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2011年3月14日 (月)

奇妙な日々

日常の景色が騙し絵のように崩れ落ちてしまった。
口の中が粘着くようなザラついた感覚。オウムの時も、阪神淡路大震災の時も、9.11の時も感じたあの感覚。
だが、今回の衝撃はひと際大きい。
自分自身が身の危険を感じる大地震を体感し、生まれ育った福島がめちゃめちゃになってしまったからだ。

立っていられない様な激しい揺れにゆさぶられ、炊き出しを手伝った後、深夜に帰宅開始。
12日の早朝にやっと家にたどり着いた。幸い家族は全員無事。
故郷に残る年老いた両親とは、昨日の朝、やっと連絡がついた。
茨城に住む弟は、仕事で東京にいたのだが、帰るに帰れず一晩僕の家で過ごした後、家族の待つ被災地へと果敢に帰っていった。

ぼんやりとテレビを見る。
錯綜している記者会見。
二転三転する停電情報。
“僕の今生きているこの世界は一体何処なんだ?”

週が明けて今日。
大混乱の御茶ノ水駅から電車に乗り込み、一日、汗をかきながら淡々と仕事をした。
余震と電気が消える恐怖におびえながらも、平静を装ってパソコンのキーボードを叩き、かかってくる問い合わせの電話に、決められたとおりに冷静に応対した。

なんとか一日をやり過ごし、満員の中央線に揺られて、灯りの消えた真っ暗な東京の町並みを眺めながらまた考えてしまう。
“僕の今生きているこの世界は一体何処なんだ?”
3.11以降、何かが歪み、平凡な日常は奇妙に捻じ曲がってしまった。

それでも僕は絶対にあきらめない。地震が起きる前の穏やかな空気を取り戻すことを。
今そばにいる子供と妻の温もり。それが僕をこの奇妙な世界に辛うじて繋ぎ止めてくれている。

明日もあさっても、もしかしたら一週間先も一ヶ月先も、余震におびえながらも、僕は必死で平静を装って日常を生きるだろう。
それでも良いではないか。
平凡な日常を、ありきたりの日常を淡々と過ごすことこそが、穏やかな空気を取り戻す唯一の方法だと僕は信じているから。

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コメント

いろんなカタチで“生きる”ことについて垣間見ます。
そこで決心したり、悩んだり、悔んだり、怒ったりする。
それにしても、信じられないカタチで現実に起こることが、
最近多い…いや、多すぎる。

だからこそ、己をしっかりさせないとですね。
淡々と過ごすなかにも、どこかしっかりとした核を
持っていたいものです。

もしかしたら、人間(日本人として…)として、
今、とても貴重な時代に生きているのではないだろうかと、
ふと考えることがあります。

それに気づくか気づかないかで、これから大きく方向が別れて
いくのではないでしょうか…。

くれぐれも、ご家族を大切になさって下さい。

ご実家の方々がご無事で何よりです。

私は私鉄グループの運行管理人なので、仕事がアブノーマルで参りました。
昨日解放されましたが、明日の夜の勤務からは毎日その時でアドリブ感覚でいきたいと思います。

電車バスタクシー止まらなかったのは素晴らしいと思います。

ご無事で何よりです。ボクも家族、友人とも無事でした。
仙台在住の友人も何とか避難できてました。
かなりショックを受けているようですが。

ボクは金曜日は職場のある田町から歩いて帰宅しました。
同じ様に歩いて帰宅する人で溢れる路。
46年生きて初めての体験、現実とは思えませんでした。
そして帰宅して見た東北・福島の惨状。コトバが出ません。

実は土日は元春のデビュー30周年記念ライブがあって
楽しみにしてましたが当然中止。
でも元春が発表したメッセージに背筋が伸びました。
http://www.moto.co.jp/
東京で何も傷みが無い自分に落ち込んでる暇はない。
節電でも寄付でも仕事でもできることをやろうと思います。

◆ 僧さん
>私は私鉄グループの運行管理人なので、仕事がアブノーマルで参りました。

大変な仕事ですね。この非常時の煩雑さ、容易に想像できます。電車の運休や混雑ぶりなど、苦にならないといったら嘘になりますが、そもそもそれだけ複雑なシステムで暮らすのが当たりまえだと思っている方に無理があったのかもしれないと思うようになって来ました。

◆樹木さん
>もしかしたら、人間(日本人として…)として、
今、とても貴重な時代に生きているのではないだろうかと、
ふと考えることがあります。

そうですね。それは僕も強く強く思います。大袈裟な言い方に聞こえるかもしれませんが、今は人類の築き上げてきた文明社会の重要な節目なのではないでしょうか。この震災も、これを乗り越えることこそが戦後右肩上がりの成長を続けた日本の総決算だと思います。
絶対に、絶対に乗り越えなければならない。そして、その日には“豊か”だと思い込んでいた僕らの暮らしぶりをもう一度考えてみなければならないと思います。

◆ ながわさん
ながわさんもご無事でなによりでした。

>節電でも寄付でも仕事でもできることをやろうと思います。

そうですね。僕もそうします。穏やかな暮らしを襲った非日常に対抗する唯一の方法は、一人ひとりが与えられた環境で、できる限り普通のことをしていくように努力することだと思います。

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