JAPAN JAM 2011 / 2011年5月5日(木・祝)幕張メッセ
JAPAN JAMはロッキング・オンが主催する春フェス。ここにCHABOの出演がリリースされた。しかもバンド名義は“仲井戸麗市BAND”。ファンなら“おっこれは何かある!”と思ってしまうわなあ(笑)。その後、CHABOは泉谷しげると共にエレファントカシマシのステージにもゲスト出演することになった。これは3年前の“野郎共の競宴!!!”の再現だ。いやいや、あの時は3組一緒で演奏する場面はなかったから、正真正銘の初セッション。これで決まった。もう行くしかないだろう!
午前中から始まっていたこのイベント、仲井戸麗市BANDが出てきたのは、17:00ジャスト。ライブはバンドスタイルのオープニングでよくやるインスト、“Fox, trot”から始まって、レイ・チャールズの“What’d I Say”に続く。メンバーは、河村“カースケ”智康(Dr)、早川岳晴(Bass)、Dr.kyOn(Key)だ。カースケ&早川はCHABO BANDのリズム隊として勝手知ったる関係。旧友kyOnとは3日前の武道館で共演したばかり。もう息はぴったりだった。最初から余裕しゃくしゃくで楽しみながら演奏してる感じ。
3曲目には、なんとストーンズの“夜をぶっ飛ばせ”が飛び出した。自作の日本語詞で歌うCHABOお得意のパターンで、kyOnのキーボードが大きくフューチャーされ、レコードバージョンに近いアレンジになっていた。欲を言えば80年代のストーンズのライブみたいに、CHABOのギターであのサビを弾いて欲しかったなあ…。
ここまでCHABOはギターを持ち替えず、テレキャスター一本で通していたのだが、今度は黒のストラトにチェンジ。そこから爪弾かれたのはジミ・ヘンドリックスの“Little Wing”。これは2年前に山中湖で行われたフェスで演奏されたと聞いていたので、いつかライブで聴いてみたいと思い続けていた曲だった。アレンジはオリジナルよりむしろデレク&ザ・ドミノスのカバーに近かったが、正直言って僕はそこで聴かれるクラプトンのギターがあまり好きではない。だが、CHABOのはとても良かった。カバーのカバーの方がよりジミヘン・オリジナルの世界に近いような気がしたな。何よりも胸を打たれたのは、その日本語詞。「君は今空の上 雲の中 歩いているのかな…」。盟友の不在が切々と歌いこまれ、ギターがむせび泣いていた…。
いよいよCharの登場。まずはCharがボーカルをとって“Crossroads”。そうか、“Little Wing”からの流れでクラプトン繋がりにしたのか…。
2人のコンビネーションは抜群だ。Charの艶やかな音色とキレの鋭さは言わずものだが、CHABOも負けてはいない。果敢にCharに斬り込み、積極的にフレーズを絡めあう。濃厚であの世代のベテランにしか出せないような極上の味わいだった。
さらにCHABOは、様々な洋楽を現代風にアレンジしてギターでプレイしたという、最近のCharのアルバムの話をしてビートルズの“A Hard Day's Night”をプレイ。わかったよ、CHABO。今日は徹底してカバーで攻める気だな?若い世代の多いこのイベントでは、確かにこういう選曲はいぶし銀の魅力を放つ。この時点で場内は完全にロックの王道に酔いしれる空気になってきた。
更に続けて“ルート66”。ストーンズっぽいストレートなアレンジで、これはCHABOもライブで時々やってるだけにカッコいいフレーズがびしばし決まる。
CHABOとCharの2人はとにかく楽しそうだった。この2人はよくよく考えるとけっこうスタイルは違うんだよね。Charのギターはロックの枠を超えててちょっとフュージョンっぽい感じがあるんだけど、CHABOのほうは徹底してクラプトンとかジョージ・ハリスンとかの王道ブルース・ロック路線を突き詰めてる。だけど、一緒にやるとなぜかすごく合うんだよなあ、この2人は。
この日、何度もCHABOがCharに対して言ってたのは「彼は日本のロックの宝だ」ってこと。そして、話は2人がかつて共演したライトニング・ブルースギター・フェスに及び、その第一回の時に出演した、今は亡き大村憲司がCharを評して言った言葉が紹介された。大村さんは「Charがいなければ、日本のロックは成り立たなかった…」(だったかな?)って言ってたらしい。
