« さらば夏の日 2011 AUG. | トップページ | UMISAKURA MUSIC FESTIVAL 2011 FINAL「UNITE!」 / 2011年9月10日(土) 江の島展望灯台サンセットテラス »

2011年9月 9日 (金)

Leyona「Leyona & The Band "LIVE TRIP 2011"」 / 2011年9月 9日 (金) 渋谷 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

最近、Leyonaのライブに行くと感じるのだが、この2,3年で彼女のライブの客層はだいぶ入れ替わったと思う。デビューして数年は、ロック&ブルース好きの音楽ファンと、レゲエ&サーフ系の音楽ファンとが半々づつぐらいでフロアを埋めている感じだった。ライブはスタンディングで行われることが多く、ダンサブルな曲になると会場中がゆらゆら揺れた。それが最近はサーフ系のファンは少なくなり、ごくごく普通の一般的な音楽ファンが増えてきたように思う。もしかしたらこれは、このところ彼女がCHABOや永井“ホトケ”隆など、ベテランのミュージシャンとコラボすることが多くなり、そのライブを観た人そっち系のファンが流れてきたということなのかもしれない。そんな客層の変化を彼女が意識しているのかどうかはわからないが、初期の頃と比べると、ダンサブルに押していくばかりじゃなく、歌そのものをじっくり聞かせる場面が増えてきたことは確かだ。

この日のスタートもそんな感じだった。1曲目は1stアルバムから「Honey」。これは切々と歌い上げるミディアムナンバー。初期からLeyonaを観ている人にとっては、ちょっと意外なオープニングだったと思う。以前のLeyonaだったら、バンド編成だったら初っ端からがんがんノリのいいやつで攻めていた。でも、これが今の彼女のスタンスなんだろうな。1stアルバムの懐かしい曲をとても丁寧に歌っているのが印象的だった。続く「STARS」もじっくりと聞かせるタイプの曲。ハスキーな声が会場いっぱいに響き渡り、早くも観客の心を鷲づかみにしてしまう。

今のLeyonaバンドを観る時、僕はLeyonaと同時にドラムの沼澤尚の動きも気になってしまう。歴代のLeyonaバンドのドラマーはASA-CHANも椎名さんもそれぞれ魅力的だったが、沼澤さんのドラミングは、ほんと独特。スローなテンポの曲でも、普通にビートを刻んでいることは決してなく、バスドラの一音、シンバルの微妙な震えまで、ステージで発せられる一つひとつの音が完璧に制御されているのだ。
でも、これだけいろんなことをやっていても、それがまったく歌の邪魔になっていないのだから驚いてしまう。こんな豊かな音色を使いこなすドラマーをバックに歌うのはさぞかし気持ちがいいだろう。僕はまだ見たことがないのだれど、Leyonaは最近沼澤さんと2人だけでライブを行ったりもしている。パーカッション奏者やギタリストとならともかく、ボーカリストとドラマーのデュオってのは、けっこう珍しいんじゃないかな?(笑)。それだけ2人は相性バッチリってことなんだろう。
あえて言えば、ドラムを叩く沼澤さんの表情を見ているのも楽しいから、視線があちゃこちゃいってしまい、Leyonaのライブは目がいくつあっても足りない(苦笑)。ブルース・ザ・ブッチャーのライブもそうなのだが、沼澤さんがいるライブでは、いつだって彼がバンドのエンジンになる。ミディアムナンバーにアクセントを付けるのも、ジャンプナンバーのアクセルを踏み込むのも、コーナーに突っ込むのも、すべて沼澤さんがキー。自由自在にバンドを引っ張っていく、凄いミュージシャンだと思う。今のところ、沼澤尚は僕が日本で一番好きなドラマーだな…。

ライブは徐々にビートの効いたナンバーが増えてゆく。僕が印象に残ったのは「Town to Town 」。これはニューオリンズ風のリズムにアレンジが施され、スタジオバージョンよりも数段スケールの大きな演奏になっていた。土台を作る沼澤さんと中條さんのリズム隊に、Leyonaの歯切れのいいギターカッティングがのっかり、エマーソン北村のクラビっぽいキーボードの音色が鮮やかな彩りを加えてゆく。まるで聖者の行進。こういういい意味での土臭さを出せる女性ボーカリストは、やっぱり日本ではLeyona以外そうそういないだろう。

序盤のビートナンバーは、忌野清志郎作の「ダンスミュージック☆あいつ」で頂点に。スタジオバージョンもそうだけど、Leyonaの「ダンスミュージック…」は清志郎バージョンよりテンポが数段速く、ハードな印象。Leyonaはギターを抱えながら激しくダンス。ふと足元を見ると、すんごく細くてかかとの高いピンヒール!あんなシューズでよく踊れるよなあ…。つられて客席でも立ち上がって踊る人がちらほら。カッコいいっす!これはLeyonaのライブでは外せない曲になりましたね、もはや。

