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2012年4月 7日 (土)

LENNY KRAVITZ BLACK AND WHITE JAPAN TOUR 2012 DAY-2,3

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去年、レニー・クラヴィッツは、新譜「ブラック・アンド・ホワイト・アメリカ」をリリースしてすぐの時に、今度のツアーではぜひ日本にも行きたいと発言している。それはよくあるリップサービスっぽい感じではなかったので、これは本当に来るんじゃないかと思っていたら、それからすぐに来日公演が発表に。これは嬉しかった。その頃は原発事故による放射能の影響を恐れ、外タレが軒並み来日をキャンセルしていた時期だ。それなのに、レニーは8年ぶり(単独公演はなんと14年ぶり!)にこんな日本に来てくれるという。その気持ちだけでも嬉しいじゃないか!Let Love Ruleを歌ってるのは伊達じゃないと思った。さすがレニーちゃん、愛の人!(笑)
おまけに会場は東京ドームシティホール(以前のJCBホール)ときた。ここはホールといっても客席とステージの距離が近く、まるでライブハウスみたいな雰囲気の会場だ。レニー・クラヴィッツといったら、海外ではスタジアム級の会場でコンサートをやるスーパースター。今回もてっきり武道館だとばかり思ってたのに、こんな小さなハコでレニーを見られるなんて!ずいぶん待たされたけど、日本のファンはある意味幸せだと思う。
この時点で僕はこのツアー、スタンドとアリーナの2回見ることに決めた。だって、せっかく14年ぶりに来てくれるんだぜ。こっちも楽しめるだけ楽しまなきゃ!

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たぶん、会場に集まった人たちも僕と同じようにレニーを心待ちにしていた人が多かったのだと思う。僕は東京3公演の2日目と3日目に行ったんだけど、どちらも会場はすごい盛り上がりだった。
それに呼応するかのようにレニーも終始ご機嫌。観客の歓声に笑顔で応え、ステージから身を乗り出すようにしてギターを弾いたり、前列のファンに手を差し出して握手したり。
2日目のMCでは、長い間日本に来てなかったことを謝り、変わらず応援してくれる観客に感謝の気持ちを述べ、これからはもっとちょくちょく来るようにするよ、と言っていた。これは社交辞令じゃなく本気だったと僕は思ってる。僕は事前にYouTubeでブラジルでのフルライブ映像をチェックしていたんだけど、その時と比べても東京公演はレニーのフレンドリーさが際立っていた。たとえば、ブラジルでは終盤までグラサン姿だったのに、“久しぶりに日本に来たから、みんなの顔をちゃんと見たいよ…”みたいなことを言ってサングラスを開始早々ととってくれたり、ファンの求めに応じて、その人のサングラスをかけてくれたりもしていたぐらい。
オレ、このライブでレニーに対する印象がかなり変わったなあ…。以前はけっこうカッコつけな人かと思ってたんだけど(苦笑)、実際はサービス旺盛なエンターテイナー。なんか、その辺にいる街の兄ちゃんみたいだった(笑)

そんな気さくな印象とは対照的に、バンドの演奏はとてもパワフル。ボーカル&ギターのレニーにもう一本ギターが加わり、ベース、ドラム、キーボード、3人のホーンセクションからなる8人編成のバンドは、腕の立つミュージシャンばかりで、ハード・ロッキンなプレイからファンク、ソウルフルなバラードまで何でもござれだ。
特に、長年の相棒クレイグ・ロスの存在は大きいと感じる。レッド・ツェッペリンばりのカッコいいギターリフの曲は、たいていこの人がレスポールを弾いてるし、レニーと背中合わせでギターソロを交換し合うシーンは、ロックファンには堪らないカッコよさだ。
リズムセクションの強靭さも特筆もの。筋肉隆々な黒人ドラマーのビートにぶっとく絡む女性ベーシスト、ドーシーは最高にクールだった。この人、6日は裸足でステージに立ってたかと思えば、7日にはスキンヘッドにカチューシャみたいなのを付けてたり、ルックス的にもかなり目立ってたっけ。
最高のバンドを従えて、レニーのボーカルも冴えに冴えていた。ビートに身体をくねらせながら、ハードなシャウトも甘いファルセットも自由自在。ギターもギンギンに弾きこなしていて、過去2回の来日予定が体調不良で中止になったことが嘘みたいだった。新作アルバムでも感じられたけど、今、レニーはキャリア的にもノリにノってるんだろう。

