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2012年7月17日 (火)

福島へ帰る

先週の木曜から日曜にかけ、福島へ帰った。
週末には気になるライブやイベントもあったんだけど、それらは全てキャンセル。ライブや映画も大切だが、僕にとって今は、故郷の街に寄り添う時間を何よりも大事にしたいと思ったのだ。

両親の住む白河をベースに、いわき市、郡山市、福島市を廻り、3.11後の傷付いた故郷の今を見た。
改めて思ったこと。それは3.11後の世界の解り難さだ。今何が起きているのか、これから何が起きようとしているのか、もしかすると何も起きないのか、それが誰にもわからない。今、福島は“わからないこと”による大きなグレーの霧の中にある。その解り難さは、原発のある町よりも、むしろそこからある程度離れた地域、それこそ両親の住む白河市あたりで一層際立っているように感じられた。

ただ、この解り難さは、日本全体に漂っている空気と同質なのではないかとも思うのだ。

いわき市のある人は、原発から半径20キロ以内なんて二度と人が戻れないだろうと言っていた。
福島市に住む友人は、そんないわきを含む福島の浜通りなんてもはや人が住む所ではないと言う。
会津に住む人たちは、福島も郡山も白河も既に放射能を被っているんだから、もうみんな町を出るべきだと思っているらしい。
東京では福島県全体がもはや人が住む所じゃないと思っている人も多い。
関西の人たちから見れば、もはや東日本全体が多かれ少なかれ放射能に汚染されているように思われている。
そして、外国からは原発事故の影響は日本全体に及んでいると思われているのだ。

結局そういうこと。自分の住んでいる町から一歩も出ずに双眼鏡で世界を眺めているだけなら、それぞれの立ち位置から見方が違ってくるのは当たり前。
もはや、僕らは個人個人の判断基準をもって、このグレーな世界を生きていくしかないのだ。数字と確率と自分の暮らしとを勘案し、ある者は今までどおりの暮らしを続け、ある者は新しい町で暮らすことを選ぶ。100人の人がいれば100通りの生き方があるのだから、その判断にも100通りの基準があるのは当然だ。それに関して外の人間が安易な意見を挟むべきではないと僕は思う。3.11後、僕らはそうやって生きてくしかなくなってしまった。

僕の両親は、3.11後も福島県白河市で生活している。福島を出ることは全く考えていない。本当は僕だって不安だ。しかし、両親のこれまでの生き方と歳を考えると、無理に東京に出ることを勧めることはどうしてもできない。
福島に滞在中は、僕も庭の家庭菜園で採れた野菜を口にし、夜は父と地元の酒を酌み交わした。
翌朝はランニングシャツを身につけ、朝靄に包まれた街中を20キロ黙々と走った。
僕の故郷への接し方は、3.11以前と何も変わっていない。

いや、やっぱり変わったかな…。僕は無理やり“以前と何も変わってない”と思い込もうとしている。
心の奥では、放射線量、土壌、食べ物、川の水、それらがどうしてもグレーに見えてしまうことは否めない。
見た目は昔と何も変わっていない町を走りながら、何故かわからないが、僕の胸には激しい怒りがこみ上げていた。

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