吾妻光良 & THE SWINGING BOPPERS LIVE / 7月18日・渋谷クラブクアトロ
いやあ~バッパーズってツアー中だったのね。全然知りませんでした。だって、この人たちとツアーって全然イメージ結びつかないんだもん。去年東京キネマ倶楽部で2日間連続講演をやった時も、吾妻さんは“いやあ、2日続けてライブやるなんて初めてなんです”なんて言ってたぐらいだからね(笑)。
全員が本業を持ってるサラリーマンだからか、ライブ本数の極端に少ないバッパーズなんだけど、夏前のこの季節は毎年必ず渋谷クアトロでライブをやってくれる。今回はそれに加え、バンド結成30周年を祝う東名阪のクアトロ縦断ツアーの千秋楽ということになった。ツアーってのはそれのことね。ただ、それも数ヶ月もかけて名古屋と大阪と東京をやっただけなんだけど。んー、これもツアーっちゃあツアーか(苦笑)。
今年に入ってライブCDやらDVDやら怒涛のリリースの続くバッパーズ。なんと夏には幾つかのフェスにも出るみたい。おっさんたち仕事は大丈夫なの?って思わず突っ込みたくなるけど、老いて(失礼!)ますます元気な吾妻さんたちに、まずは拍手だ。
大阪や名古屋ではサケロックや大西ユカリ姉御なんかがゲストに出たらしいけど、渋谷のゲストはLeyona!イェーッ!これは行くしかねえべ?(笑)
僕はこの日仕事だったんで、会場時間をかなり回っての入場だったんだけど、運よくステージに向かって右側の柱の前をキープできた。ちょっと右に寄り過ぎでホーン隊やドラムの岡地さんは良く見えないけど、フロントの吾妻さんやピアノの早崎さん、ベースの牧さんなどはバッチリ見える。
それにしてもよく入ってたなあ、クアトロ。フロアは立錐の余地もないぐらい。ロック小僧、フェス好き人種、ブルース親父、流行もん好きな若者、お洒落なお姉さん。なんと、子供を連れて来た若いお母さんまでいた!こんだけ幅広い客層を集めるバンドは日本にはそうないだろう。これも、バッパーズの理屈抜きに楽しい音楽性と吾妻さんのチャーミングな(笑)キャラクターゆえなんだろうな。
ライブは定刻の18:00を少し回って始まった。セットリストはいつもどおりっちゃあいつもどおりなんだけど、吾妻さんはいつも以上にご機嫌でばりばりギター弾いていた。
まるでジミー・ペイジみたいなダブルネックのギターを抱えて出てきた吾妻さん、もう、それだけでどっと笑いが起きちゃうのよ。だって、全然似あわねえんだもん(笑)。
でも、弾き出すとパキパキにブルージーな音色が飛び出す。あんなロッキンなギターでこれだけスィンギンなフレーズが弾ける人ってそうそういない。昔、誰かが日本で一番ブルースギターが上手いのは内田勘太郎と吾妻光良だ、なんて言ってたけど、それもうなずけるなあ。
冷静に見ると、吾妻さん、とんでもなく巧いんだけど、冷静に見ないとそう感じさせないところがまたスゴイ(笑)。この日は異常にていねいに(笑)チューニングしてたけど、これも普段はけっこう適当でぱーっとやっちゃうし、ギターも何社の何年ものとかじゃなく、その辺のショップ製の安いものを使ってるみたい。例のダブルネックなんて、見た目はギブソンだけど、実は昔、三鷹楽器(!)で7万円で買ったっていうんだから…。それも悩みに悩んで、半分にすれば3万5千円だからって自分をむりやり納得させた上での購入なんだって(笑)。
でも、安いギターだろうが、無名のメーカーだろうが、何で弾いても何を弾いても吾妻さんの音色になっちゃう。すごい事を笑いながら軽くやっちゃってる。なんてカッコいいおっさんなんだって思うよ、ほんと。
この日の吾妻さんはMCも絶好調。やっぱこれはツアーで回ってたからってこともあるんでしょう。客席からはどっかんどっかん笑いが起きていた。
一番笑ったのは、白いシャツを着てるネタばらし。この日、吾妻さんは厚いのに上着も脱がずにプレイしていた。オレも、なーんかステージの吾妻さんの容貌がいつもと違う気がしてたんだな。よくよく考えたら、今日の吾妻さん、シャツが白い(笑)。いつもは赤いシャツにねずみ色の上着を合わせるのが定番なんだけど、今日は白シャツ。何故に?