セットリストは基本的に2日とも同じだったんで、印象に残ってることをざっくばらんに。
1曲目の「Come On Get It」はオープニングに相応しいへヴィ・ファンキーなナンバー。ストロボライトの瞬くステージにレニーが姿を現した時は、あまりのカッコよさに大興奮してしまった。この後の「Always On The Run」、「American Woman」まで、立て続けにアッパーな曲が続く構成もGOODで、アリーナはもう最初からディスコ状態だった。

4曲目の前に長めのMCが入る。僕は英語が苦手なんで細部までは聞き取れなかったんだけど、2日とも微妙に違うエピソードを交えて、外タレにしてはかなり長く話をしていたと思う。
6日は前にも書いたように、これからはちょくちょく日本に来るようにするみたいなことを言ってたんだけど、7日は日本人の態度や人との接し方、習慣などの例を挙げて、他の国とは違う“natural”さがある、みたいなことを言ってくれてたんだよね。それと、次は1年半以内にまた来ると約束もしてた。レニー、間違いなく日本が好きなんだと思います。考えてみたら、この人はデビュー間もない頃、1ヶ月近く日本をツアーで回って、清志郎と共演したこともあるんだよね。

MCの後が「It Ain't Over 'Til It's Over」。これ、流行ったなあ…。フィリー・ソウルっぽい曲で、これを聞くと、オレは90年代のクラブ文化みたいなのを思い出しちゃう。レニーはセミアコを手に歌っていて、間奏の甘いトーンでのギターソロもスタジオバージョンに忠実に再現していた。

この後、「Mr. Cab Driver」と「Black And White America」を続けて演奏したのには、ちょっとしたレニーのメッセージがこめられていたような気がする。どっちもアメリカでの人種差別問題みたいなことを歌ってるからね。「Mr. Cab Driver」の終盤は、哀愁を帯びたトランペットの長いソロが挿入され、これにレニーがソウルフルにボーカルを絡めたところで「Black And White America」が始まる。これはなかなかカッコいいアレンジだった。ダンサブルなんだけど聴き込んでしまう感じで、僕はちょっとジェームス・ブラウンのステージを思い出した。レニーはソウルの系譜も継承してるんだと思ったなあ。

中盤はミディアムな曲をいくつか続けた。懐かしい「Fields of Joy」は、間奏での闇を切り裂くようなクレイグ・ロスのギターソロが印象的。やっぱりこの人、強烈なツェッペリンフリークだと思う。続く「Stand By My Woman」は、スタジオバージョンのとおり、ドラムの音がジョン・レノンの「マザー」そのまんまだ。次の「Believe」もギターソロがツェッペリン風味。なんか、この辺は70年代ムードぷんぷんだったなあ…。僕もしみじみ思った。やっぱオレはこういう世界が好きなんだと。最高に幸せな気分だった。

終盤はハードロック的なナンバーとファンクの波状攻撃で、アリーナはとんでもない盛り上がりになる。
最初の爆発は、ロスが「Rock And Roll Is Dead」のリフを弾きだした時だ。このリフは超絶的にカッコいい! 僕もこのあたりから頭の中が真っ白。特に7日はアリーナにいたもんで、我を忘れて汗だくで盛り上がってしまった。この曲、“ロックンロールは死んだ”という逆説的なフックがむちゃくちゃカッコいい。最高にロックしてる瞬間にいるってのに、歌われてる歌詞は…だもんね。
続いて「Rock Star City Life」をやっちゃうあたりがレニーのニクいところ。ロック繋がりでうまく纏めてます(笑)。この後の「Where Are We Runnin'?」も疾走感たっぷりで、脳内アドレナリンがぐんぐん沸騰してくる。

