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2012年4月26日 (木)

蔵出しストーンズ

73このところ、ローリング・ストーンズの蔵出しリリースからまったく目が離せないでいる。

去年の秋、ストーンズは突然専用のサイトを起ち上げて、過去のライブ音源のダウンロード販売を始めたのだ。
今のところ入手できる音源は、73年のヨーロッパツアー、81年のアメリカツアー、75年のアメリカツアーの3つ。最初に73年モノが発表されて大騒ぎになったのが去年の11月だから、半年も経たないうちに、僕らは超お宝音源を3つもゲットしてしまったことになる。さらっと書いてるけど、これってとんでもないことなのですよ…。

もともと、ストーンズは公式音源より裏音源のほうが評価が高いという変なバンドだった(苦笑)。上に挙げた3つのライブも、ファンの間では名演としてずっと語られてきたものだったのだが、公式には出てないんだから、聴こうと思ったらイケナイことだと知りつつもイケナイ店に行くしかなかったのだ。それが今や、パソコンさえあればいつでもどこでも安く手に入れられるようになった。これは画期的なことなのだ。なにより、イケナイことをしている後ろめたさが全くないってのは精神衛生上とても良い(笑)。大げさに言うと、これはロックの流通革命なのではないか?(笑)。
そう、この蔵出しビジネスは、明らかにブートレッグ業者をも意識している。それはタイトルにブートレッグで出てた時のものをそのまま使っていることからもわかる。これをやられちゃ、海賊版を作ってボロ儲けしてる業者はぐうの音も出ないだろう。ブートの存在理由は完全になくなった。
こんな展開はわずか1年前までは想像すらできなかった。いやあ~長生きはするもんだ。もし、タイムマシンで大学時代の僕にこの話をしに行ったら、きっと地団駄踏んで悔しがるだろう(苦笑)。

それにしても、こうやって改めて聴いてみると、ストーンズのプレイは時代時代でまるで違う。ちゃんとミックスされたクリアな音で聴くと、簡単なことばかりやってるのに、なんと細かいのかと感心してしまうのだ。
81
いまのところ、僕が一番よく聞いてるのが、81年アメリカツアーを収録した「Hampton Coliseum」。あーやっぱり好きだなあ~81年。73年のハードロック的な演奏も、75年の派手派手な感じも捨てがたいけど、僕はやっぱり81年の軽快さがたまらなく好きだ。チャーリーのドラムも、ビル・ワイマンのベースもシンプルの極みなんだけど、ものすごくスイング感が出てて、それがボブ・クリアマウンテンのミックスですごく聴き易くなっているのが嬉しい。
それになんつってもこのセットリストが最高。「悪魔を憐れむ歌」とか「ミッドナイト・ランブラー」とか、そういう大袈裟なヤツはあえてやらずに、「夜をぶっ飛ばせ」とか「ネイバース」とか、ひたすら小回りの利くR&Rで押しまくっている。これがすごく気持ちイイのだ。
これ、絶対狙ってやってるよ、ヤツらは。僕はストーンズのツアーには、絶対その時その時で裏テーマがあると思ってるんだけど、81年の裏テーマは“ひたすらR&RとR&Bをやる”だったんじゃないだろうか?「20フライトロック」や「ジャスト・マイ・イマジネーション」をカバーしたのもそう考えると納得がいくだろう。
高校生の頃にこのツアーの音源を初めて聴いたときは、ライトなタッチが妙に軽く感じられもした。ツェッペリンと比べるとストーンズは全然風格無いなあ~とかね(苦笑)。だけど、すぐにカッコよさに気が付いた。“あえてやってる”のだ、ストーンズは。R&Rのカッコよさってのはコレなんだ。
La
はっきり言うと「レット・ミー・ゴー」や「氷の如く」なんてのは、100年先も憶えられてる曲ではないと思う。いわゆるB級R&R(苦笑)。でも、そのB級臭さがなんとも言えずイイのだ。考えてみれば、ジョニー・サンダースの曲やイギー・ポップの曲なんて、ロック御三家の超A級曲と比べれば全部がBクラスみたいなもん(苦笑)。でも、B級R&RにはB級R&Rなりのたまらないカッコよさがある。喩えて言えば、酒飲みはいつも大吟醸ばかり飲んでるわけじゃない。ほんとの酒好きは二級酒の旨味もちゃんと知っている。そういうことに気付かせてくれたのもローリング・ストーンズだったんだなあ~って、ダウンロードした「Hampton Coliseum」を聴いていて、つくづく思った。