そして「Charにブルースを弾いてもらうよ」というMCで、ロバジョンの“Love In Vain”へ突入。これがまた凄かったんだよなあ…。いつだったか、CHABOがこれをソロでアコギの弾き語りで演ったことがあり、実は僕はこの曲に関してはそのプレイが一番好きだった。だが、この日の演奏はそれを超えていた。Charの艶やかなソロにCHABOのスライドが絡み合い、正に“日本のブルースギタリストの共演”といった空間が作り出されていた。
セッション最後になって、はじめてチャボのオリジナルが炸裂。曲は“Free Time”。ワウの入ったCharのファンキーなギターに、CHABOの高速ギターソロ。いやあ~もう、お腹いっぱい。いい物を見せてもらった。
演奏時間は1時間10分ぐらい。各バンドの持ち時間は1時間だったと思うんだけど、それを少し超えていた。2人とも気合が入ってついついソロが長くなったりしたんじゃないかな?(笑)
エレファントカシマシが出てきたのは、夜8時ジャスト。この日は3日間続いた『JAPAN JAM 2011』の最終日だったので、イベント全体の大トリでもある。それもあってか、エレカシは最初から気合入りまくりだった。
2曲目に“悲しみの果て”を持ってきたのは、やっぱり3.11を超えての宮本からのメッセージだったんだろう。これに繋げて“戦う男”が演奏されたのも良かった。燃えたぞ!なんか、このあたりから僕も久々にロックモードにスイッチが入った状態になってきた。
そして名曲“風に吹かれて”。オレ、なんだかんだ言ってもこういうベタなエレカシが大好き。予断だけど、僕はランニングする時あんまり音楽を聴かないんだけど、20キロとか長い距離を走っててめげそうになるといつもエレカシの曲が頭に浮かぶ。なんか、奮い立つんだよなあ、エレカシのナンバーは。絶対負けられねえ!絶対あきらめねえ!エレカシの曲は、なんかサムライっぽいっていうのか、クロマニヨンズとはまた違ったロックっぽさがある。シビレるなあ、もう!
そしてミヤジはいよいよCHABOを呼び込む。
さあ、何を演る?なんと1曲目はRCサクセションの“ブン・ブン・ブン”だった!チャボはテレキャスターを手に、カッコいいリフをビシビシ。出だしこそCHABOが歌ったものの、その後はミヤジが歌を継ぐ。これがまた凄いテンションだった。この人はまず声がデカイ!(笑)でも、声がでかいのは優れたロックボーカリストにとっては絶対条件じゃないかと思う。そして、どんなにでかい声でも歌詞がよく聞き取れることも必要。清志郎がそうだったよね。ミヤジもその条件を完璧に備えているのだ。とにかく、気合の入りまくったミヤジの歌いっぷりはとんでもなくロックだった。恐れ入った!
そしてなんと“スローバラード”!あれから2年。その間、いろんな人がこの曲を歌ったけど、ミヤジのが一番いいと思う。2日に聞いた奥田民生のも良かったけど、申し訳ないがあれが翳んでしまったぐらい(苦笑)。なんつったらいいんだろう、ミヤジのボーカルは清志郎のそれとはもちろん違うんだけど、同じように熱くて優しいのだ。そして、清志郎と同じぐらいエモーショナルでぐっとくる。やっぱり、歌にこめる気の入れ方なんだろう。これ、横で弾いてるCHABOもかなりキてたと思う。
RCカバー3曲目は“君が僕を知ってる”。僕は、これがこの日歌われたことにけっこう驚いた。たぶん、CHABOが清志郎以外の人間とこの曲を演るのは、これが初めてだと思う。それだけ宮本を認めているんだろう。
終盤にはステージに泉谷しげるが乱入。これで役者が全員そろった。始まったのは泉谷の“春夏秋冬”。アレンジはLOSERバージョン!これはちょっと見ものだった。CHABOはスライドギターを弾きまくり、ミヤジはタンバリンを壊れるほど振りまくってシャウトする。泉谷も「宮本、難しいアレンジにするんじゃねえ!」とか言いながらも、がっちり歌い上げる。
続けては“翼なき野郎ども”。コレがまたえらいカッコいい演奏で鳥肌が立った。途中、泉谷がギターソロを弾くはずだったのを、ミヤジがCHABOと言ってしまい、泉谷のソロパートが半分になってしまういうハプニング(?)も面白かった(笑)。
そしてこの日も出ました。“チャンスは今夜”。CHABO、ミヤジ、泉谷の3人でボーカルを回し、ギターもCHABO、泉谷、石くんがこれでもかとばかりにキメのフレーズを弾きまくる。俺はもう、この辺から何がなんだかわからなくなってしまった。興奮してきて頭の中が真っ白。
