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2011年12月 6日 (火)

Some Girls Live in Texas 78 / THE ROLLING STONES

51zdghp4lnl_sl500_aa300_1_2 少し前まで、ストーンズは過去のアーカイヴには一切手をつけないバンドだったのだが、2年前のゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!40周年記念エディションを境に、タガが外れたようにすごいモンをどんどん出してくるようになった。今度出たのはなんと78年モノ!。EXILEの未発表曲にも驚いたけど、この「サム・ガールズ」+78年ツアーというパッケージにはかなり驚いた。

実は「サム・ガールズ」と78年全米ツアーに関しては、TVやラジオ用にかなりの音源・映像が残されている。やっぱしストーンズといえど、当時のパンク、ニューウェイヴの台頭は脅威だったんだろうな。物議をかもしたアルバムジャケットも含め、当時はかなりの危機感を持って話題作りをしていたんだと思う。
だけど、日本ではなかなかそれらに触れる機会がなかった。80年代に入ってから、NHK・FMでラジオ用ライブ音源がOAされ、ファンを狂喜させたなんてことがあったけど、映像の露出は皆無に近い状態だった。

昔、僕はストーンズのブートレッグ集めにどっぷりだった時期があるんだけど、ブート市場でも78年モノは多かった。6月4日の公演をライン録音したなんちゃらとか、デトロイト公演の放送音源をブート化したかんちゃらとかね。きっと、ちょっとしたストーンズ・マニアだったら、“ああ、あれのことね”とわかるだろう。
78年ブートの決定盤は「HandsomeGirls」っていう4枚組だ。こいつが出たのは90年代に入ってからなんだけど、既に出回っていたラジオ用音源と、それまで全く世に出てなかったテキサス州フォートワースのショーを組み合わせ、最上級の音質で収録したというとんでもないシロモノだった。リリース当初はちょっとした騒ぎになり、僕もやっとの思いで手に入れた記憶がある。だけど、これで78年モノはもうイイや…っていう気になっちゃったことも確かなんだよね。だって、これ以上の上物はもう出てこないだろうと思ったし、これだけボリュームがあれば、あと20年は楽しめちゃうわけで、なんだか高いお金で他のブツを漁る気がしなくなってしまったのだ。思えば、HandsomeGirlsは、僕がブートレッグから足を洗うきっかけにもなったブツなのであった。

そんなわけで、78年ツアーに関しては、もう出るものは出尽くしてると思ってたから、今度のリリースにはかなり驚いた。もうね、こんなちゃんとした映像が存在していたこと自体びっくり。このうちの数曲はブートで観たことがあったんだけど、数分観てると目がチカチカしちゃうようなシロモノだったんで、これはもうマスター自体が酷い状態なんだろうなと思い込んでいたのだ。

今見ると、この時期のストーンズはやっぱり独特。前後の時期、76年や81年のド派手なタッチとも違っていて、わざとB級臭さを漂わせた風なのが異常にカッコいい。
ミックのステージ衣装はほとんど意味不明(笑)。おっさん臭いベレー帽にぺらぺらの上着、ジャージみたいなパンツにテープがベタベタ。おまけにTシャツの文字は“DESTROY”ときた。いったい何を考えてるんだか…(苦笑)。上着を脱ぐと、右手にはアームカバー。これ、もしかしたらシド・ヴィシャスの包帯を真似てるのか?もう、あまりのキチガイぶりに笑うしかない(笑)。
キースはこの頃が一番カッコいいと思う。っていうか、ルックスとプレイぶりが一番釣り合ってるのがこの時期なんじゃないだろうか?そんでもって、やる気満々でばりばりギターを弾いてるから見てて嬉しくなってしまう。ドラッグ中毒の治療が終わり、ロン・ウッドという弟分を得て身も心もクリーンになってたんだろう。
ストーンズに加入したばかりのロニーは、まだ完全に子ども扱いだ(苦笑)。演奏中も再三ミックにいたぶられたりしてる(笑)。でも、プレイぶりはさすが。キースとの絡みは抜群で、出たり入ったりする2台のギターの音がが最高に気持ちイイ。キースとロニーは二人並んでステージに立ってるだけで見栄えがする。キース&テイラーだと、それぞれが自分のプレイに埋没しているから、こういう風にはならないもんなあ…。