しかし、何度もいうようだけど、こういう時代が来るとは夢にも思わなかったなあ…。
そもそも僕は、過去の貯金にはいっさい手を付けないのがストーンズの美学だと思っていた。それが今や何が出ても不思議じゃない状態。次は81年のマディ・ウォーターズとの共演が出ることが発表されてるし、76年のネブワースやエル・モカンボ完全版なども噂されている。やると決めたらとことんやるのだ、ストーンズは。
ネット配信とCD&DVDという従来メディアを使い分けるやり方もストーンズならではだ。最近はいろんなバンドがアーカイブビジネスに手を染めているけど、ここまで徹底してやっているバンドは他にない。ストーンズが今やっていることは、キャリアの長いバンドのビジネスケースとしても、先駆的なことなのだ。

ただですね、ファンとして勝手なことを言わせてもらいますが、ちょっと出し過ぎ(笑)。嬉しいんだけど、ちょっと待て。これほど短いスパンでリリースしてくるとは思いませんでしたわ(笑)。
なにしろ、去年はCDやDVDでも「テキサス78」や「女たちデラックスエディション」が出ている。それに怒涛のライブ蔵出しだろ?これ全部を隅から隅までじっくり聴いてる人ってほとんどいないと思うんですけど(苦笑)。そんな膨大な時間、仕事人が持つのってまず無理。もうちょっと小出しにしたって誰も文句言わないと思うんだけど。ストーンズよ、何をそんなに生き急いでいる?(笑)

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コメント

俺は75年はまだ聴いてないんですが・・・。
ずっとこういうのやらなかったのにやり始めたらとことんなのはらしいですよね、確かに。

『ハンプトン』は俺らの年代だと思い入れ深い時期ですよね。
この時期のは当初喜んで聴いてて、いろいろ判ってくるとHAGAさんの仰る軽さに違和感感じたりもして。
で、今回聴いて改めていいな、と。
判ったつもりで居たけどちっとも判ってなかったんだなぁ。

でも出しすぎですよね、やっぱり(笑)

投稿: LA MOSCA | 2012年4月29日 (日) 22時17分

Hampton Coliseum !! 帰省の車の中で聞いてます。
軽快なロックンロールを聞きながら、高速を走っていると
スピードが出てしまって、困りますわ。
ネイバースの疾走感が最高!

投稿: おぎょ | 2012年4月30日 (月) 21時48分

◆LA MOSCAさん
すいません、レスが遅れてしまいました。連休に突入してしっかり休みボケしてました(苦笑)。

今回のアーカイブ祭りで、僕は改めてライブでのストーンズの奥深さを感じてます。
『ハンプトン』に思い入れたっぷりなのは勿論なんですけど、こうやって聴いてると、75年もすごくイイんですよねえ~。しかも、LAのはLOVE YOU LIVEとはまた一味違う荒々しさがたまらなくカッコいいです。派手派手でファンキーでパワフル…。やっぱり、この時期のストーンズは圧倒的なエネルギーですね。

若いストーンズ…。やっぱ最強です!
こんなスゴイのをこんな短いスパンでスパスパ出すって、なんだかもう夢みたいですよね。

投稿: Y.HAGA | 2012年5月 7日 (月) 10時02分

◆おぎょさん
ほんと、Hampton Coliseumはある種の“軽さ”が気持ちイイですよね。
僕は最近このライブでのLET IT BLEEDがお気に入りです。高校生の頃、例の映画でこの曲のライブ・バージョンを初めて聴き、よりカントリータッチの強いアレンジに目の覚める思いがしたことを憶えてます。今回、それがよりクリアな音で聴けるようになりましたが、後半ロニーとキースが交互にソロを絡ませ合うのが、たまらなく好きです。
もう、ずーーーーーっと聴いてたい感じ。夏の昼下がりにビールでも飲みながらコレ聴いてたら幸せだろうなあ…。

投稿: Y.HAGA | 2012年5月 7日 (月) 10時10分

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