個人的に好きな「Fly Away」はライブで聴いても最高にカッコよかった。レニーの呼びかけで観客もサビを歌い、会場はすごいいいムード。

本編最後はお約束の「Are You Gonna Go My Way」。レニーったら、6日にはご丁寧にも“今日本ではCMで流れていて…”なんて言ってたっけ(笑)。そういえば、開演前にはCMスポンサーのウィルキンソンがステッカーを配ってたから、レニーも気を使ったのかな?(笑)
この曲はなんと言ってもレニーとロスのダブルギター・サウンドが凄い。ステージの照明が一度消え、フライングVを手にしたレニーのシルエットが見えるだけで、観客は何が始まるか気が付く。で、イントロ一発でアリーナは完全にぶっ壊れた(笑)。6日、スタンドから見ててアリーナが一斉にジャンプしてるのは壮観だった。7日は僕もアリーナでジャンピング。完全に壊れました(笑)。エンディングはレニーがアンプにギターを押し付け、フィードバック音を会場いっぱいに響かせた。

アンコールは「Let Love Rule」。これまたサビは会場一体で大合唱になった。
そして、レニーはステージを降りてアリーナの周りを歩き始め、後方から2階指定席あたりまで上がって歌いながら会場をゆっくりと1周した。これ、実はこのツアーでのお約束で僕は事前に知ってたんだけど、知らなかった人も多かったみたいだ。レニーを間近にした女性ファンなんか、もう大興奮状態で、我を忘れて抱きついたりしてる人もいた。
何を隠そう、僕も2日目はアリーナだったんで、この瞬間は会場後方に大移動。スーパースターをわずか2mぐらいの至近距離で体感しました。はい、ワタシも相当ミーハーであります(笑)
その後、ステージに戻ってサビを観客と大合唱し、エンディングを延々引っ張る。たぶん、Let Love Ruleだけで20分位演奏したんじゃないかなあ?このあたりはソウルショー的な要素もあった。
全体で2時間弱。終わってみると短かったような気もするが、これだけ内容が濃いライブなんだから、このぐらいの長さでちょうど良かったような気もする。

セットリストは2日とも基本同じだったんだけど、6日はアカペラで“Sister”をワンフレーズだけ歌ってくれた。7日はアンコールで“Let Love Rule”の前に「Push」が演奏された。これは、マイクを持ったレニーとアコースティックギターのロスだけが出てきて、ステージ最前列の階段に腰かけて歌われ、東京最終日ならではのスペシャル感満点だった。

MCで印象に残ったのは、6日のアンコール前、“震災や津波を乗り越えた日本の人たちに感動した”みたいなことを言っていたのと、7日の「Are You Gonna Go My Way」の前に言ってた“この曲をジム・マーシャルに捧げる”っていうフレーズ。PAはステージ後方のピラミッド型のオブジェに入ってるんで、実際にマーシャルが使われてたかどうかはわからなかったが、この言葉にはジム・マーシャルも天国で喜んでると思うなあ…。

それにしても充実した2連荘ライブだった。ロックをたっぷり身体に注入した満腹感で一杯。こういう充実感は久しく味わってなかったなあ…。なんだか、ローリング・ストーンズのライブを観に、連日ドームに通ってた頃のことを思い出した。

そうそう、レニーは“1年半以内に戻ってくる”と確かに言ってたぞ。噂では、早くも新作アルバムの製作に着手しているらしいから、今度はそれを引っ提げてのツアーってことかなあ?オレはレニーの言葉を信じてる。またこのホールでやって欲しい。そしたら今度は全公演見に行きたい。またアリーナで我を忘れて盛り上がりたい!
レニー・クラヴィッツは間違いなく21世紀のロックのキャスティングボードを握っている男だ。同世代だし、これからもずっと追っかけていたいと思う。90年代以降、そんな風に思わせてくれるロック・ミュージシャンは本当に少ないのだから…。

LENNY KRAVITZ BLACK AND WHITE JAPAN TOUR 2012
BASIC SET LIST

1.Come on Get It
2.Always on the Run
3.American Woman
4.It Ain't Over Till It's Over
5.Mr. Cab Driver
6.Black and White America
7.Fields of Joy
8.Stand by My Woman
9.Believe
10.Stand
11.Rock and Roll Is Dead
12.Rock Star City Life
13.Where Are We Runnin'?
14.Fly Away
15.Are You Gonna Go My Way
Encore:
16.Let Love Rule

<BAND>
LENNY KRAVITZ : vocal / guitar
CRAIG ROSS : guitar
Gail Ann Dorsey : bass
GEORGE LAKS : keyboards
Franklin Vanderbilt,Jr : drums
Ludovic Louis : Trumpet
Gabrial McNair : Trombone
Harold Todd : Sax

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