« 黒い怒り | トップページ | 麗と蘭 <祝!結成20周年! アコースティカルライブ「THANK YOU Everybody」> / 2011年6月1日(水)南青山MANDARA »

2011年5月28日 (土)

THE GROOVERS ワンマン@下北沢 "SHIMOKITA BLUES AGAIN" / 5月28日(土)下北沢 CLUB251

去年行われたリクオの20周年記念イベント、ホーボー・コネクション。その大勢のゲストの中でも、僕が特に心に残ったのが藤井一彦だった。3ピースのR&Rバンド、ザ・グルーヴァーズのギター&ボーカリストであり、SIONや佐野元春などさまざまなミュージシャンからその腕前を頼りにされる男。
ホーボー・コネクションの2日目、藤井一彦はリクオと一緒にスワンプロックの大御所、マーク・ベノのカバーをやった。これはカントリーテイストを感じさせる渋いミディアム・ナンバーなのだが、彼のストラトから放たれる乾いた音色とほろ苦いボーカルは、僕の心の深いところにすーっと落ちていったのだ。2曲目はリクオバンドで豪快なR&Rギターを存分に披露。たった2曲だったけれど、この対極的なパフォーマンスは強烈な印象を残した。
実は、藤井一彦を見たのはこれが初めてではない。SIONのライブでバックバンド・MOGAMIのギタリストとしての姿を何度も見ているし、一度だけだがグルーヴァーズのライブも見たことがある。でも、これまでのどのタイミングより、この時の藤井一彦は鮮烈だったのだ。これはグルーヴァーズのライブ、見とかないと…。強くそう思った。

その機会は意外に早く訪れた。5月28日土曜日、下北沢でグルーヴァーズのワンマン・ライブがあるという情報をキャッチ。場所はバンドスタイルのライブが多くブッキングされるCLUB251だ。
当日は雨だったが、僕の気持ちは盛り上がっていた。今日はR&Rを浴びる日。そう決めていたからだ。3.11以来、自分の中では絶望に近い気持ちと、怒りと、それでも必死に上を向こうとする気持ちとがごちゃごちゃになっている。そんなギリギリの心境もあってか、このところ僕の中ではR&Rに回帰する傾向が再び強くなってきているのだ。
地下へ続く階段を降り、人いきれのするフロアに立つ。それは小洒落た雰囲気の女子がいっぱい集まっていた隣の440とは対照的な空間だ。いまや、多くのライブハウスが禁煙を謳う中、ここはまだスモーキングOK。周りでは煙草を咥えた人たちがたくさんいる。ライブハウスはこうでなきゃ。僕自身は何年か前に煙草を止めてしまったけど、煙草の匂いが沁み込んだライブハウスの匂いが好きだ。僕は自分の気持ちがふ~っとほぐれるのを感じていた。

そんな僕の気持ちも追い風になったんだと思う。迷える45の男にグルーヴァーズはぴたりとフィットした。最高だった!僕は彼らの曲は初期のものと最新アルバムからのものしか知らない。それでも、曲を知ってるかどうかなんて全く関係なかった。彼らの演ってるのは一点の迷いもないブライトなサウンドだと思う。かつてのストリート・スライダーズがそうだったように、優れたR&Rバンドの音を聴いていると、僕は頭の中が真っ白になる瞬間がやってくるのだが、この日の2時間の濃縮された時間の中、僕は何度そんなR&Rフラッシュバックに襲われたか…。こんな気持ちになるのはいつ以来だろう。すごく気持ちよかった!

藤井一彦のギターは太くてシャープで、ピーンと音が張っている。そして、何度も言うようだけど一点の迷いも無いのだ。なるべくして鳴っている音がただそこにある。そんな感じ。リズム隊の2人もすごい安定感だった。
僕が前に見たグルーヴァーズのライブは10年ぐらい前だったんだけど、その時と比べたら別のバンドと思うぐらいの迫力が違った。以前のグルーヴァーズは、今より狭いフィールドで音が鳴っていたような感じだったと思うが、今は何倍もスケールが大きくなった。ブリティッシュとかスワンプトかの色分けも不要。強いて言えばアメリカンロック的な匂いを以前よりも強く感じるようになったようには思うが、そんな枠組はかえってこのバンドの魅力を伝え難くしてしまうのではないだろうか。
だって、カッコいいリフがあって、心躍るメンバー同士のリレーションがあって、1曲の中で目まぐるしく変わるサウンドの起伏があれば他に何が要る?そこには紛れもない純度100%のロックンロールがあった。

この日、僕はグルーヴァーズって歌詞も抜群にいいと気が付いた。やさグレてるわけでも、無理に若ぶってるわけでも、退廃を気取っているわけでもない。R&Rに被れた少年が大人になった心の奥をつぶやいたような私的な世界。最新アルバムの「今を行け」とか「独断」、それに「最後の煙草に火を点ける」なんて、心臓鷲づかみだ。こんな素敵な歌詞にピカピカのリフが乗っかってるんだから、嫌でものってしまう。

もうひとつ気が付いたこと。藤井一彦の風貌は70年代のキース・リチャーズそっくり(笑)。ギターワークもキースの影響を感じるんだけど、顔がこれほど若かりし頃のキースに似てる日本人って、オレ、他に知らないぞ(笑)。

ファースト・インプレッションの段階でぐだぐだくっちゃべるのは、野暮ってもんだ。もうこのぐらいにしておく。
でも、僕はこれから足しげくこのバンドのライブに足を運ぶと思う。今更ではあるが、このバンドとは長い付き合いになりそうな気がする。

« 黒い怒り | トップページ | 麗と蘭 <祝!結成20周年! アコースティカルライブ「THANK YOU Everybody」> / 2011年6月1日(水)南青山MANDARA »

音楽」カテゴリの記事

コメント

お久しぶりです。グルーヴァーズ、良いですよね。
来月18日には、横浜で一彦氏のソロ・ライヴがありますね。
奇しくもこの日は、東京で佐野さんとソウルフラワーのライヴもあるという、
何とも凄い1日だったりするんですけど(笑)

◆きあさん
お久しぶりです!18日は行けませんが、一彦のソロライヴもとても気になります。っていうか、きっと近いうちに行っちゃうと思います(笑)。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

« 黒い怒り | トップページ | 麗と蘭 <祝!結成20周年! アコースティカルライブ「THANK YOU Everybody」> / 2011年6月1日(水)南青山MANDARA »

フォト
2023年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