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2011年6月21日 (火)

Chloe red presents”MY LIFE IS MY MESSAGE”Vol.1 出演=HEATWAVE / 2011年6月14日(火) 渋谷・DUO Music Exchange

Chloe red presents"MY LIFE IS MY MESSAGE" Vol.1
6月14日(火) 渋谷・DUO Music Exchange
出演=HEATWAVE
スペシャルゲスト=大島保克
開場18:30 / 開演19:30 チケット料金=前売¥4,000 / 当日¥4,500
税込・ドリンク代別途¥500
※MY LIFE IS MY MESSAGEのOFFICIAL GOODSを会場にて販売します。このOFFICIAL GOODSの売上は、全額が被災地の為に役立てられます。

やっとレポが書けた。このライブで得た感動はとても大きい。それは、もしかするとこれからの僕と音楽との関わり方を変えてしまうほどのものかもしれない…。
このライブを語るのに、3.11大震災を外すことは絶対にできない。3.11から3ヶ月、僕の心はさまざまに揺れた。46年間、常に音楽を傍らにおいて歳を重ねてきた僕のような人間にとって、その生き方を問われるような日々だった。震災当初、僕はこう思ったのだ。こんな時に悠長に音楽なんか聴いていていいのだろうか?大量の電気をタラタラ使うライブに行くぐらいなら、被災地に行って自分の身体を使って瓦礫の一つでも片付けたほうがマシなのではないか?普段、LOVE&PEACEだの何だのほざいてるなら、こんな時こそそれを実践すべきなのでは?考えれば考えるほど素直に音楽を楽しむ気持ちになれなくなってしまった。結局、今年の春は手元にチケットのあったライブを何本かトバしてしまう。
5月に入って、CHABOの力強いステージに勇気付けられたのをきっかけに、またライブに足を運ぶようになったのだけれど、それでも僕はまだ確信を持てずにいた。平穏な暮らしが根底から壊されてしまった時、果たして音楽は一個の握り飯に勝てるのだろうか?

考えてみたら、これは昔から言われ続けてきた音楽の機能性への問いかけでもある。こんな永遠の問いに、山口洋は真っ向勝負で答えを返してきた。ファッションブランドChloeと連帯してOFFICIAL GOODSを作り、その売上げを全て被災地に寄付すると発表。さらに”MY LIFE IS MY MESSAGE”というテーマを掲げ、ブログ閲覧者にそれぞれの暮らしの中での美しい瞬間を捉えた写真の投稿を呼びかけた(後にこれはライブでも使われ、写真集になって入場者全員に配られるとアナウンスされた)。

普段の僕は、こういった呼びかけには簡単にのらない。だって、寄付したいならグッズを買うなんて回りくどいことをせず、使途のはっきりした団体に自分で預けたほうがよっぽど確実じゃないか。何よりも、そんなことをすると自分がそれだけでイイ気分になってしまうのがたまらなく嫌だ。正直に言えよ、お前、本当はアーティストグッズが欲しいだけなんだろ?そう、思ってしまうもう一人の自分がいる。そうだよ、オレは飛び切りのヘソ曲がりなんだよ(苦笑)。

だけど、今回だけは自分も行動を起こすべきだと思った。それは、ヒロシの言ってる事は、震災後に僕が感じたことと基本的に同じだと思ったからだ。こんな時だからこそ心を落ち着けて、大切な人と大切な自分自身のために普通の暮らしを続ける努力をする。そんなありきたりなことが、今だからこそ一番大事なんじゃないかと思った。圧倒的な非日常には、圧倒的な日常が一番の武器になる。そう思うにいたった。僕は、この日のために僕にとっての大切な写真を一枚だけ投稿し、普段のライブとはちょっと違った気持ちで渋谷に向かった。

DUOに向かう渋谷の町並みは、拍子抜けするぐらい普段と変わりなかった。まるで3ヶ月前の怯えぶりが嘘のよう。被災地ではいまだ家を無くした人たちの悲しみが癒されず、原発事故は収束のめどさえ立たずに、東京にも放射性物質が静かに舞っているというのに…。
会場も似たようなものだ。緊張した面持ちの人ももちろんいたが、普段のライブと同じように、開演前の一時をたわいの無い会話で埋める人たちがフロアに群がっている。でも、そんなのはどうでもいいと思った。人には人それぞれの世界がある。明日それがどうなるかなんて誰にもわからないんだから、それぞれがそれぞれのやり方で過ごせばいいじゃないか…。うーん、3.11以降、なんだか僕の考え方も変わったような気がする。達観しがちになったというか…(苦笑)。
会場に椅子が用意してあったのには驚いた。HEATWAVEのライブにそれはえらく不釣合い。僕は最初から椅子なんかに座る気はなかった。フロア後方のセンター、山口洋のマイクの真ん前にヒロシと対峙するように立つ。このライブにはバンドとがっぷり四つで向きあいたかったのだ。

