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2011年9月16日 (金)

仲井戸“CHABO”麗市「CHABOの恩返し5」 / 2011年9月16日(金) Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

早いもので恩返しシリーズも今夜で5回目。実はこのシリーズ、僕にとってはなかなか見方の難しいライブになっているのだ。数年前、Duoシリーズってのがあったけど、あれはあくまでもCHABOのソロが主体になっていた。だが、恩返しは共演はアンコールのみで、本編はゲストとCHABOのライブが完全に分かれた構成になっている。これがなかなかクセモノで、不器用な僕としては気持ちの切り換えが思うようにいかないことが多いのだ。正直言って、もっと長くCHABOを見たい。CHABOのソロパートが凄ければ凄いほど、今このときのCHABOの長尺のソロライブを渇望する気持ちが抑えられなくなってしまう。

この日のゲストは和田唱。これはなおのことライブに集中するのが難しい予感があった。何故って、この人はもともとLeyonaや寺岡呼人などとはCHABOとの関係性が薄い。正直言って、なんで件のトリビュートアルバムに参加したのかもわからない。なので、CHABOとの共演ということはあまり頭に置かず、トライセラトップスという一バンドのフロントマンによるソロライブ、と思うようにした。そう、夏フェスなんかでちょっと興味あるバンドのステージを覗いて見るようなタッチ。あまり難しく考えずにライブを見ようとしたのである。

この態度が功を奏したかどうかはわからないが(苦笑)、和田唱のライブは意外に楽しめた。
ライブはアコースティックギターを手にした完全弾き語りスタイル。アンプはCHABOのアンプを借用していた。一曲目はなんと「Crossroads」。CHABOファンのホームに乗り込むことを意識しての選曲だったのかもしれないが、真っ向勝負でぐいぐい攻めてきた。おおっ!という感じだ。思わず座り直してしまったぜ(笑)。和田唱、ギターもボーカルもなかなか聴かせる。ギターのフレーズは随所にブルースフィーリングを感じる小ワザを散りばめ、ボーカルも堂々たるもの。完全に和田ワールドを確立していた。
セットリストはオリジナルとカバーが半々ぐらいか。ブルースやR&Rっぽい曲だけではなく、ちょっとスィングっぽいノリもチラリで、なかなか達者なパフォーマーぶりだったと思う。トライセラトップスの持ち味であるファンキーなR&Rっぽさは抑え気味で、トラディショナルな音楽をリスペクトする姿勢が感じられた。
印象に残ったのは、最後に演奏されたバート・バカラックのカバー。うーん、この人、実はもっともっとたくさん音楽の抽斗を持ってるような気がするなあ…。実は、トライセラってのは、かなり“狙った”路線でやってるバンドなのかも知れない。
MCではCHABOと初めて会った時のエピソードも披露。福岡のFM局で会った時「君の書く曲好きだよ」と声をかけてもらったのを、「ミュージシャンとして、あの言葉はチャートで上位になることやいいセールスを残すことなんかより、ずっと嬉しいことだった」と本当に嬉しそうに語っていた。トリビュートアルバムで演ったCHABOのカバー「ポスターカラー」ももちろん披露。これがまた気持ちの入った歌とギターで聴かせた。

さて、CHABOのステージ。これがまた…。心にずしりと残る独特なタッチのライブになった。これだからCHABOのライブはどんな形態であれ、できる限り見ておかなければならないと思わせられちゃうんだよなあ…。
序盤こそ「Till There Was You」や「ムーンライト・ドライヴ」(「どっぷり重たいの演ります…」とCHABOは言ったが、それほど重たい印象は無し)、トライセラトップスのカバーなどで軽快に進んだが、中盤からはダークな晩夏のイメージにどっぷり。
まずは「じゃあ、ちょっと古いRCナンバーを…」と言って、Little Wingのフレーズをつま弾く。この時、もう一曲何がしかのフレーズを弾いた様な気がしたのだが、曲目不明。で、演奏されたのは「九月になったのに」だ。むー、こ、こんな曲が2010年の夏に渋谷で聴けるとは…。不意打ちとはこのこと。かなり効いた…。

そしてCHABOの口から語られたのは、最近、父親が亡くなったというヘビーな出来事。そして、最初自分が飼っていて、やがて父に預けることとなった愛犬“コロ”とその死の話だった。俳句を嗜んでいたというCHABOのお父さんがコロの死を詠んだ句を見つけ、CHABOが自身の歌にそれを織り込んだ共作という紹介で演奏されたのは「スケッチ '89・夏」。ダークでモノトーンな、夏の終わりの歌だ。2011年9月の渋谷の町に夏の終わりの物悲しさが漂っていく。
続いて演奏されたのはインスト「9月の素描」。うーん、こうきましたか…。「九月になったのに」から続いた“晩夏3部作”には、逝ってしまった人たちへの想いと、この世界に踏みとどまっている僕らの置かれた立場を考えずにはいられなかった。それにしても、CHABOにとっての夏ってどうしてこうへヴィーなことばかり続くんだろう…。

