キース・リチャーズ自伝「ライフ」 / キース・リチャーズ(著)・棚橋志行(訳)
御大キースの自叙伝。総数656ページの豪華本。昨日ようやく読み終わりました。
いや~、しかしこれはほんと面白い!これまでにもキースの自伝はいくつか出てるけど、何しろこれはキース本人が書いてるわけだから信憑性が違う。まあ、実際はキースがしゃべったことをジェイムズ・フォックスが書き取って出来たらしいんだけど。口述筆記みたいなもんだったのかな?
それにしてもキース、口の悪い人からは、どうせ70年代のことなんてラリパッパで何にも憶えてないんだろうなんて言われていたけど、とんでもない!これから読む人のためにあえて内容は書かないが、僕らがよく知ってるあんな話・こんな話から、あまり知られていない驚きのエピソードまで、いろんなことを実によく憶えている。比喩で使う言葉も意外に(?)文学的な表現が多くて感心してしまった。
読み終わって僕が強く感じたのは、キース・リチャーズという人物の圧倒的な“人間力”の強さ。
キースっていうと、日本ではデカダンな男の代表みたいに捉えるむきが多いけど、実際のキースは人並みはずれてエネルギッシュで生命力の強い人なのではないだろうか?
もちろん、本には従来のキースのイメージと合致するようなジャンキー時代のことも書かれている。実際、薬物についての記述はかなり多く、それを読む限りでは、一時期のキースが重度の薬物中毒状態だったことは疑うべくもない。しかし、キースは常にドラッグに溺れる自分自身を客観視していたようにも思える。死の淵すれすれまで行っては戻ってくるようなことも、実は冷静な頭で繰り返していたのではないだろうか。
そもそも、この人の場合は飛び道具としてクスリを使ったわけではないのだ。その逆で、ツアーが続いて日常でもぶっ飛び状態から降りられなかったから、どうにか自分を鎮めるためにドラッグに走ったようなところがある。
やっぱりスターダムのプレッシャーってのは、想像を絶するものがあるんだろう。マイケル・ジャクソン、エルビス・プレスリー、ブライアン・ウィルソン…。アメリカでスターダムにのし上がった人物は、頂点を極めた後、自己を破綻してしまう人がかなりいる。でも、キースはスターダムとプライベートにうまく折り合いをつけ、とても幸せな人生をおくっているように見えるのだ。
そのリトルヘルプとしてドラッグを使った…。なーんて言ったら、ちょっとキースの肩を持ちすぎでしょうか(笑)。
ドラッグはともかく、ここまでキースが生き延びて来られたのは、彼が“バンドの一員”であったからこそなのかもしれない。
どんなプレッシャーや障害があっても、まずはバンドの存続を第一に。それがローリング・ストーンズというバンドの基本理念。どんなに堕ちても、必ず帰れる場所としてバンドがあった…。悲しみの海に沈むことがあっても、絶対的母性としてのバンドがあった…。それは、時代や人生の荒波をも跳ね除けてしまうほど強力だったのだろう。
ストーンズという絶対的な核があったおかげで、強力なプレッシャーは分散され、キースもミックも時代の谷に落ちずに済んだ。そんなものなのかもしれないな…。
スゲエよなあ。ほんと、スゲエと思う。ロックンロールはただの玩具じゃないのだ。たかがロックンロール。だけど、やり続けることでこんなにも優雅に人生を泳いでいける。憧れちゃうよ、ほんと。
この人は、自分がファンからどう見られているのか、どうあって欲しいと思われているのかを、早くからわかっていたんだと思う。で、うまくバランスをとりながら、50年間、常にキース・リチャーズであり続けてきた。オビの文句”誰の中にもいる荒れ狂うキース・リチャーズ”と”優しさを持つ男”が一つの人格の中に同居しているのだ。奇跡だよ。こんな完璧なロックスター、そうそういない。女はもちろん、男が惚れるのも当たり前だ。
なんだか、キースの言葉を読んでたら、こっちまで元気になってきてしまった。
83年、映画『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』で、咥えタバコで“ダイスをころがせ”をプレイするこの男を見て以来、僕はずっとこの男に魅せられ続けている。これからもずっと…。キース・リチャーズ、大好きだ!
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