定刻を10分ほど回り、アイルランド民謡が会場に鳴り響くと、満員のフロアから期せずして手拍子が起きた。素晴らしい雰囲気。この日が特別なライブだということを観客もよく知っているのだ。
オープニングは「雨の後、道は輝く」。アレンジがアルバムと全く異なっていたので、しばらく何の曲だかわからなかったのだが、池畑さんのバスドラ一発で完全にぶっ飛ばされてしまった。凄い!圧倒的なパワー!これはもうドラムというより、マーチを奏でる大太鼓だ。福岡のリジェンダリー・ドラマーはヒロシの志を汲み取り、気合十分でこの日に臨んでいたのだろう。
ハイテンションだったのは池畑さんだけではなかった。渡辺圭一も細身魚もいつも以上に気迫が漲っているのがはっきりと伝わってきた。特別なフレーズを奏でているわけではないし、この日のための特別なアレンジが施されていたわけでもない。なのに、ロックンロールというやつは気合一発でこうも変わるものなのか…。
そして、山口洋ときたら…。溢れる感情を抑えようとしているのか、歌い出しは自分を抑えよう、抑えようとしているように見受けられたのだが、それはすぐに熱い想いに押されて吹きこぼれてしまう。なんて人間臭くて熱いボーカルなんだろう。そしてそのギター…。もう、なんちゅうギターなんだ、これ!アコギだというのに、むちゃくちゃパワフルで破壊力抜群。ギターの一音一音が、まるで叫び声のようだった。

とにかく、4人が4人とも圧倒的な存在感。放たれる4つの音は強い確信を持って鳴り響いていた。こう言うと、なんだかとても荒々しい音に聞こえるかもしれないが、確かに粗野ではあるけれど、とても温かくも感じられた。ああ、HEATWAVE、なんてすごいバンドなんだ!
フロアの観客もぐんぐんテンションをあげていく。フロアのあちこちから拳が突き上げられ、イントロが奏でられるたびに怒号のような喚声が巻き起こった。僕の周りは1曲目から異常なぐらいの盛り上がり。隣の女性は曲が終わるごとに叫び続け、後ろの野郎どもは池畑さんに野太い声援を送っている。
もちろん、僕も燃えた。今日は悔いのないように燃え上がろうと決めていたから、最初からサビを歌い、拳を突き出し、ビートに身を委ねた。この3ヶ月の金縛りにあったような閉塞感から、やっと解放されたような気がした。僕は自由だった。この瞬間、鳥のように自由だったのだ!

今、ライブを振り返ってみると、序盤は「PRAYER ON THE HILL」や、大好きな「I HAVE NO TIME」、「STILL BURNING」などロックンロールが立て続けにプレイされたのだが、中盤は「ガールフレンド」や「フールとクール」など、比較的ミディアムな曲も多かったことを思い出す。しかし、それでも僕の高揚した気持ちはいささかも萎えなかった。テンションの高いバンドのプレイは、じっくり聞かせるタイプの曲でも、激しい感情の揺れを熱く表現し続けていたからだと思う。
渡辺圭一のベースは万華鏡のように色を変える。池畑さんのドラムと一緒に、強靭なボトムを作っているかと思いきや、突如として水面に浮上し、まるでサイドギターのようにヒロシのギターと絡んだりする。細身魚のキーボードは、神秘的な音色で発熱するバンドに複雑な陰影を付けてゆく。とにかく、4人の気迫が並みじゃない。圧倒的な気迫で心臓を魂鷲づかみにされた。

なんて言うんだろう、この日のライブ中盤で演奏された「ガールフレンド」や「フールとクール」は、アルバムで聞くそれとは違った情感に支配されていたように感じる。「land of music」に収められたこれらの曲たちは、不思議な諦観に満ちているのだが、この日の演奏は諦観の中に、もっとポジティブな情感を確かに感じた。
後悔。諦め。変わっていったもの。忘れられた何か。それらを全て認めたうえで、今何かが始まる…。そんな感じだ。

「Starlight」もソロの時の切ない感じとは違っていた。「alone together」と名付けられた新曲も、タイトルに反して前向きなメロとビートを持った曲だった。それは、悲しみの中から復興に向けて歩みだそうとしている東北の人たちに対しての力強いエールのようにも聞こえてきた。
山口洋とHEATWAVE、ソロでもバンドでも変わらないっていう人もいるかもしれないけれど、僕はバンドのアプローチの方が好きかもしれない。思うんだけど、ヒロシ独りだとシリアスになりすぎちゃうんだよね、どうしても。孤独をギターにのせて星空に飛ぶ夜もいい。けれど、今日みたいな日にはやっぱりバンド!HEATWAVEは、この特別なライブにあたって、ネガティブな音は一音も出していなかった。放たれる音に一点の曇りもなかった。素晴らしいミュージシャンシップだったと思う。