アンコール。いよいよCHABO+和田唱のセッションだ。
まずはお互いの名前を織り込みながらブルースの定番フレーズを弾きまくる「適当BLUES」。これは盛り上がった。新旧ジャパニーズ・ブルース・ミュージシャンの共演といったところ。さらにビートルズの「僕が泣く」とストーンズもカバーした「ROUTE 66」。このあたりはもう2人とも阿吽の呼吸でギターを絡めまくる。CHABOがこの日何度も言っていた“愛があれば、ギターがあれば、歳の差なんて…”を地でいくような場面だった。さらにRCナンバー「GIBSON」では交互にヴォーカルをとるのが一期一会感抜群。

最後の最後は、意外なことにCHABOの曲ではなく、トライセラトップスのナンバー「SPACE GROOVE」だった。これはトライセラトップスのライブでもあまり演奏されたことがないそうだ。CHABOがこの曲を選んだ理由は明白。歌詞の内容が今の社会のムードにぴったりだからだろう。これに繋げて「What A Wonderful World」のSEが流れるのは見事な構成だった。観客はごくごく自然にスタンディングオベーション。
終わってみたら、和田のソロパートでは意外なパフォーマーぶりを堪能し、久々にダークなCHABOの世界にどっぷり漬かり、アンコールで楽しく盛り上がり…と、懸念していた僕自身の切り替えも上手くいって(笑)、なかなか内容の濃いライブとなった。

それにしても、この日のCHABOのソロ中盤はずしりときたなあ…。
なんて言うんだろうか、CHABOのライブの凄さは歌とギターだけではないのだということを、今更ながらに強く感じた。歌とギターだけなら、この日は和田唱だって決してCHABOに負けていなかった。しかし、中盤のあの独特な世界はどうしたってCHABOにしか作れないだろう。
ある夜のステージに立つ時、CHABOはそこでその日にどうしても歌っておかなければならない歌があることを既に悟っているのだろう。それはCHABOにとって、どんな場であろうと、どんなライブであろうと、絶対に歌っておかなければならないのだと思う。それだけの決意をもってライブに臨んでいるからこそ、その歌はこんなにも心に残るのではないだろうか。
2011年9月16日。残暑厳しい夏の夜、渋谷の映画館のようなライブハウスで、CHABOは「スケッチ '89・夏」を歌った。そのことを僕はずっと忘れないでいようと思う。

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仲井戸“CHABO”麗市」カテゴリの記事

コメント

レポ興味深く読みました。ジョイントライブはムツカシイですね。
お目当てのミュージシャンの演奏時間はどうしても短くなるし。
共演曲もカバー中心とかでオリジナル減るし。
だからこそ思わぬ発見がある場合もあるけど・・。

実は10月のライブ、KyOnさんと共演と言うことで
「ONE NITE BLUES 61」のChaboバンドとソロの日の
チケット狙ったんですが早々に売り切れ。
泉谷との共演日はチケットまだあるみたいだけど迷ってます。
泉谷はキライじゃないけど好きでも無いので・・。

ところでこの週末、仙台にボランティアに行って来ました!
荒浜海岸の周辺の惨状は酷かった。津波でえぐり取られて廃墟化。
ある農家の土地の泥かき。ヘドロや瓦礫が出てくるわ。
20人で1日働いてやっと1つの土地を整地できた。
まだまだ多くの土地が荒れたまま残ってる。
そして、住んでる人は仮設住宅住まいで未だ戻る見込みはないとのこと。

正直行ってきつかった。でもこの目で見るべきものばかりでした。
年内に、もう1度行ってみようと思います。

投稿: ながわ | 2011年9月19日 (月) 21時40分

◆ながわさん
>ジョイントライブはムツカシイですね。

難しいです~(苦笑)。エレカシとの共演のように、お互いが化学反応を起こして物凄いことになることもありますが、要求不満が残ることも多いですからね。10月のCHABOライブ週間は、僕も全部は行けないのでながわさんと同じような感じでチケットを手配中です。皆さん、ネライどころは一緒のようで…(笑)。

ボランティア、お疲れ様でした。なんか、僕は実家と生まれ故郷のことで頭がいっぱいで、まだ津波の被害の大きかったところには行ってません。この震災は地震・津波の被害と放射能汚染被害とが分断されちゃってるような気がします。

投稿: Y.HAGA | 2011年9月21日 (水) 10時40分

私もこのライブ行ってました。最高でした。
和田唱「お主なかなかやるな。」
アンコールの時の唱くんのはしゃいでた様子。
CHABOの嬉しそうな顔。
最高のライブでした。
あの夜は興奮冷めやらずでなかなか寝付けませんでした。
来月のライブ、私はgoingと3Gに行きます。

投稿: | 2011年9月27日 (火) 21時33分

>アンコールの時の唱くんのはしゃいでた様子。
CHABOの嬉しそうな顔。

そうですね。アンコールは本当に楽しそうでした。やっぱりギタリスト同士、ルーツが似てるって部分でのやり易さはあったんだと思います。

>来月のライブ、私はgoingと3Gに行きます。

おお、見事にカブってない(苦笑)。僕はその2本以外のライブに行きます。もちろん全部見たいのはやまやまなんですが、流石にお金が続かないや~。


投稿: Y.HAGA | 2011年9月28日 (水) 17時28分

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