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2011年8月25日 (木)

3G(吉田建 仲井戸麗市 村上秀一)「All Cover Night!!」 / 2011年8月25日(木)Billboard Live TOKYO

“全曲カヴァーだけを演奏するライブ”っていうのは、なんだか3Gにぴったりな気がする。もし、麗蘭やCHABO BANDにこんなオファーが来たって、CHABOは絶対に引き受けないだろう。逆に言えば、この夜のライブは3Gというバンドがあるからこそ観る事ができたスペシャルなものなのだ。うーん、感謝しなきゃ!(笑)

Billboard Live TOKYOという会場、実は僕は初めて。もちろんその存在も、以前麗蘭がライブをやったことも知ってはいたが、なんとなくセレブな雰囲気が合わなくて腰が引けていたんです(苦笑)。でも、行ってみてゴージャスなムードにすっかりハマってしまった。なんだか、ニューヨークの有名ライブハウスみたいだ(行った事ないけど…)。海外のミュージシャンのライブ映像なんか見てると、バリバリにロック系の人でも、小奇麗なライブハウスで大人を前にしたステージをやってたりしている。だけど、日本ではそういう所があまりないですよね。たまにはこういうのもいいなあ~なんてコロッと考えが変わってしまった(笑)。たおえば、こんなお店でニック・ロウなんか見たら、そりゃあいいだろうなあ…。

僕が見たのは、2ndステージ。開演の21:30になると、3Gの3人とサポートミュージシャンの女性が1階フロアの客席袖から登場してきた。CHABOはいつものようにアロハシャツにパナマ帽。吉田健はオレンジの鮮やかなシャツの上に黒っぽい上下でキメている。ポンタにいたっては、なんとTシャツと短パン!3人の格好は見事にバラバラなのだが、これが妙にサマになっていた。

オープニングはボブ・ディランの「アイ・ウォント・ユー」。これはかなりひねったアレンジになっていた。凝ったイントロをテレキャスターで弾き倒すCHABO。原曲の印象的なリフメロがないから、最初僕はサビに来るまで何の曲かわからなかった。
CHABOのテレキャスターは、素晴らしくイイ音で鳴っていたなあ~。この会場がとても音響がいいことにもすぐに気が付いた。僕はカジュアルエリアという、ステージを上から見下ろす席だったんだけど、ど真ん中だったこともあって、艶やかでハリのあるフェンダーサウンドが会場いっぱいに鳴り響くのが身体全体で感じられ、ものすごく気持ちよかった。ポンタの凝ったドラムワークも、この場所からは良く見えた。

春に初めて3Gを観た時にも感じたことだが、このバンドでのCHABOはエレキを弾く場面がとても多い。手にするギターは、エレキに関してはテレキャスター一本で通していた。3Gに限らず、最近のステージでエレキを手にする時には、テレキャスの比率がかなり高くなっているCHABOだが、この日はまさにテレキャス三昧。これは絶対にCHABO、意図してやってると思う。
ザ・バンドのカバー「トワイライト」では、イントロでロビー・ロバートソンばりのパキパキ・ギターを披露する。これには客席も大喜び。“ロビー!”なんて掛け声もかかって“さっき(1stステージ)よりウケてる…”とCHABOも嬉しそうだった(笑)。

選曲はけっこうマニアックだったと思う。ヴァン・モリソン、エリック・クラプトンなど有名どころのカバーでも、曲はけっこう渋めのものが選ばれていたし、きっとやるだろうと思っていたビートルズ関連でも、選ばれたのはジョンでもポールでもなく、リンゴ・スターのソロ。「ユア・シックスティーン」だの「オー・マイ・マイ」だのってのは、かなりの洋楽ファンじゃないと知らないんじゃないだろうか?
それと、3GでのCHABOはあまりディープなブルースを歌わないのも特徴的。あまり個人の趣味を極めると、CHABOのブルース、吉田健のブリティッシュロック、ポンタのジャズという風に、ジャンルが拡散して収拾がつかなくなっちゃうのかも(笑)。3Gのベースはあくまでも3人が若かりし頃に共通して親しんだ、60年代・70年代のロックという括りに統一しているのだろう。R&Bからはオーティス・レディングの「セキュリティ」がセレクトされていた。

