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2011年1月20日 (木)

ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン ライブ / 2011年1月20日(木)東京・吉祥寺 弁天湯

ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン(中川敬・リクオ・高木克)
ソウル・フラワー・ユニオン ニューアルバム『キャンプ・パンゲア』発売記念地方巡業 ~アコースティック編~ in 風呂ロック
開場18:00 開演19:00
料金;前売3,500円/当日4,000円 (税込・ドリンク別・整理番号付)
*キッズチケット 前売1,700円/当日2,000円 (税込・ドリンク別)

いやあ~面白いライブだった。風呂ロック!これまでいろんなライブに行ったけど、さすがに風呂場でライブ観たのは初めて(笑)。この「風呂ロック」というイベントのことは前から噂で聞いていて、機会があれば是非行ってみたいとは思っていた。それがソウル・フラワー・アコースティック・パルチザンのツアー千秋楽という願ってもないシチュエーションで行なわれるんだから、これは楽しみだった。大衆浴場とソウル ・フラワー、なんとなく合いそうではないかっ!(笑)。

会場となった弁天湯は、藤村女子高の裏手にあるごくごく普通の銭湯だった。思い出したんだけど、この辺って昔、ぐゎらん堂や吉祥寺ウニタがあったあたりだ。一本外れた通りにはブラック系の珍盤を置いていた芽瑠璃堂もあったし、このエリアは古くからの中央線音楽ファンにはなかなか思い出深いところ

なにしろ、会場が銭湯なので僕らは靴を脱いで入場することになる。すると、右手に男湯、左手に女湯の暖簾が目に飛び込んできた。今日のライブはどっち側から見ても良いってことらしい。オレ?そりゃあ、当然女湯のほうでしょう!こんな機会でもなければ、女湯の暖簾をくぐるなんてこと、絶対にあり得ないからね(笑)。
なんかわくわくしながら、板の間の脱衣場を通っていざお風呂場へ…。ガラス戸を開けて中に入ると、正面には銭湯の定番・富士山の壁絵がバーンと目に飛び込む。かまぼこ型の天井、蛇口の付いた洗い場。お湯の入ったお風呂こそ無いけど、これはもう何処から見ても銭湯だ(笑)。観客は洗い場に立ち、風呂の上に作られた特設ステージを見上げる格好でライブを観るようになっていた。行く前は“どういう形でライブ観るんだろう?ひょっとして全員裸で風呂に漬かりながら観たりして…”と、半ば本気で思ってたんで、ほっとしたような残念なような…(苦笑)。洗い場の蛇口をひねるとちゃんとお湯も出てくる。なので、僕らは荷物を置く時、蛇口に触らないよう気をつけなければならない。うーん、こんなことに神経を使うライブってのも珍しい(笑)。

ライブは開演時間きっかりに始まった。メンバーは洗い場の人垣を掻き分けるようにしてステージに登場してくる(笑)。
この日の会場は銭湯だから防音なんて無いに等しい。窓はガラス戸一枚だし、換気のためか通気口もたくさんある。アコースティック主体のサウンドではあっても、これでは音は外へ丸漏れだろう。たぶん、ご近所への配慮からか、この日は9時までにはライブを終わらせることになっていたんだと思う。普段はMCの多いアコパルだけど、この日は極力MCを自重していた。

セットリストは、ソウルフラワーの定番に昨年末にリリースされたばかりの“キャンプ・バンゲア”からの曲を加え、リクオの代表曲もそこに織り交ぜていくという構成。アコパルで聞くSFUの曲は、なんか素朴な香りがしてイイ。それに、やっぱ銭湯というシチュエーションは、アコパルにぴったりだったと思う。中川の大きな声が銭湯の壁に反響し、自然なエコーとなって耳に届く。楽器の音はぐわんぐわん響いて最初は聴き辛いと思ったんだけど、だんだん耳が慣れてきてこれでいいんだと思うようになってきた。
銭湯ってのは、もともといろんな人が集まる町の社交場だったわけでしょ?男も女も、老いも若きも裸で付き合う場。そこで歌われる曲ってのは真の大衆歌謡だったはず。こういうシチュエーションでSFUの楽曲を聴くと、彼らの楽曲にも古きよき歌謡曲を髣髴とさせるものがあることに気付かされた。ソウルフラワーの曲には、わざわざ電気楽器で増幅しなくても、鼻歌で口ずさめる親しみやすさが元々あったってことなのだ。