後半のR&R4連発は頭の中が真っ白になった。“細身魚のアコーディオンが聞きたいか!”というヒロシの問いかけに、怒号で答える観客。サビは観客も大合唱。まるでアイルランドの祝祭のようだった。「ボヘミアンブルー」は、今この状況でこそ必要な歌。僕の周りは皆拳を振り上げて叫ぶ。興奮はそのまま「NO FEAR」に引き継がれ、渡辺圭一の浮遊感のあるベースが、フロア全体を大きく揺らした。ヒロシのグレッチも大爆発。観客のボルテージは最高潮に達した。
本編ラストの「新しい風」は本当に感動的だった。サビでヒロシが“新しい風が「東北」の方から吹いてくる”と唄うと、フロアから大きな大きな歓声があがる。僕はもう、ヒロシがこの曲をラストに持ってきたこと自体でぐっときてしまっていたんで、この瞬間の気持ちをどうしても言葉にすることができない。胸にいろんな熱いものがこみ上げてきて、涙を堪えるのに必死だった。

アンコールもまた素晴らしかった。大島保克を迎えての「満月の夕」では、後方のスクリーンにウェブに投稿された写真が映し出される。これがもう…。きっとこうくるだろうとは思っていた。予想通りの、はっきり言っちゃうとミエミエの演出だった(苦笑)。それでも泣けて泣けて仕方なかったのだ。
それは、家族の集合写真であったり、在りし日の風景であったりと、決して特別な写真ではなかった。でも、そこには、それぞれの場所でそれぞれの人たちが穏やかに暮らしている確かな日常が、しっかりと刻み込まれていたのだ。

2回目のアンコールの前、山口洋はこのライブの趣旨について観客に語った。それは、ロックコンサートのMCという枠を超えた、とても長い話だったのだけれど、この日演奏された曲以上に大事なことがたくさん含まれていたと思う。
印象に残ったのは、ヒロシが帰国後に震災で被害を受けた古い友人に会いに福島に行った件。そこで、友人たちの顔が以前と変ってしまっていたのを見て、ヒロシは愕然としたという。
話していくうちに、ヒロシの声がだんだん震え始めた。そして、何度も目をしばたたかせる。しかし、ヒロシは必死で言葉をふり絞り、熱いメッセージを語り続けた。これは他人事じゃない。自分自身のことなんだ。今語らなくていつ語る。ヒロシはそう思っていたんだと思う。話さずにはいられなかったんだと思う。

「福島県相馬市〇〇町〇〇番地みたいに、ピンポイントでサポートをしていきたい」
「いろんな人が、いろんなところでピンポイントのサポートをして、それを繋げて行ったらきっと大きな輪になるんじゃないか…」

ヒロシはそう言った。
そうだよな…。ぼくもそう思う。なんだかふっと気持ちが楽になった。津波で被害を受けた地も気がかりではあるが、僕は僕の故郷が福島だから、正直言って古里のことで頭が一杯だ。気仙沼で瓦礫を片付けたい気持ちもあるが、時間が空くとどうしても地元の両親や旧友、生まれ育った懐かしい町のことが気になってしまうのだ。
でも、それは当たり前なんだと思った。って言うか、自分にとって一番大切なものを、今第一に考えないでどうするんだって、ヒロシの言葉でやっと気が付いた。

僕は山口洋のこれからの活動を応援する。けれど、それだけじゃなくて、僕は僕としてできることを少しずつでもやり続けなければならないと思った。
少年の頃、大好きだったあるミュージシャンがこんなことを言っていたことを思い出す。“ロックンロールは行動を起こしている人たちのBGMなんだ”。自分を、ロックを小脇に抱えながら大人になったと公言するならば、僕は僕なりの行動で山口洋とこのクソッタレな時代を並走していきたい。

3.11大震災とそれに伴う原発事故で、この国の景色は大きく変わってしまった。そんな世界でロックと共に大人になった僕たちがこれからどう生きていったらいいのか、その道を示す一筋の光が見えたようなライブだった。
ロックンロールって素晴らしい。音楽は本当に生きる糧になるものなんだなってことを確信した夜であった。

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コメント

どんな形でも、
福島の力になろうとして下さっていることは喜んでもいいことだと思います。
凄く、嬉しいです!

ライブって、いいでしょうね…。
僕も一度は行ってみたいものです…。
ライブの盛り上がりを体感してみたいです。
皆様とその空間で一緒に同じ気持ちになってみたい…。

災害地の手伝い、
したいです…。
無理なのは十分分かっているのですが…

投稿: 霧矢氷骸 | 2011年6月21日 (火) 21時07分

◆霧矢氷骸さん
ライブはねー、いいよ~!(笑)
最近は福島にもライブハウスがいくつもできたし、いつかは行くチャンスがあるんじゃないですか?
実は、僕も中学生で福島にいた頃はライブなんかまった行けなかったんです。当時は東京までの距離感って今以上に遠く感じられましたから、大学進学で東京に出てきた時はタガが外れたみたいにライブに行きまくりました(笑)。

僕も中学生の頃って、やりたいことがいっぱいあって、でもなかなかできない状況で、理解してくれる友人も大人もほとんどいなくって、独り悶々としてた時期でした(だからこそ音楽に走ったっていうところもあるんですが…)。
大人になって思ってたことの何割かは実現できました。そして、できなかったことの何割かを今でも追い求めながら僕は生きているのだと思います。
とにかくね、時間が解決してくれることって意外と大きいです。お互い、今は今の場所でできることを頑張っていくしかないんじゃないかなあ…。

投稿: Y.HAGA | 2011年6月22日 (水) 12時16分

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