柳田優がニューイヤー・パーティに誘ってくれた。パーティーが開かれている場所に行ってみると、目白にあった野上眞宏の家だった。野上君は後に当時の写真を中心とした『はっぴいな日々』(ミュージック・マガジン)などを出版する。そこには細野晴臣(ベース)、松本隆(ドラム)、鈴木茂(ギター)、林立夫(ドラム)などのミュージシャンも来ていて、自然にセッションが始まった。茂や林はまだ高校生、細野君は立教大学の、松本は慶應大学の学生だったと思うが、その頃から彼らの演奏は確かだった。

~中略~

バンドの新しい名前は「エイプリル・フール」と決まった。ミュージカラーレコードのマネージャーだった幾代昌子さんの知り合いで、当時、まだ電通でコマーシャル写真を撮っていた荒木経惟氏がジャケット写真を撮ってくれた。

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この部分を読んだだけでも、当時の忠さんの周りには、後に各分野の大御所と呼ばれる存在になっていくような人たちがたくさんいたことがわかる。

エイプリル・フールはアルバム1枚のみで解散し、そこから「はっぴいえんど」の誕生に繋がっていくんだけど、忠さんはミュージカル「ヘアー」に出演することになって、この時点では細野さんたちとは袂を分かつ。
もちろん、音楽を止めたわけではなく、やがて忠さんはソロアルバム「ありがとう」を発表。そのライブのために組んだバンドが「フォージョーハーフ」だ。メンバーは、駒沢裕城(スティール・ギター)、松任谷正隆(キーボード)、林立夫(ドラム)、後藤次利(ベース)。時には高橋幸宏(ドラム)と小原礼(ベース)というリズム隊もあったらしい。

後に細野晴臣、鈴木茂、松任谷正隆、林立夫という「はっぴいえんど」と「フォージョーハーフ」のメンバーが半分筒集まったグループが結成されるが、これが伝説のミュージシャン集団「キャラメル・ママ」だ。このスーパーセッションが実現したのは、両バンドのマネージメント会社が同じだった(「風都市」っていう会社)という事情もあったらしい。

この本には、現場にいた人ならではのこんな話がたくさん出てくるのだ。もう、出てくる名前が、今をときめく大御所ばかりなんで、オレなんか読んでてくらくらしてしまったぜよ(笑)。

その後、お嬢さんの怪我を契機に忠さんは牧師となり、音楽業界の表舞台からは降りてしまったかに見えたが、もちろん、音楽そのものを止めてしまったわけではなかった。忠さんはゴスペルシンガーとして曲を作って、歌い続け、音楽事務所を立ち上げて教会音楽を豊かなものにしていくための活動をしていたのだ。

そして2000年、忠さんはティンパン(細野晴臣、鈴木茂、林立夫)のレコーディングに参加。満を持して旧友たちとの再会を果たす。01年には25年ぶりにアルバム『People』をリリース。プロデューサーはもちろん細野晴臣!2人の友情物語はまだ続いていたというわけだ。

この本は、そんな忠さんの歩みを駆け足で記してあるけれど、書名のとおり、まだまだ忠さんの歩みは“夢の途中”なんだろう。僕は2005年に行われた“ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル”のDVDで観られる細野さんと忠さんの少年のような笑顔が大好きだ。巻末に収められた対談を読んでも、両氏ともにあのライブはそれぞれのキャリアの中でもとりわけ印象に残っているみたいだ。実際、細野さんはあのライブ以来、少し前からは考えられないぐらいライブをやるようになったし、今の2人の活動は、明らかにあのライブのとで新しい章に入ったような気がする。

新しいことを始めるのに、遅すぎることはないのだ。僕らはいつでも自由。
小坂忠さんのたおやかな佇まいは、そんなことを僕らに教えてくれてるような気がする。

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