ラストはエレカシの持ち歌“ガストロンジャー”!これは“野郎共の競宴!!!”の時エレカシの締めだったな。でも、あの時と違うのは何しろギタリストが4人もいるので音がとてつもなく分厚くなっていたこと。その爆音に触発されるようにステージを歩き回ってアジるミヤジには、ものすごい妖気が漂っていた。その横で泉谷も激しくがなり立てる。決まりごとじゃなく拳を突き上げたくなるライブに久々に出くわした。僕も我を忘れてサビを歌い、拳を振り上げた。いやもう、自分の中のロックモード全開!ミヤジに引っ張り出された感じだ。
ここで泉谷を除くメンバーはいったん袖に引っ込み、残った泉谷は“ラヴ・ミー・テンダー”をさらっと口ずさむ。
その間に再びメンバーがステージに現れ、ミヤジが「日本で一番有名なロックナンバーを演ります!」と言う。来るな!と思ったら、CHABOがミヤジに何か耳打ち。そしてミヤジが「OK!CHABO!!」と叫ぶと、待ってましたとばかりに“雨あがりの夜空に”が始まった。CHABO、ミヤジ、泉谷が楽しそうにボーカルを回す。石くんが嬉しそうな照れくさいような、何ともいえない表情でCHABOの横でギターを弾く。もうステージ前は大乱舞状態。フロアもお祭りみたいな盛り上がりぶりだった。
終わったのは10時近く。僕はイベントの最初から見ていたのだが、間違いなく最後が一番盛り上がった。
今年は5月2日に続けてGW中に2回もCHABOを見ることができたわけだけど、どっちのCHABOもエレクトリックをバリバリ弾いてくれ、完全ロックモードに入ってたのが嬉しい。やっぱりロックなCHABOは最高だ。カッコいい!2つのイベントとも自分より若い出演者がほとんどだったこともあってか、こういうのを見ると、CHABOは本当に日本のロックの王道ギタリストだってことが認識できるのだ。
それにしてもこのイベント、1日通してすごく面白かった。その名が示すとおり、出演者が必ず誰かとコラボするお約束になっているのがミソなのだが、こういうことができるのは、演る方も見るほうも日本のロック層が厚くなっているからに他ならない。せっかくなんで、他のミュージシャンのこともさらっと…。
オープニングは奥田民生。総合プロデューサーという立場だった渋谷陽一がステージに現れて民生を紹介していた。久々に見ましたが、渋谷さん、やっぱおっさんになったなあ。…ってこっちももう45のおっさんか…(苦笑)。
奥田民生は最初からHiGEとセッション。全然ノーマークだったんですが、僕の好きな會田茂一もHiGEのメンバーだったんですね。そのアイゴンも含め、ギター4本のステージは圧巻だった。この会場は鳴りが良くて、特にギターの音がとてもよく響く。4台のギターのパワフルなロックサウンドはむちゃくちゃ気持ち良かった。“イージュー★ライダー”とか“ヒゲとボイン”とか、俺でも知ってる曲を惜しげもなくやってくれてすごく楽しめたなあ。
TRICERATOPSは、実はデビューしたての頃からこ気になってるバンド。ブルースや60年代ロックをベースにしたバンドはいっぱいあるけど、このバンドはそこにグルービーなテイストがあるのがミソ。それを3ピースでやってるのがカッコいいと思う。
オープニングの"Groove Walk"でそれを確信した。その後も"Neo Neo Mods"とか"Raspberry"とか、腰にくるカッコいいナンバーがばんばん飛び出す。フェス向けっていうか、最高に楽しかった。
ゲストはなんと藤井フミヤ!もちろん僕は見るの初めてだ。いやあ~もうスターのオーラびんびん。マイクをくるくる回したり、ぱっとモニターに飛び乗ったり、アクションだけで観客を魅了するのはさすがだ。"TRUE LOVE"なんかも歌ってくれ、なんか得した気分(笑)。後半では藤井フミヤ繋がりで奥田民生も出てきてフミヤ+トライセラ+奥田という3者のジャムが実現。フミヤもボーカルはもちろん、ブルースハープを吹いたりしていた。なかなか見られないイイものを見た気がする。
真心ブラザーズのステージは楽しかった。この人たちは、わかりやすい楽曲をわかりやすい演奏できっちりやるのが魅力。
