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2011年5月15日 (日)

CHABOの“強さ”

このGWはCHABOがらみの大きなイベントが2つもあった。しかも、その両日ともにCHABOはエレクトリックをバリバリ弾いてくれたんだから、嬉しさは輪をかけて大きかった。バンドでの出演だからある程度期待はしていたが、正直言って、この時期にこれほどまでにロッキン・モードのCHABOが見られるとは思わなかったのだ。あれから一週間以上経つけれど、まだ余韻に浸ってる状態なんだよな、オレ(笑)。

実は、この少し前、CHABOのファンクラブから一枚のCDが送られてきていた。4月中に発行予定だった会報は、当初OK!C'MON CHABOと麗蘭結成20周年のお祝い企画で製作が進められていたらしいのだが、東日本大震災という未曾有の出来事が起きてしまい、“この時期にお祝い企画を届けるような気持ちにはなれない”というCHABOの意向で急遽予定が変更され、CDによる「特別号」という形になったのである。
ファンクラブ限定企画だから、ここでその内容を詳しく書くことはできないのだが、そこには、3.11後のCHABOが何を感じ、どんな音楽に心を寄せているかが、CHABO自身の声で淡々と語られ、彼自身の選んだ音楽が収められていた。選曲されたものはアッパーなものは一つもなく、アコースティックでシンプルなボーカルが流れていくようなものばかり。3.11を潜り抜けてきた今のCHABOの気持ちが、どんな言葉を重ねるよりもはっきりと据えられていると僕は感じた。

約一時間のCDを聴き終え、僕は改めてCHABOの誠実さを感じた。そして、この時期にステージに立つCHABOの胸中に想いを馳せた。
実は、白状すると少し不安な気持ちにもなったのだ、僕は。2つのイベントは、どちらも特別なもの。単独のライブならともかく、そこでは共演者・観客からある程度求められるCHABO像があるだろう。今のCHABOがそんなパフォーマンスをする心境になれるのだろうか…。ロックなモードでギンギンにぶっ飛ばすのは、なかなか難しいかもしれない…。ファンの分際でそんなことを考えるのは不謹慎かもしれないが、CDを聴いた後の僕は、正直そんな気持ちでいた。
だから、2日5日のイベントで元気一杯にエレキギターを弾きまくるCHABOを見て、僕はとても驚き、ものすごく嬉しくなり、そして大いに盛り上がったのである。

実際、CHABOがどんな気持ちでステージに立っていたのかはわからない。もしかしたら、心をよぎる陰りもあったのかもしれない。でも、会場を埋め尽くした大勢のファンに、CHABOから感傷的なタッチを感じた人は一人もいなかっただろうことは断言できる。CHABOは完璧なロック・ギタリストだった!
そういえば、忌野清志郎もかつて言っていたっけ…。“化粧をしていざステージに上がると、普段とは違うスイッチが入る”と。化粧こそしないけど、CHABOにもそんなところがあったのかもしれない。CHABOは、どこかで普段の自分のフィーリングとはスイッチを切り変え、2つのイベントを通して完璧に「ロックギタリストとしての仲井戸“CHABO”麗市」を全うしたのだ。

今、改めて思う。なんて素晴しいミュージシャンシップなんだろうと。そして、なんて素敵な男なんだろうと…。僕らは2つのイベントを通して、CHABOのプレイを堪能したのと同時に、プロとしての、男としての生き様を見たのだ。
そして、目には見えないスイッチ。この、自分のモードを切り替えられるスイッチこそが、優れたミュージシャンとか表現者とか言われる人たちが持っている類稀なる才能の一つなのではないだろうか?

圧倒的な悲しみに見舞われたとき、果たして音楽が有効なのかという問いかけがしばしば発せられる。今回の震災時にも、今この時期に音楽をやることにためらいを感じたミュージシャンがいたと聞くし、僕自身、震災直後は自分の中から音楽の影が消えてしまいそうな時期もあった。2つのライブを通して見せてくれたCHABOの姿は、期せずしてそんな問いかけに対するある種の答えにもなっていたのではないだろうか。
音楽の持つ力。音楽の持つ力を信じる意思…。言い方を変えれば、CHABOは音楽と同時に、リアルな現実さえ突き抜けてしまうような、ある種の“強さ”を僕らに見せてくれた。
僕が仲井戸“CHABO”麗市という人に惹かれて止まない理由も、もしかしたらそんなCHABOの人間的な“強さ”にあるのかもしれない。そんなことを強く感じたGWだった。

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