祝!ThumbsUp『Jumping!! Night!!』仲井戸"CHABO"麗市 with 早川岳晴 / 2012年5月5日(土・祝)横浜Thumbs Up
Thumbs Up 14th ANNIVERSARY LIVE 祝! ThumbsUp 『Jumping!! Night!! 』
出演:仲井戸"CHABO"麗市 with 早川岳晴
OPEN17:00/START18:00/ADV¥6000
うん、これぞCHABO!このところイベントや他のミュージシャンとの共演ライブが続いていただけに、久々にCHABOの世界を堪能できたように思う。去年一年かけて行われた“恩返し”シリーズも悪くはなかったんだけど、あれを見ていると、僕はどうしてももっとCHABOのソロを長く聞きたくなってしまって軽く要求不満になってしまっていた(苦笑)。そんな渇望感は、きっと僕だけではなかったんだと思う。会場のサムズアップはとにかくすごいお客さんの数だった。サムズアップには何度も来ているけど、うーん、ここでこれほどのお客さんを見たのは初めてかも。ここは基本的にテーブル席でゆったり食べたり飲んだりしながら音楽を聴くお店なのだけれど、この日は会場後方のテーブル・椅子が最初から取り払ってあり、あらかじめ立ち見スペースを確保してあった。でも、そこもあっという間に人で埋まり、店内は立錐の余地もないぐらいの熱気だったのだ。
そんなお客さんの期待に応えるように、CHABOのプレイは最初からキレキレだった。このところライブが続いているためか、声も良く出ていて、いい意味でリラックスしているようにも見えた。このいい意味での余裕は、ライブが完全なソロではなく、長年のパートナー早川岳晴とのデュオスタイルだったことも大きかったんだろう。「ギブソン(CHABO'S BLUES)」に代表されるように、早川さんが隣にいると、CHABOのギターは明らかに手数が多くなる。やっぱり、この二人のコンビネーションは最高だ。CHABOが心から早川さんを信頼してギターを弾きまくってるのがよくわかる。
セットリストは、2010年に二人で全国を回ったGO!!60ツアーのものがベースで、そこに新曲やカバーを足していったような感じだった。休憩なしで二時間半はCHABOんしては短いという印象を持った人もいたかもしれないが、僕はかえって凝縮された内容になっていて良かったと思う。
新曲は、CHABO曰くヴァン・モリソンを意識したという「つぶやき」という曲。こいつがまた最近のCHABOには珍しいぐらいに土臭いブルースで、ファンは大喜び。早川さんのウッドベースとCHABOのギターの絡みもスリリングで会場はぐっと盛り上がった。
カバーでは、ザ・バンドの曲が心に残った。この日はライブ終了後のSEもザ・バンドだったし、MCでもザ・バンドについてかなり多く話をしていた。元メンバーのリヴォン・ヘルムが4月に亡くなったばかりだからだからなのだが、CHABOはこの訃報が残念でならないようだ。
CHABOの話を聞いていて、僕はCHABOのザ・バンドに対しての想いは、彼らの音楽に強く惹かれていることはもちろんだけど、忌野清志郎との思い出と重なっている部分も大きいんだろうなあと思った。たとえば、ザ・バンドのオリジナル「The Moon Struck One」にCHABOが日本語詞を付けた曲のタイトルは、「僕らのビッグピンク」だった。かつてザ・バンドの面々がウッドストックに籠って自分たちの音楽を作り上げていたのを、清志郎と時の経つのも忘れて曲作りに励んでいた若き日の自分たちに重ねたに違いない。
CHABOのライブには、こういう生きていく上での切なさや、過ぎて行く時間を慈しむような瞬間がある。こういう、胸に迫ってくるような哀愁は、他のミュージシャンのライブではなかなか味わうことができない。RCナンバー「君が僕を知ってる」は、客とCHABOが一緒に歌うのだが、こういう空間は、一緒に歳を重ねてきたファンを多く持つミュージシャンだからこそ成り立つものだ。この歌を歌うのが一番似合う人は、もうこの世にいなくなってしまったけど、歌そのものはこうやって生き続けていくものなのだ。僕自身は、RCの曲も前よりだいぶ落ち着いた気持ちで聴き、口ずさむことができるようになってきたと思っている。人生ってのは楽しいことやうまくいく場面ばかりじゃない。こういう哀しみを抱きながらも生き続けることが大人になるっていうことなのかもしれないなあ…。そんなことをふと思った。
全体的にじっくり聞かせる曲が多かった印象があるけれど、もちろんしんみりする展開ばかりではなかった。アンコールで演奏された「Route 66」やマーサ・アンド・バンデラスの「Dancing In The Street」は、客とのコール・アンド・レスポンスも含めて盛り上がった。
「Dancing In The Street」は、早川さんのエレキベースも聴きものだ。IbanezのMCはぶっとくて大蛇がとぐろを巻くような重低音を響かせる。GO!!60ツアーでもそうだったけど、僕はこの曲を弾く早川さんが大好き。まるでシンセベースみたいな音色でぐねぐね動くベースラインは、この曲が単なるモータウン・カバーに陥らず、独特の浮遊感を持ったアレンジになることに成功していると思う。
ラストの「Hobo's Lullaby」までぴったり2時間30分。CHABOの魅力がぎゅ~っと凝縮されたような良いライブだったと思う。
他のミュージシャンと一緒にステージに立つCHABOもいいが、今年は単独名義でのライブもたくさんみたいなあと思わされる夜だった。
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