ゲストはなんと松たか子!去年の「soul of どんと」に一緒に出ていたのがきっかけで、今回のセッションが実現することになったという。この日、YO-KINGはあえて松たか子にロックンロールを歌わせたかったらしい。キャロルの“ルイジアンナ”のカバーは楽しかった。“拝啓、ジョン・レノン”はコーラスで参加。そして、忌野清志郎が日本語詞を付けた“500マイル”にはぐっときたな。Leyonaもいいけど、松さんバージョンもなかなかいい。
そして、このステージにも奥田民生が飛び入り。ボブ・ディランのカバー“My Back Pages”をやってくれた。これ、なんと今月にシングルとしても出るらしい。民生が原詞を歌い、真心が日本語詞を歌う展開だったんだけど、んー、僕は真心の全部日本語のやつが聞きたかった、ほんとは。
ほんと、楽しい一日だった。なにしろ場所が幕張メッセだから、アクセスもいいし飲食エリアは広くて快適。こんなまったりしたフェスなんて、少し前までは考えられなかったんじゃないかな。Tシャツとかグッズのデザインもいいし、すごく快適なイベントだった。これは来年も来るしかないな…。
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コメント
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行きたかったなぁ。
HAGAさんのレポ読んでたら、その場にいられなかったことが本当に悔しい。
その頃あたしは、あくせく働いてたからしょうがないんです。
あー、でもCHABO BAND観たかったなぁ。
投稿: りんりん | 2011年5月 8日 (日) 01:53
◆りんりんさん
Japan Jamはほんと快適なフェスだと思います。室内でやってることもあってか、フェスっていうよりロックの展示会みたい(笑)。2日の武道館と続けて見てて、今のCHABOは与えられたチャンスには積極的に飛び込むような生き方にシフトしたように思いました。なんか、ロックモードになってきてるような気がするんですよね。また近いうちにCHABO BAND復活もあるんじゃないでしょうか…。
投稿: Y.HAGA | 2011年5月 8日 (日) 11:03
すいません。ちょっと広告させてください。(何時までもこの日本を愛していくためです)
シニアのボランティアが福島に乗り込む計画が立てられてます。
福島原発暴発防止行動プロジェクト
http://bouhatsusoshi.jp/
60歳以上が実行部隊、それ以外は後方支援他のボランティアになるかと思います。
究極です。
私も後方支援の登録済ませましたが、一緒に働きませんか?
投稿: 僧 | 2011年5月10日 (火) 07:49
お久しぶりです。
JAPAN JAM、いらしてたんですね!
私も行きました。
すっごく・・楽しかったです。
チャボ&Charはもちろんカッコよかったですが、一番見たかったのはエレカシ&チャボ(&泉谷)。
期待以上・・いやいや、すごかった。痺れました。
もうずっと嬉しくて、ミヤジたちと一緒に緊張して、興奮して、喜んでました。ずっと見ていたかった。
こんなに、何も余計なことを考える余裕もなくひきこまれ、楽しんで、終わってもずっと嬉しい興奮と余韻が残るライブは・・本当にひさしぶりでした。まだ余韻さめやらずです。
投稿: nobu | 2011年5月11日 (水) 00:17
◆nobuさん
このGWはCHABOさん出演の大きなライブが2つもあり、どちらもエレキをバリバリ弾くCHABOが見られて楽しかったですね。
Japan Jamに関しては、CHABOももちろん素晴らしかったんですけど、僕はミヤジの凄さを改めて強く感じました。2日の武道館も含め、日本を代表する様々なミュージシャンがRCナンバーを歌うのを聴きましたけど、僕にとって清志郎と対峙できるぐらい強力だったのはミヤジとヒロトだけでした(あ、もちろんCHABOは別格ですよ(笑))。なんて言うか、愛情たっぷりの好カバーはたくさんありましたけど、この2人に関しては単にリスペクトの域を脱していて歌そのものを完全に自分の世界として表現していたように思うんです。
清志郎の後継者、なんて言い方は白々しくて嫌なんですけど、RCサクセションから切り拓かれた日本のロックバンドの本流を一番ストレートに受け継いでいるのがクロマニヨンズとエレカシなんじゃないかって僕は感じました。これは近いうちに是非両方のライブに是非足を運ばなきゃ!って思っています。
投稿: Y.HAGA | 2011年5月12日 (木) 09:51