ここでライブは意外な展開に。
なんと、Leyonaはバンドのメンバーをいったん下げ、「せっかくダンスナンバーで盛り上がってきたところなんだけど、1回落とします(笑)」とか言いながら、ギターを抱えてステージの縁に座りこみ、そのまま弾き語り。まるで梓みちよの「二人でお酒を」みたい…って誰もそんな古い歌知らないか…(苦笑)。
これ、最前列に座ってた人はLeyonaと2メートルぐらいしか離れてなかったはず。僕は反対側の二列目だったけど、それでも十分近いと思ったぐらいだから、Leyona側の人はさぞドキドキだっただろう。マイクスタンドはフロアに立ててステージの音を拾う形。歌われたのは「パッチワーク」。いやあ~素晴らしいパフォーマンス。この規模の会場だったら、マイク使わなくても良かったかも(笑)。

曲が終わると、Leyonaはまたステージ中央に戻って弾き語りを数曲。ついでにMCもたくさん。LeyonaはよくMCが苦手だって自分で言うけど、決してそんなことないと思うんだよね。だって、もっと下手な人、たくさんいるでしょう?(苦笑)。でも、彼女基準ではまだ不満があるんでしょうな。「自分のことを話すのって恥ずかしいですよね。裸になっちゃう方が楽…。」って、そ・そ・そ・そ・そうなんですかぁぁぁ~!?乙女心はよくわかりません、ワタクシ…(汗笑)。
声援を送る観客に「あなた中心に演ります~」なんて、CHABOお得意のフレーズを言ってみたり、この前のライブの「ACDC(汗だくだく)」に続いて、「暗く暗くライ・クーダー」なんて、またまたLeyona語録が登場したり、なかなかこの日のMCも笑わせてくれました。

後半は再びバンドメンバーがステージに登場。Leyonaもギター片手に完全にバンドの一員に。Leyona、またまたギター上手くなったなあ…。彼女のギターはカッティング主体で、メロディアスなフレーズはまったく弾かない。なんともパーカッシブなギターだ。でも、ボーカリストのギターなんだから、それで全然イイと僕は思う。で、その領域でいうととても魅力あるギターを弾く。ミック・ジャガーのアコギが意外に良かったりするのと同じ意味で…。

僕的にベストはLeyonaがテレキャスターを手にプレイした「SWEET BABY LOVE」。西海岸ロック風の乾いたリフが実に実に気持ち良かった。この辺りから客席は再び立ち上がって踊り始める。そしてラストナンバーの「LOVE」では総立ちになっての大円団。

ただ、思うんだけど、PLEASURE PLEASUREはどうもLeyonaのライブには向かないような気がする。ここのふかふかのソファーは確かに快適なんだけど、いったん腰を落ち着けちゃうとなかなか立ち上がれなかったりするので、ダンサブルな曲でもイマイチ盛り上がれずに終わってしまうのだ。できれば、Leyonaのライブはスタンディングで観たいなあ…。
ライブはアンコールも含めて2時間ぐらいか。夏の終わりに相応しい、楽しくてハートウォーミングなライブだった。

« さらば夏の日 2011 AUG. | トップページ | UMISAKURA MUSIC FESTIVAL 2011 FINAL「UNITE!」 / 2011年9月10日(土) 江の島展望灯台サンセットテラス »

Leyona」カテゴリの記事

コメント

このブログでレヨナさんを知りました

きっと歳をおえばおうほど
いいBLUESを歌うシンガーなんだろうな
と、いつも新曲を楽しみにしています

すごくいいライヴだったけど、少しシコリが残った気がしました。
今までイベント等で、立ち位置がいろいろだったからでしょうか?
いざ自分色を出そうとすると、空回りする場面は僕にも感じました。
客層も幅広く、(いい傾向なんでしょうが…。)
いまいちLeyona色が引き立たない気がしました。

でも、また何かのきっかけで光るときがありますよ…ね?
キャリアや年齢、パフォーマンス・スタイルを手探りしているような、
ある意味実験的ライヴと考えています。

それでも僕的には実りある一夜でした。
ちなみに僕はLeyonaの座った位置の3列目でした。
確かにドキドキでした。距離は1mもなかった感覚でした。

顔に集中したのですが、僕も“単純な男”です。
脚の方も目線が入ってしまいました。(笑)

◆NOAHさん
>きっと歳をおえばおうほどいいBLUESを歌うシンガーなんだろうな
と、いつも新曲を楽しみにしています

そうですね、ぼくもそう思います。5月の清志郎トリビュートライブの時、金子マリと並んで歌ったのを見た時には、まるで2人が一心同体に見えました。きっと、将来Leyonaはあんなポジションになるんじゃないかと想像しています。

◆樹木さん
恐らく、僕の感じていることと樹木さんの思ってることは同じだと思います。なんて言うんでしょうか、今のままだと彼女は“器用貧乏”に陥りそうな気がするんですよね。なまじ何でもできちゃうから…。もう少しスタイルを限定してみてもいいんじゃないかと思ったりもします。今は試行錯誤しながら、そういうことを見つけている時期なんでしょうね。

>脚の方も目線が入ってしまいました。(笑)

僕はLeyonaがハープを挟み込む胸元が気になって、気になって…(苦笑)。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

« さらば夏の日 2011 AUG. | トップページ | UMISAKURA MUSIC FESTIVAL 2011 FINAL「UNITE!」 / 2011年9月10日(土) 江の島展望灯台サンセットテラス »

フォト
2023年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