理由は吾妻さん自らが明かしてくれました。家に忘れたそうです(笑)。そんで、スタッフに一万円渡してなるべく安いシャツを探してきて!って頼んだそうな。スタッフ、見つけてきました。ゼンモールで500円のワイシャツを(笑)。吾妻さん、ご満悦だったんですが、今度はライブ中上着が脱げなくなってしまった。500円の生地の薄い白シャツで暑い中演奏してたら、当然汗かくわな。そしたら透けるわな…。はい、“ビーチク丸見え”だそうです(笑)。
そうそう、安い服シリーズでは、学生時代200円のジーンズを買った話もしてたな(笑)。これも、ご満悦で家に帰って履いてみたらやっぱ200円。生地が思いっきり薄くてカタチくっきり(笑)。外では履けなかったって(笑)。こういう話をLeyonaの前でニコニコしながら話すんだから、もう。まあ、一緒になって大笑いしてるLeyonaもLeyonaですが(笑)。吾妻さん曰く、彼女は“ブルース好き親父転がし”だそうですから(笑)。
えーと、何のライブに行ったんだ、オレは?(笑)
もちろん、演奏もバッチリ。ジャンプ・ブルース、スィング・ジャズ、カリプソ、スカもどき(笑)、楽しい日本語詞を付けたカバーもたくさん盛り込んで充実度満点だった。「顔の皺」では、ディレクター兼 事務所のオヤジ兼 ローディー兼 ボランティア介護マネージャーでパーカッションの湯川治往さんもゲストに出てきて、夏らしい音だけ涼しげ(笑)な演奏が繰り広げられた。
あ、でも、いつもどおりのセットリストとは言っても、2部の最初に“これからはロックだと思う!”というMCで演奏された、バッパーズ唯一のロックナンバーってのはライブではけっこうレアじゃないかなあ?
その唯一のナンバーってのは、なんと「クリムゾンキングの宮殿」。キングクリムゾンだよ、なんと!プログレだよ、プログレ!でも、演奏はすごい事やってるのに、バッパーズがやるとなんか笑っちゃうのはどうしてなんだろう?(笑)
それから、“これから40周年に向けてどういう方向に行けばいいんでしょうかね、ワタシたちは?”っていう吾妻さんのMCに、客席から“「枯葉」!”っていう掛け声がかかり、すかさず「枯葉」をバッパーズ流ジャンプ・ブルースで演奏しちゃったのにはびっくりした。スタンダードとは言え、予定外でいきなりあれだけ完成度の高い演奏が出来ちゃうんだからなあ…。やっぱスゴイ人たちです。
その後、“じゃあ、ファンクで行くか!”って言って、ファンキーなフレーズをかき鳴らした吾妻さん。これはワンフレーズだけだったんだけど、いやあ~カッコよかったなあ。もともと岡地さんはこういうの得意だろうし、是非こういうのも聴いてみたいです!
5月の横浜サムズアップでバンバンバザール主催のイベントに出た時にも披露した、福田元首相へのリスペクトソング(笑)、「福田さんはかっこいい」もやった。これはオレ、お気に入りなんだ。陽気なビートに政治的メッセージをこめるというカリプソの伝統を見事に踏襲しております(笑)。総選挙で自民党が負けちゃったりすると封印されちゃうのかなあ?、やだなあ、それは。自民党に投票しようかなあ、オレ(笑)。
Leyonaの歌った、ナット・キング・コールの「LOVE」も素敵だった。もう、この人はバッパーズの準メンバーと言ってもいいぐらい。
幅広い音楽性を持つLeyonaだけど、自分のライブではロックやR&Bテイストでセットをまとめている。だけど、バッパーズではジャズのスタンダードなんかもストレートに歌ってくれるんで、そういった意味でもバッパーズのステージに出る時のLeyonaは見逃せないんだよね。
満足度100%。楽しい演奏にスィングして、吾妻さんのMCに大爆笑して(笑)。ライブは、間に休憩を入れて9時ちょっと過ぎに終わったから正味2時間半ぐらいかな。バッパーズは、翌日仕事のある人もいるし、打ち上げもばっちりしなきゃいけないからあんまり遅くまでうだうだ演んないのよ(笑)。それでもこの日は3回もアンコールをやってくれちゃうサービスぶりだった。
ほんと、楽しい夜でした。やっぱりバッパーズのライブは見逃せません。
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