欧州サッカー開幕
まだまだ残暑は厳しいけど、8月下旬になっていよいよヨーロッパではサッカーシーズンが始まった。
これから来年の春にかけて、僕は遠いヨーロッパに思いを馳せながらテレビで試合を追いかける日々を送ることになる。これまでだと、僕の観戦スケジュールは9月末から始まるチャンピオンズリーグを中心に組まれ、毎週の各国リーグの気になるカードを加えていくパターンだった。そんなここ数年のパターンが、去年ぐらいから変化し始めている。言うまでもない。欧州の強豪クラブに、日本人選手が所属するようになったからだ。
去年はイタリアの超名門インテルで長友佑都が初めてフルシーズンを迎えた年だった。去年の長友はチーム全体が不調だったことも影響してか、現地マスコミの批判にさらされることも多く、波の激しいシーズンになってしまった。でも考えてみたら、結果的にはビッククラブで一シーズンぶっ続けでレギュラーを務めたことになるわけで、これはあの中田英寿ですら経験できなかったことだ。これだけでもとんでもなく素晴らしいことだと僕は思う。
そして僕の方は、気がついたら去年はインテルの公式戦をほとんど全部観てしまっていた(苦笑)。もう、バルサもガナーズも後回し。完全に観戦はインテル中心になってしまった。インテルのリーグ順位に一喜一憂し、試合が終わった瞬間から、もう次節の対戦カードを気にかけてしまう日々。そして、何よりもビッククラブで奮闘する日本人・長友の活躍ぶりが気になって気になってしょうがない…。そんなシーズンだった。
こんなことは、去年が初めての体験だったのだ。これまでも、一サッカーファンとしてプレイスタイルの好きなアーセナルやバルセロナあたりのスペクタクルなサッカーを充分に楽しんではいた。でも、正直言ってそれは今思えばちょっと他人事的な関わり方でもあったように思う。そりゃあ、バルサがレアルに負ければ悔しい。でも、悔しいけどレアルがバルサ以上に素晴らしいサッカーを展開してくれていれば、それはそれで良いサッカーを見れたことに満足感を覚える自分がいた。
だけど、チームに日本人選手がいるとなれば応援の本気度が全然違ってくるのだ。インテルは、長友が入ったその日から、僕にとって特別のクラブになってしまった。正直言うと、インテルのサッカーはあんまり僕の好きなスタイルではないのだけれど、もうスタイルがどうこうなんて言ってられない。気が付いたら、僕は俄かインテリスタになってしまっていた(笑)。結果的に、試合のほとんどを追っかけ、他にもお気に入りの選手ができ、監督の采配にまで思いを馳せてしまっていたんだから…。
今年はこの観戦ローテーションに香川真司の加入したマンチェスター・ユナイテッドが加わることになった。マンUはチャンピオンズリーグにも出場するから、ますます睡眠時間が短くなる(笑)。でも、これは嬉しい。うーん、楽しみだ!
幸いにして、長友も香川も開幕から堂々のスタメン入りを果たした。香川に至っては2節目でゴールまで決めてるんだから大したもの。長友にしても、新加入したカッサーノとのコンビネーションは良好のようで、一節目はフル出場。かなりいい動きをしていたと感じる。
不安材料がないわけではない。まず、香川は今のところ日本はもとより現地でも気持ち悪いぐらいに高い評価を得ているが、僕から見ればまだ全然だ。香川の持ち味は、相手ペナルティエリアに侵入した時の卓越したボールコントロールにあると思うのだが、それがほとんど見られていないではないか。だいたい、マンUというチームは外からの崩しばかり多用するんで、トップ下の香川にあまりいいボールが入ってこない。これは香川が味方の信頼をまだ完全には得られていないからなんじゃないだろうか?プレミア特有の荒っぽいフィジカルコンタクトに、華奢な日本人体系の香川が耐えられるのかも心配だ。
長友に関しては、一節目のような動きをシーズン中ずっと続けられれば、まず大丈夫だと思うんだけど、去年みたいに攻め上がりすぎて背後を突かれるようなことが目立つと、同じポジションの若い選手が移籍してきてるんで、あっという間にレギュラーの座を奪われるだろう。そう思うと、またハラハラしながらインテルの試合を見続けることになるんだろうなあ~(苦笑)。
でも、ほんとにこれって少し前までは考えられなかった夢のような状況なのだ。だって、ヨーロッパ最高レベルのリーグのこれまた超ビッククラブに、日本人が2人も所属してるんだよ。宮市や李だって実績挙げてビッククラブに移籍するかもしれない。もう欧州サッカーは海の向こうでやってるのを「鑑賞」するのではなく、「当事者」として感じるものとなったのだ。これが僕にはたまらなく嬉しい。
今の日本のサッカーファンってのは、ヨーロッパでいえばベルギーとかスェーデンのサッカーファンみたいなポジションなのでは?つまり、身近な国内リーグを観ながら、国外のレベルの高いリーグ、セリエやプレミアで活躍する自国の選手を熱く応援しているみたいな感じ。
やっと、やっとここまで来たのだ。夢なら覚めないで欲しい。サッカーを見ていると、本当に浮世の戯言なんて一時だけでも忘れていられる。今はあんまりいい時代ではないのかもしれないが、サッカーに関しては、確実に日本は進歩していると言い切れるのが、僕にはたまらなく嬉しいのだ。
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