僕が印象に残ったのは、「crazy love」とか「そら」、それに「寝顔を見せて」とか。こういうさらりとした優しさの香る歌は、アコパルのような編成だと更に引き立つ。なんだか、今回のアコパルは去年よりもしっとり聴かせる曲が多かったような気がした。
リクオの方では、高木克のペダルスティールが入った「胸が痛いよ」が胸に沁みた。「機関車」はリクオの声が朗々と響いてとても気持ち良さそうだったなあ。
びっくりしたのは、ニューエスト・モデルの「もっともそうな2人の沸点」だ。これは歌詞に風呂場がモチーフの部分がある。中川は24歳の時にこれを作って、20年経って初めて風呂でやれたって喜んでいたけど、もしかしてこの日限定の曲だったんだろうか?ならば嬉しいんだけど。

後半に入るとアップテンポな曲も多くなった。風呂場のちょっと湿った空気の中で演奏された「死ぬまで生きろ!」は、リクオのキーボードがセカンドライン風のビートを刻んでカッコよかったし、「アイノウタ」は、コーラスをみんなが大合唱して最高にいいムード。

「満月の夕」もやったし、アンコールは時間を惜しんでステージを降りないまま「ラヴィエベル」に突入。時間は短かったけど、会場が一体になった忘れ難い一夜になった。僕はもちろん、お客さん皆がすごく楽しそうな顔をしいてたなあ。うん、やっぱりソウルフラワーのライブはこうでなきゃ!

それにしても銭湯に来たのって何年ぶりだろう…。僕は学生時代、寮に入っていた時期があるんだけど、その寮は2日に一回ぐらいしか風呂を沸かさなかったので、風呂のない夜はよく友達と銭湯に通ったものだ。久しぶりに訪れた風呂屋で、あたりに漂う石鹸の匂いに包まれ、板の間の脱衣場やら、貴重品入れのロッカーやら、入浴後用に売ってる牛乳(なぜか風呂上りは飲みたくなるんだよね、牛乳…)やらを見ていると、気ままな一人暮らしをしていた時代のことが思い出され、なんだか気持ちがふわっと和んでしまった。
この日は仕事帰りのライブだったんで、僕はスーツにコートっていう格好だったんだけど、それでタイルにどっかり腰をおろすと、もうライブっていうより花見にでも来たような気分になっちゃったよ(苦笑)。なんか、熱燗でも呑みたい気分だったなあ(笑)。
聞くところによると、風呂ロック、近々終わってしまうとのこと。もったいない!こんないいイベントなのに!
ライブだけでなく、銭湯という場の心地良さも再認識した。今度、子供を連れて近所の銭湯にでも行こう。でも、久々に入浴料金をチェックしてぶったまげた。大人一人450円!ちょっとそれって高過ぎないか?これで風呂上りにラーメンなんか食ったら1000円超えるぞ!

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コメント

ライヴはたいてい真ん中から右寄りで観る習性?があるので、何も考えず右側(男湯側)に入ってしまい、あとで軽い後悔をしました(笑

最初は演る側も観る側も戸惑いもあったように感じましたが、いつものSFUの大盛り上がりのライヴとは違って、ほんわかと和んだ雰囲気で、楽しいという以上にとても心地よかったです。
演奏時間の問題のためか、厳選した曲目を一曲一曲コンパクトにまとめて(声や手拍子を求める煽りも少なかったですね)、いつもより凝縮されて濃密な印象を受けました。

「安里屋ユンタ」「満月の夕」で三線を弾く中川の姿が、リクオが言っていたように、後ろの絵にマッチしていてよかったなあ。きっとここで観るモノノケはアコパル以上に楽しいでしょうね。
そう言えば今回は、克ちゃんがギター弾いてましたね。ブズーキもちょっと聞きたかったですが。

◆フィル・カスルさん
>きっとここで観るモノノケはアコパル以上に楽しいでしょうね。

そうですね!お風呂でのモノノケは是非観たい!
欲を言えば、克ちゃんのブズーキとリクオのアコーディオンが聴きたかったですね。風呂場はかなり湿度が高いから、チューニングとかいろいろ難しい部分もあるのかなあ…。

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