ただ、これ、今まで正規リリースしなかった理由も何となくわかるのだ。だって、観ててかくっとくるところもけっこうあるもんね。たとえばLet it rock。セカンドバースの頭でミックの歌詞が飛ぶが、こういうのはあんまし作品として残したくないところだろう。Brown Sugerもけっこうヤバくて、イントロでキースが気の利いた(つもりの)フェイクを入れたら、チャーリーがびっくりしちゃってグダグダになりかけるのがモロわかっちゃいます。まあ、こういうのを見て喜んでるストーンズ・ファンも多いんだけど(笑)。Star Starで、本人が聞いたら怒っちゃいそうなジミー・ペイジへの当てこすりをミックが歌ってるのも、もともとこれが1回だけのOAで、作品として残すつもりがなかったからなんでしょう。

ただ、そういうことを差し引いても、やっぱり78年の演奏はスゴイ。
おまけで付いてるミックのインタビューによれば、このツアーは新曲が多かったんで、とにかくメンバー全員が間違えないように心掛けたって言ってるんだよね。まあ、おまえが言うか!ってとこもあるんだけど(笑)、確かに勢いだけじゃなくて、珍しく真剣に丁寧にやろうとしてるストーンズが感じられ、パワーと緻密さのバランスは全年代でも間違いなく最高峰だと思う。Shatterdの緻密さなんて、80年代以降では考えられないんじゃないかなあ。

しかし、こういう過去のアーカイヴ聞いてると時々ふと思うんだけど、当時実際に会場で聴いた感じはどうだったんだろう?当時のPAシステムでは、実際にはこういう音は会場で鳴ってなかったと思うのだ。
ミックス時に音の差し替えはやってないと思うんだけど、バランスや分離ぐあいなんかは当然いじってるはず。そういう意味では、これはボブ・クリアマウンテン・ミックスドの78年モノであって、当時そのままの音ではないと思っておいたほうがいいのかもしれない。ま、こんだけスゴイ映像見ちゃうと、そんなことは関係なくなっちゃうんだけどね…。

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コメント

音よかったですよね、コレ。
やっぱりボブ・クリアマウンテン、いい仕事しますねぇ。
CDの方ばかり聴いてしまいます。
映像はやはりミックのイカレっぷりに目が行ってしまいがち(笑)

この映像は素晴らしいですね!私的にはチャーリー・ワッツのドラムスとキース・リチャーズの絡み具合が特に堪らないです。

All Down The Lineに於けるチャーリーのブレイクのおかずの入れ方とか、半端無いですよ。

まあレディースアンドジェントルメンみたいな完璧な感じとも又違うよさなんですよー、これは。
後、まさかまさかのWe Had It Allのオフィシャル化も驚きました。しかも巷の音とはテイク違いだし・・・。
こうなると次がどうなるか楽しみです。67年辺りの音源なんかも是非聴きたいし、77年辺りも興味ありますね。

◆LA MOSCAさん
80年代にロックに目覚めた世代は、みなボブ・クリアマウンテンの手がけた音が大好きなんじゃないでしょうか?ドラムの音がリアルで各パートがくっきり分離してるイメージですよね。僕もどっちかというとCDを聞く頻度の方が高いかな…。

◆僧さん
ストーンズは、ほんとに時代によって演奏ががらっと変わりますね。78年は心身のコンディションは最高。かつパンクへの危機感&新曲盛り沢山という状況でなかなかチャレンジングな年だったのでは?狙ってるところもあるんでしょうが、このバンドは意外にメンタルな部分も大きくプレイに関係するのかな、という印象を持ちました。

>まさかまさかのWe Had It Allのオフィシャル化も驚きました。しかも巷の音とはテイク違いだし・・・。

あ!例の「女たち」デラックス、もうお聴きになったんですね。僕は日本盤発売まで待ちたいと思いますが、これは楽しみです。しかし、こういうのがぼんぼん出るとブート屋はほんとに商売あがったりですね(苦笑)。

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