3Gの演奏を聴いていて感じるのは、この世代ならではの独特のタイム感。特にポンタによるリズム生成が大きいのだが、それにCHABOと吉田健がすんなりとついていってるのは、やっぱり同世代ならではの共通した感覚があるからだと思う。ポンタの独特のタメと、バンド全体のいい意味でのルースさがとにかく絶妙。もう少し下の世代になってしまうと、この微妙なノリがなかなか出ないのだ。

個人的に一番意外だったのが、ローリング・ストーンズのカバー。普通だったら60年代や70年代のレパートリーからチョイスすると思うわなあ…。ところが、選ばれたのは2005年のアルバム「A BIGGER BANG」からの「Rain Fall Down」。これは最高にカッコよかった!アレンジは原曲に忠実で、特徴的なリフレインもそのまま。テレキャスターの切り裂くようなリフが炸裂し、吉田健のベースもファンキーにぐいぐい攻める。逆説的な言い方になるが、こんなにカッコいい曲だったのか!と再認識した。エンディングではCHABOのフリーキーなギターソロが大爆発。ロックギタリストCHABOを十分に堪能でき、この1曲が聴けただけでも、ライブに足を運んで良かったと思った。

アンコールでは、CHABOがチェット・アトキンス・モデルを手にして、デレク・アンド・ドミノズの「リトル・ウィング」をプレイする。言わずと知れた、大事な人を偲ぶ特別な日本語詞が歌われる。歌い終えて天を指差すCHABOに、僕もこの特別な夏にここにいない人、本当はこんな時こそここにいて僕らを救って欲しかった人のことを思った。

最後はCCRのプラウド・メアリーでにぎやかに幕。
約1時間30分のステージは、いい意味でとてもリラックスした楽しいライブだった。なによりも自分たちのルーツにあたる音楽を演奏している3人の少年のように楽しそうな表情が印象的だった。
カバーばかりのライブではあったが、実際はかなり凝ったアレンジが施されていたり、詞もCHABO流の日本語に置き換えられているので、ほとんど新曲を聴いているような気分。その日本語詞も、原曲のニュアンスからさらに飛躍して、「Rain Fall Down」や「Where Have All The Flowers Gone?」などは、僕にはまるで今の日本の状況を歌っているようにも聴こえてきた。

今年の春に結成されたばかりのバンド3G。出来立てほやほやと言ったって、CHABOにポンタに吉田健という百戦錬磨のメンツが集まってるんだから、音はもうほとんど完成されていると言っていい。大ベテランの3人が今になって結集するまでにどんな物語があったのかはわからないが、長い間、様々なフィールドで活躍してきた3人は、ここいらで自分たち世代の立ち位置をもう一度確認したくなったのではないかと想像する。肩の力を抜き、もう一度少年のような気持ちで音楽を楽しみたい…。コーナーを回った彼らは、今、そんな気持ちでいるのではないだろうか。
少なくとも、CHABOにとっての3Gは、麗蘭やCHABO BANDとは違う、もっとフランクなタッチで関わっているものなのではないかと僕は思う。

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コメント

大阪 2ndステージを観に行きました
Blue Note、Billboard
若い時・ロック小僧の自分には絶対に
縁のナイ場所だと思っていました
大人たちがドレス、スーツをまとい
Ladies & Gentlemen の世界(勝手な思い込み)

でも 絶対的に 清志郎さんが演ってくれてから
気軽に行けるようになりました
ラフなシャツにジーパン姿で(笑)

当日は、友達が頑張ってくれた、お陰で
Chaboさん正面のテーブル席で
ついつい、ビールや料理をたらふく
accountsでは、たじろいましたが(笑)

もう イントロ当てクイズ状態
御三方の嗜好ですかね
「Whatever Happened To PJ PROBY」なんて
初めて知りました

このメンツでオリジナル曲を加えて
3時間ぐらい 演ってくれませんかね~

◆ひであきさん
>「Whatever Happened To PJ PROBY」なんて
初めて知りました

僕もです。たぶん、ヴァン・モリソンの熱心なファンでもない限り、当日この曲を知ってた人はあまりいなかったんじゃないかな~。
3Gでは、3人の趣味性の高い音楽をどんどん追求していったらいいと思うんですよね。まだまだ抽斗がたくさんありそうで楽しみです。

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